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::Call by the first name. 2
キリバン【33333】をとってくださった、makomama様のリクエストにお応えして書かせて頂いています。


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その日の夜、琴子はベッドの中で幹が置いていった雑誌をもう一度見返していた。

この女性誌にノブヒロが載っていたのは、どうやらこれから公開予定の映画のプロモーションの為だったらしい。
今回偶然にも斗南大病院に緊急入院したこのモデルが、ノブヒロの相手役として映画に初出演しているのだ。

「モデル: 美月、17歳。15歳より弊誌専属モデルとして活躍。初の映画出演ながらその存在感は秀逸で、これから俳優としての飛躍が更に期待される、か・・・・」
小さな文字で書かれた彼女のプロフィールを読み上げ、琴子はぼんやり例のワンショットを眺める。



直樹が付き添いの人間に聞いたところによるとその日彼女たちは、この映画関係者数名と私的な完成打ち上げをしていたらしい。仲間の一人の自宅で行われ、皆気軽な時間を過ごしていた。

そのなかで、軽い料理を作るといって美月はキッチンに入ったのであるが、その際に使ったガスコンロの火が彼女の着ていたシフォンのトップスの裾にいつのまにか引火したらしい、火は瞬く間に生地を燃やした。
彼女の叫び声を聞いた人間が直ぐに駆けつけ消火し、そして斗南大病院に搬送したのであった。



― 関係者の対応が適切だったため、この事態の熱傷の症状としては最小限に抑えられたと言っていい。深度は浅い2度。自然治癒出来る範囲であろうが、場合によっては少し皮膚移植した方が良いかもしれないと言うのが直樹の所見だった。

「それでも、ショックだろうな・・・」
琴子は呟く。
美月はモデルとして一線で活躍していて、さらに俳優としても将来を期待されている逸材だ。熱傷の跡がどう残るかは彼女の仕事に大きく影響するであろう。
そして何より、彼女はまだ17歳なのだ。その若さで身体に傷が残る事は相当な衝撃のはずだ。


雑誌に写っているそのショットは本当に美しかった。

均整のとれたスタイル、キメ細かい肌、細いウエスト、別誂えのようなバスト・・・それは完成された女性の身体。それに加えて顔もとびきりキュートだ。まさにこの仕事に就く星の元生まれてきたような容姿だった。



「― なにおまえ、さっきも桔梗と散々見ていたのに、また見てるのか」
風呂からあがり寝室に入ってきた直樹の声に琴子は顔を上げた。

「うん。明日会う事になるのかなーと思ったら何となく…、ね。 入江くんも夜勤明けなのに大変だね」

「ま、この仕事に就くと決めた時点である程度の事は覚悟してるから」

「そ、そうだね・・・」
淡々とした直樹の返事に、琴子はそっと吐息する。


夜勤明けにも関わらず、直樹は明日も通常どおり出勤する。

今日の熱傷の処置を終えた時点で、美月は強い疼痛・灼熱感・微熱に加えて精神的なショックが強く症状を説明できる状態になかった。
そのため直樹はこの日は鎮静剤を投与し、明日改めて彼女とその関係者や家族に説明をする事にしたのであった。

直樹の判断は正しいと思うし、医者としての責任感も尊敬している。自分も看護師としてこれから出来る限り美月のサポートをしていきたい、そう琴子は思っている。
…ただ、琴子は看護師としてではなく、ほんのたまにではあるが直樹の職業を厭わしく思う事があった。


「他の女の人の身体なんて触らないで――!」

遠い昔に吐露してしまった自分の中に棲む嫉妬の心。そしてその時に直樹に言われた「医者になろうという男と結婚すると決めたからには自覚を持て」という言葉が代わる代わる心中を往復する。

自分も看護師となり、あの頃よりもはるかに直樹の仕事を理解している自信はある。しかし、それとは別の部分で完全に割り切れてはいない自分が居るのは事実なのだ。
特にこのような魅力的な女の子を前にして、直樹は何も思わないのだろうかと、琴子は不安になるのだった。


「…琴子」

「な、なにっ?」

上擦った声で返事する琴子に直樹はハァと溜息を吐く。

「おまえ、またしょうのない事考えてないか?」

「そ、そんなことないよ、全然!た、ただこんな可愛い子が入院したらきっと、また病院中で騒ぎになるだろうなって思ったのよ。ほら、ノンちゃんが入院した時みたいに・・・!」

琴子は見透かされたような気がして思いっきり否定する。

「・・・・。 あぁ、そうかもな」

「でもノンちゃんが入院した時みたいに誰が担当になるかとかのケンカはないわね、だって女の子だもん。あ、芸能人だし粗相のないよう優秀な人が選ばれ―――」

「― 担当は、お前だよ」

「へ・・・・?」
直樹の言葉に琴子は意味が分からず硬直する。

「…それは、あたしが優秀な看護師って認められたってこと……?」
「バーカ」
みるみる顔を紅潮させる琴子の鼻を直樹はきゅっと摘む。

「びだいよ、びりえぐ~ん」

「お前がくだらない事言うからだ」 そう言って直樹は手を離した。

「ち、ちょっと言ってみただけじゃないっ。でも…どうしてあたしが担当なの?わざわざ非番のあたしを担当に決めるなんて」
琴子は鼻を擦りながら首を捻る。

「……さぁ、な?」
直樹は琴子をじっと見ていたが、やがてプッと笑いながら答えた。

「明日になったら分かるよ」

「う、うん」


「…あ、ひとつだけ」
そう言って直樹は琴子から雑誌を取り上げ、「美月」と書かれた部分を指さす。

「彼女の名前、美月じゃねーから」

「へぇ…そうなんだぁ」 琴子は意外そうな声を上げた。
「イメージ通りの名前だと思ったんだけどな」

「まぁ、確かにこれでも名前負けしてないよな」 直樹はクスリと笑う。

「本名は何て言うの?」

「まこと」

「へぇ~、まことね―― え、まこと…?入江くん、もしかして美月さんって男…とか!?モトちゃんみたいな…」
一人妄想を拡げて動揺する琴子に直樹はまた盛大に溜息を吐いた。

「んな訳ねーだろ。この写真見て、お前よくそんな事いうよな」

「だ、だって名前が男なんだもん……」 琴子は小さな声で反論する。

「女でも使われる名前だよ。字をこう書いたら」
そう言って直樹はメモ書きにサラサラと字を書きこんだ。

「あ… 「真琴」って書くんだ」

「そう。琴子と同じ字だよ」

「そっか、そうなんだーー」 琴子は少し嬉しそうな顔をする。

「仲良く出来るかな?」

「お前が唯一得意とする事だろ」

「もう、そんな言い方しなくたって!」

剥れる琴子を見て直樹はクスリと笑う。

「期待してる、ってことだよ。多分相当ナーバスになってるはずだから、ちゃんとケアしてやってくれよな」

「入江くん――!」 琴子の表情がパッと明るくなる。

「うん、頑張る!ちゃんと真琴ちゃんが元気になるように、あたし、いっぱい頑張るよ!!」

「ああ」 直樹は琴子の頭をポンポンと撫でた。


「じゃ、明日も仕事だしそろそろ寝るかな」

「うんっ」

直樹と琴子はシーツに潜り込む。

「おやすみ、入江くん」
琴子は少し上体を起こして直樹を覗きこみながら笑いかける。
直樹はふっと笑うと琴子を引きよせた――。



「//////」

「おやすみ」
琴子の唇を軽くなぞりながら直樹は囁く。そして抱きしめたまま、あっという間に深い眠りに落ちて入った。





病院ネタは緊張しますね(>_<;

病院の勤務形態など知らない事・分からない事だらけの為、おかしな事を書いていたら申し訳ないです。素人が書いている駄文ですので笑ってスル―して下さると助かります…。






スキマ未設定(長編)  コメント(3)  △ page top


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::拍手コメントありがとうございます!
繭様

こんにちは!
なんだか今までと勝手が違うので私自身まだ手探りで書いている感じです。なので、繭さんをはじめ読者の方にはなおさら展開が読みにくいかもしれないですね^^;
頂いたコメントに「もっとここ膨らませるべき!?」とか、私のほうがふらふらしそうです(苦笑)
でも、続きが分からなくて楽しみにしてくださるというのは、今まで書いてきた「こうであってほしい」を再現するのとはまた違う楽しさがあるものですね。なんとか頑張って書いていきたいと思います♪
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::コメントありがとうございます!
makomama様

こんにちは!
本当にお待たせしまして申し訳なかったです。やっとスタートさせていただきました。
コメント入れてくださってありがとうございます(^^)
makomama様も医療に従事されていたのですね。ひゃ~ますます大丈夫かと心配に(><;
今のところは大丈夫なようでホッとしています。
タイトルからも色々ご想像していただいているみたいで嬉しいです。何話くらいになるとか全然分からない(おい)ですが、どうぞお付き合いくださいませ♪

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::感激です~!(感涙)
こんばんは!私なんかのリクエストにお応えくださり、本当にありがとうございます。(感涙)昨夜はメッセージを残せず、すみません。(ペコッ)
もう、ドキドキして拝読しております。私は元医療従事者ですが、全く気になるところはありませんよ~。素晴らしいです。この後、どんなお話になるのかワクワク。♪タイトルから勝手に想像したりしてます。(笑)自分のリクエストでお話を書いていただけるって、本当に感激しますね~。なんだかクセになりそー。(苦笑)では引き続き、楽しみにしていまーす。
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