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Call by the first name. 5

キリバン【33333】をとってくださった、makomama様のリクエストにお応えして書かせて頂いています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






午後7時前。勤務を終えた直樹が病院ロビーへと向かうとそこにはノブヒロの姿があった。

「ノンちゃん」

「あ、直樹先生。お疲れ様、今仕事終わり?」

「ああ。ノンちゃんこそどうしたの、こんな所で。迎え待ち?」
直樹は辺りを少し見回して言う。外来や面会の時間をとうに過ぎたロビーには殆ど人気が無かった。

「うん、これからひとつ打ち合わせが入ってるんだ。僕がいったん事務所に戻るよりもマネジャーが迎えに来る方が場所的に都合がいいみたいでさ。ここで待っててくれって」

「そうか。大変だな、ノンちゃんも」

世界は違うが不規則な仕事形態の大変さは身をもって知っている。直樹はノブヒロに労いの言葉を掛けた。ノブヒロはフッと笑うと首を横に振る。


「手術受けてから前より身体が言う事聞くようになったからね、意外と平気だよ。直樹先生のお陰だ」


「ノンちゃんが手術以降もちゃんと健康管理しているからだよ。今日の経過診察でもよく分かった」

「そう?実は手術前より真面目に色々健康管理も体力づくりもやってるんだよね」
ノブヒロは直樹を見て悪戯っぽく笑った。

「直樹先生、昨日今日とありがとう。昨日の救急の時、当直明けで帰る所だったんだってね。先生こそ疲れているでしょ」

「いや?これがおれの仕事だからね。信用してもらえて光栄だよ」

「うん。直樹先生と琴子さんなら2人が相手でも安心して任せられるかなって」

「…それって火傷の事以外も含んでる?」

「……。さすが直樹先生、お見通しか」 
ノブヒロはぎこちなく笑う。そしてソファの方へ行くと座り、直樹にも座るよう促す。

「美月と誠の事、驚いた?」

「ああ…。まぁ運命と感じるのも余りある気はするかな。親の再婚で顔合わせをする前日に事務所で顔を会わせていただなんてな」
直樹は先程真琴の病室での会話を思い出しながら言う。


― あたしたち、事務所と契約した日が同じだったの。
真琴は可笑しそうな顔をしながら話していた。






「ママの仕事の伝手で『sweetly』の編集長に誘われたのがこの仕事を始めたきっかけだったの」

「まったく恵まれた話だよな。おれなんて真面目にオーディション重ねてやっと決まったのにさ」

誠はわざと溜息を吐きながら肩を竦める。
真琴はそれを無視して話を続けた。

「契約の手続きで事務所に行った時にあたし達、待合のソファに隣同士で座っていて。少し待ってたら事務所の社員さんが編集長とやって来て、あたしの事呼んだの。そしたら何故か隣で大きな返事して立ち上がる人がいるものだからあたし、変な人かと思って凝視しちゃった」

「仕方ねーだろ。『マコトさん』って呼ばれたんだから」

「まぁね。でも、それがきっかけで一緒に契約説明と手続きをする事になって。和気あいあいと楽しかったわよね」

「ああ」

「で、その日は手続きが終わった後、『また撮影で会える日が来ると良いね』なんて言いながら別れたんだけど…。そしたら次の日に、前から決まっていたママの再婚相手との顔合わせに出掛けたレストランでまた会うもんから…、あの時は目を疑ったわ」

「真琴、目、見開いて放心してたもんな」

マコトは思い出し笑いをしてクスクスと笑っていた――。





「僕の場合はさ、両親とも離婚してから直ぐお互いに別の相手と再婚したけど、二人とも僕を連れての再婚なんて考えもしていなくて。僕も冷めてたから別にそれで構わないって思ったけど、心のどこかでやっぱり淋しいような気持ちは持っていた。例え他人であっても何かの縁があって一緒に暮らす事になったなら、その出逢いを大切にするのにって両親を心の中でなじったよ」

「………」

「あ、気にしないでね、今は本当に何も思っていないから。それにさ、他人と突然一緒に暮らす事になるストレスってやっぱり相当なものだと思うし。直樹先生ならその辺も理解できるんじゃない?」

「まぁ、確かに始めは何かと大変だったな」
直樹は遠い昔を思い出して苦笑する。

「あの2人もさ、気兼ねなく好きな事言い合えているように見えるけど、やっぱり色々気を使い合ってると思うんだよね。だからこれからの入院中、美月の火傷の事も勿論だけど2人の様子にも少し気を配ってもらえたらなって」

「分かったよ。 ノンちゃん、結構友達思いだな…?」
直樹は二っとノブヒロを見やる。ノブヒロはきまり悪そうに笑うと、

「勘弁してよ。素直な褒め言葉って僕、苦手なんだ」と言った――


*    *    *    *    *    *


― ったく、あいつは。自分でロビーで待ってるって言ったくせに…

直樹は病院の敷地を抜け、駅への道とは逆方向に向かう道へと進んだ。

「琴子さんなら、桔梗…さんだったっけ。オカマの看護師さんに引っ張られて出て行ったよ。たしか、LE CIELに行くわよって言われていた気がする」

ノブヒロから聞いた通りにLE CIELに向かって歩いて行くと、前方に幹と小走りにこちらに向かって来る琴子の姿が見えた。どうやらやっと約束を思い出したらしい、直樹はひとつ溜息を吐いた。
とそこで琴子が直樹の姿を見つけたらしい。ぱっと顔を輝かせると、「入江く~~ん!!」と言ってこちらに全速力で走ってきた。




「ふ~、ごちそう様でした。入江くん、おかわりはどう?」
張り切って予約していたレストランで、琴子は箸を置くとにっこりと笑った。

「…いらない」直樹はうんざりと呟く。

「そんな、遠慮しなくてもいいのよ。ほら、まだこんなに残ってる――」

「いらないって言ってるだろ!十分食べたよ、お前が全然食わねーからな!なんだよ、いつもならお前、これくらいペロって食うだろうが。そっちこそ何遠慮してるんだよ」

「そ、そんなあたし、何も遠慮なんてしてないわよ?胃が小さくなったのかしらね、ホホホ」
琴子は赤面しながら慌てたように言う。

直樹は呆れたようにその姿を眺めながら箸を置いた。

「おれももう要らないからここに用事は無いな。琴子、帰るぞ」

「そ、そんな。せっかくのデートなのに……!」

「これからの帰り道も十分デートだ。ほら、さっさと立てよ」

直樹はそう言ってさっさと伝票をもって席を立った。



「入江くん、なんで?駅、こっちだよ?」
直樹の後ろを追いかけるように歩きながら琴子が言った。しかし直樹は歩みを止める事なくスタスタ歩き続ける。

「ひと駅分歩くぞ」

「え!?なな、なんで?ただでさえ一日仕事した後で疲れているのに。入江君だってほら、昨日から働き詰めで疲れているでしょ?」

「おれは大丈夫だよ、体力は結構自身あるから。それにお前のためだからな」

「あたし?」

琴子は不思議そうに直樹の背中を見つめた。

「昨日からやたらと何かを気にしてるみたいだからな。お前のシェイプアップに付き合ってやろうって言ってんだよ」
直樹は後ろを振り向くと、ニヤリと琴子を見下ろした。

「も、もしかして入江くん、気付いてた…?///」

「お前の行動が分かりやす過ぎるだけ。ったく、なんで急にそんな事思い立ったのやら」

「そ、それは別に…///」

「―ま、何でもいいけどな。ほら、風も気持ちいいし、のんびり歩こうぜ」
直樹はそう言うとすっと琴子の手をとった。その瞬間、琴子の顔はぱっと明るくなった。


初夏に近付こうとする日の夜風は爽やかに頬を撫で、琴子は幸せな気持ちになりうっとりとする。


「入江くん、嬉しい。こんな運動ならあたし、いくらでも出来そう」

琴子は直樹の肩に頭を寄り添わせ囁く。

「そう?それならもう一つ運動するか?」

直樹はクスリとわらいながら琴子を見た。琴子も直樹を見つめ返して微笑む。

「うん。入江君との運動って新鮮!いっぱいしたい!!」

「じゃ、さっさと家に帰るか。さ、あの駅から電車に乗るぞ」

直樹は愉しそうにそう言うと、繋いでいた手を放すと、琴子の腰に手を回した――。





前回の裏側でほとんど進んでないですね(爆)
まだ入江くんと琴子ラブラブだし(^_^;)
次から転がしていきますので、よろしくお願いいたします。



テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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secret

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comment

コメントありがとうございます!

藤夏様

こんばんは!
嬉しいです~。今回は密かにノンちゃんメインの気分だったんですよ!ホロリときてくれたんですね!!
今回欲張って色々な要素に手を出したのですが、その中のひとつが離婚・再婚です。「かつて心に痛みを負ったからこそ~」という藤夏さんのコメントに、私の方こそホロリときました。
ノンちゃんは元々優しい子でしたもんね。入江家の皆と関わったからこそ取り戻せた優しい気持ちを、IFの世界ででもいいから書いておきたかったんです。反応して頂けて凄く嬉しかったです!!
そして、お決まりの企み直樹にもご反応下さってありがとうございます(笑)心理を探った会話ばかりだと私自信が消耗してしまって…自給自足の糖分補給でした(^m^)

拍手コメントありがとうございます!

chan-BB様

こんばんは!そうです、そろそろ転がさないとなぁ…と思っている次第です。さっき続きをUPしたんですが、これがなかなかゴロゴロ行ってくれなくて(苦笑)色々な所に着火して燻らせている感じになっちゃってます…。
chan-BBさんが仰るように「これでOK」と思ったはずなんですけどね?あれれ?あははは…
超大作…いえいえ、そんなお言葉勿体なさすぎます(^_^;)でも楽しみにして下さって嬉しいです。ありがとうございます!!
そして、過去作を読んで下さっているんですか!?嬉しいですけど恥ずかしい~~。私、何書いたでしょう?覚えていない感じのものが沢山ある気がします^m^;


繭様

こんばんは!
2人がラブラブだとホッとすると仰って下さる方がいて嬉しいです。嫉妬がお題のはずなのに、なかなかそこにたどり着けない私。いつも優しめの入江くんばっかり書いてますからね(苦笑)
多分それほど琴子を悲しませる事にはならないと思いますよ♪ってそれでいいのか?と自問しちゃいますけど(*_*)
じつはこの回はノンちゃんメインな気分だったので、繭さんが切なくなったと言って下さって私的には凄く嬉しかったです(^^)本当に、ノンちゃんにも素敵な女性が早く現れるといいですよね。


コメントありがとうございます!

makomama様

こんばんは!なかなかお話進まなくてすみません(>_<)
優しいお言葉ありがとうございます。転がすのもゆっくりゆっくりですが、お付き合い頂ければと思います。
そしてカウンター…お陰さまで、ありがたい事です(^^♪しかし、ダブルスコア超えてますよね…。33333のキリリクを未だやっている私、かなり間抜けな気がします(^_^;)

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こんばんは!

こんばんは!連日のアップ、ありがとうございます。今のところ、ニンマリしながら拝読しておりますが「次回から転がして・・・」とはドキドキです~。どうなるのかしら~。楽しみにしていまーす!
それはそうとカウンター、凄い数字になってますよね~。流石です~。なんか私まで感激!

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