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::Call by the first name. 10
キリバン【33333】をとってくださった、makomama様のリクエストにお応えして書かせて頂いています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「琴子さん、リラックスして」
「― いや、そんな笑わなくていいよ」
「――ぶぶ!ちょ、ちょいストップ………!!」

誠は構えていたカメラをおろして琴子に近付く。

「ご、ごめんなさい。あたし、なんだかすごく緊張しちゃって///」
琴子はそう言って誠を見上げた。直樹も背が高いが、誠はそれより更に少し背が高い。

「休憩しようか、そっちで待ってて。飲物、何がいい?」

「あ、じゃあミネラルウォーター…」

「了解」
爽やかに笑った誠は歩幅広く自販機へと歩いて行く。その様子を何とはなしに見つめながら、琴子は小さく溜息を吐いた。

あの雨の日以来、琴子は心に薄い膜が張ったような感覚を持ち続けていた。頭は思考を巡らせる事を拒否するかのように重たい。あの日直樹に投げかけられた言葉や、昨日真琴に振りはらわれた手の感覚などだけが時折波のように押し寄せてきては琴子の心を掻き乱す。

― あたし、どうしてここに居るんだろう…?
琴子はこの日何度目かの自問自答をした。



―ピト 両頬を突然冷たい感触が襲う。

「ひゃあっ」
琴子は身体をびくんと震わせると叫び声を上げ、地面ばかりを見つめていた目を上に向けた。

「…そんなに驚いた?」
とそこには、いつの間にか戻ってきた誠が2本のペットボトルを手に立っていた。




「ふ~、冷たくて気持ちいい!もう夏もすぐそこに来ているって感じがするよね」
乾いた身体に水が入っていく感触に、琴子はふぅと息をついて立ち上がると大きく伸びをする。

「琴子さん、無理して笑わなくていいよ」

「え……?」
いつになく静かに語りかけるその口調に、琴子は驚いて誠の顔を見た。

「ごめんね。おれの所為で入江先生とケンカした…?やっぱりあの日、おれが直接先生に話せばよかったかな」
誠は少し困ったように琴子を見上げていた。その何とも形容し難い表情に、琴子はぶんぶんと首を振る。

「違うよ、誠のせいじゃない。あたしの方こそ、せっかく撮ってもらってるのに笑顔ひとつ作れなくて・・・」
琴子は唇を噛締める。

あの雨の日、誠は琴子のモデルの件について、自分から直樹に了解を請うと言っていた。が、琴子がそんなことは無用だと断ったのだ。 その時の琴子は、まさか直樹が頭ごなしにそれを反対するとは思いもよらなかったのである。


「でもその原因は入江先生とケンカしたからであって、ケンカの理由はこの撮影なんだろ…?それに、おれが琴子さんに求めているのは作った笑顔じゃないよ」

「……! ご、ごめ……」
「シッ……」
謝ろうとした琴子に、誠はすっと立ち上がるとその唇の前に人差し指を立てて制す。

「―謝るのは無し。少し話そう」
誠はそう言ってもう一度座り直すと、隣の地面をトントンと叩く。
そして促されるまま隣に座った琴子にふっと笑いかけると、ペットボトルの残りの水を飲み干した。



「―入江先生、何て?」

「…身の程を弁えろって。プロがあたしを撮りたいだなんて…意味が分からないって言ってた。」

誠の問いに、琴子は叱られた子供のようにシュンとして答える。誠は一瞬驚いた表情を見せたが、少し考え込むように黙りこむとやがて口を開いた。

「…その言い方は酷いね。でも…、それはきっと入江先生のヤキモチなんじゃないかな」

「…え?」
琴子は予想だにしなかった指摘に、目を見開いて誠を見つめる。誠は琴子と視線を合わせてふっと微笑んだ。

「だって入江先生らしくないじゃん、そんな理由で反対するなんて。第一プロが素人を撮りたいと思うのは何も珍しい話じゃない事くらい、入江先生なら知ってるでしょ?」

「そう言われると、そんな気もする……」

「先生、琴子さんが好きなんだね。おれのこと疑ったんだよ、きっと」

「ええ///!?」
誠が自分に好意を持っていると直樹が疑うなど考えもしなかったうえ、直樹にも周りの人間にもこんなにストレートに『直樹は琴子を好きだ』という言葉を掛けられる事が殆ど無い琴子は、大絶叫して赤面する。

「ぷっ そんなに驚く事?でもさ、琴子さんに言い寄るとかそんなやましい感情、おれ全く持ってないんだけど。これは改めておれの方から先生に説明してお願いしなきゃな!」
誠はそう言うと、火照りを抑えようと必死で顔を覆う琴子を見てクスクス笑った。



「-おれが今回撮りたかった写真のコンセプト、覚えてる?」

「う、うん。心の中にある感情を、隠すことなくさらけ出す…だよね」

不意に笑いを収めて尋ねてきた誠の質問に琴子が答える。すると誠は静かに頷いた。

「心の中を隠すことなくさらけ出すって、言うのは簡単だけど実際は難しいこと位、分かってる。人間って毎日小さな嘘を重ねて生きているものだと思うから。おれもそうだし、琴子さんだって無意識でも小さな嘘を吐いている時があるだろうと思う。でも…真琴の入院で琴子さんに出逢って、琴子さんは限りなく正直な心根を持ってる人だと思ったんだ。そして、その感情が面白いほど分かりやすい」

「な なんだか褒められてるような、ちょっと馬鹿にされてるような…」

「―褒めてるんだよ。そして、だからこそ琴子さんを撮りたいと思った」
複雑そうに呟く琴子に、誠はそう答えるて口角を上げた。


「―ありがと。確かにあたしって分かりやすい性格していると思う。自分でもそう思うし、周りにもそんな風に言われちゃうしね。…入江くんともちゃんと話しなきゃ、ね。落ち着いて、素直な気持ちで」

「うん。で、本当の笑顔、撮らせて」
琴子と誠は顔を見合わせてクスリと笑い合った。



「…そう言えば聞きたかったの。今回の個展、真琴ちゃんは撮らないの?だってほら、いつも病院であんな仲良くなんでも言い合っているし、それになんと言っても真琴ちゃんはモデルだよ?」


漸く気持ちの整理が着いてきた琴子は誠に何気なく質問する。しかし誠はいつになく低い声で「…あいつは駄目」 と即答した。

「誠…?」
その横顔は初めてみる誠の苦渋の表情で、琴子はハッと息をのむ。

「…おれなりのケジメなんだよ」
ふと琴子の視線に気付いた誠は、強張った頬をふっと緩めて呟いた。


「―おれと真琴の関係って微妙なんだよ。仕事として依頼するのか、それともプライベートな関係として依頼するのか。仕事として向き合うのだとすると、おれはまだ真琴にモデルを依頼できるような立場ではない。おれはまだ駆け出しのアシスタントで、真琴は将来を嘱望されているモデルだ」

「で、でもあのグラビアは誠が撮ったんだよね…?前にも言ったけど、あの写真、凄く素敵だったよ?」

琴子は例の写真を思い出し、問いかける。確かに自分はあの一枚に引きつけられたのだ。しかし誠は首を横に振る。

「確かにあれはおれが撮った。但し…それは真琴がおれを指名したからなんだ。おれじゃないと嫌だなんて、らしくもなく我儘言って…。真琴がそこまで言うのならってスタッフがOKした以上、おれが断れるわけが無かった。」

「誠……」 その悔しそうでさえある表情に、琴子は掛ける言葉が見つらない。

「そ、そうだ、それならプライベートでなら…?それならあたしに頼んだのと同じように頼めたんじゃないの?」
そして漸く言葉を掛けたのだが、誠はさらに首を振った。

「…プライベートはもっと無理」

「ど、どうして?」

「この撮影で分かったんだよ。琴子さん、あの写真を見てどう思ったかおれが聞いた時言ったでしょ。『凛としていて、でも切ない』って」

「う、うん」

「それ…、真琴があの時おれに見せた本当の気持ち。でも、おれはその気持ちに応えられない。いや応える訳にはいかないんだよ」


「 誠…そ、それって――――」
琴子は一瞬ポカンとし、そして行き着いた誠の言葉の真意に驚愕する。

「ああ。真琴はおれの事が好きなんだ。そしておれも真琴の事が好きだ」
誠はきっぱりと、しかし他人事のように突き放した口調で答えた。


***********************************


その日斗南病院では琴子が非番の為、幹が直樹の回診に同行していた。

「入江先生、今日は次の結城真琴さんで回診終わりです」
「ああ」

優秀な2人での回診はてきぱきとスムーズに進んでいく。
回診だけではない、琴子の居ない院内は滞りなく仕事が捗る。しかしどこか物寂しい。
とはいえ、ここ数日は出勤していてもそのように感じているのだが…、と幹は思っていた。


「…先生、アタシちょっと意外でした」 幹は徐に口を開く。

「何が」

「今日、琴子の事、行かせたんですね。良かったんですか…?」
お節介とは思いながらも幹は口に出す。

言い方が悪いが、幹は撮影までには直樹が琴子を言いくるめると思っていた。
直樹が琴子の思っている以上に琴子に執着し、嫉妬心が強い事は2人の側に居る者であれば自ずと分かるものである。そして直樹はいつも飄々とした顔で、自分の意にそぐわぬ事は琴子にさせないようにするのが常であったので、今回も幹は前日までには琴子にモデルを断るよう仕向けるのではないかと思っていたのだ。

しかし直樹は、「良いも悪いも、琴子が決めた事だ」と淡々と返事する。

「でも、もし彼が琴子の事を――」

「…いや、それは無い」 

「そ、そうですか…。ではどうして入江先生、琴子がモデルする事、反対なされたんですか?」
直樹の断言に少しほっとしながらも、昨日の琴子の様子からして直樹が反対していたのは明らかだったので幹は思い切って口に出して聞いてみる。すると直樹は幹をちらりと見やり、自嘲気味に嗤った。

「…おれも大概だと思うよ」

「え…?」

「でもそれよりも先に、おれが医者としてやるべき事があると思うから。ほら、着いたぞ。ノックしてくれるか」

「あ、はい…」
丁度そこで真琴の病室に到着し、直樹に促されるまま幹はその扉をノックした。静かにはいと返事する声が聞こえた―――。






遅くなってすみません。筆が進まないうえ、色々私用でバタバタしていました。
あまりにもへたくそな文章の為展開を理解して頂けるか…(T_T)

今月中に終わる希望は…頑張りま~す(^_^;)



スキマ未設定(長編)  コメント(6)  △ page top


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::まあちさまへ
こんばんは!
お返事結構と仰って下さいましたが少しだけ…。
また謝ってしまいますが、すいません。私の書き方が卑下した表現をしてしまったばっかりに不快な思いをさせてしまったのではないでしょうか…。
私の生活が一番とのお言葉、ありがとうございます。でもこれだけは…。
確かに眠気や身体のだるさはありますが、私自身はこのブログで妄想を書いている事、それに対して誰かから反応を頂ける事が大好きで、心の充実感を沢山もらっていますからね!!だからこそ睡眠時間削って書いている訳ですから(笑)
ただ、仰るように日々の生活が一番ですから、その辺は気持ちと折り合いつけてのんびり書かせて頂きますね(^^)妄想しながら待っていて下さると私も嬉しいです♪
さて、もう一度読んで頂いたようですがお分かり頂けましたでしょうか?早く続きをあげたいです(^m^)
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::拍手コメントありがとうございます
繭様

こんばんは。
う~ん、繭さん痺れ切らしてきちゃいました(笑)?
前回の時点で直樹に琴子の撮影を止めてほしいと仰っていましたもんね(^_^;)
お互い思いあってるのに言葉に出来ない理由…何だか書くのが怖くなってきました。イタキスらしいオチ、と思って頂けると良いのですが…。
あと少しで終わりますから、お待ちくださいね!いつもコメントありがとうございますm(__)m
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::コメントありがとうございます
藤夏様

こんばんは!いえいえ、こちらこそゆっくりな進行なのにいつも読んで頂き、コメントまで下さること本当に嬉しく思っております(*^_^*)
誠がどうして琴子を撮りたいと思ったか、納得して頂けて嬉しいです。ここは読者の方にも納得して頂かなければならない大事な所だと密かに思っておりましたので藤夏さんのコメント、とっても嬉しかったです。
そして、誠の琴子評は、私も直樹が琴子に惹かれた大きな部分だと思っています。伝わっていてもうもう、本当に感無量です!!
Wマコトの行く末、コメント下さる方皆切ないって仰って下さいます。オリジナルキャラにも関わらず、そう言って頂けてありがたいです。必ず幸せにしますので!!
そして、ゆっくりでいいですよとのお言葉ありがとうございます(^^)のんびりやらせて頂きますね!
あ、でも今日はワールドカップを横目に作業しようと思います~~♪
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::拍手コメントありがとうございます
chan-BB様

こんにちは!
そうなんです~、気がつけば10話目!
はじめから長くなる予感はありましたが、最短距離で書いてるつもりなのにこれだけ回を重ねてしまいました。
Wマコトが両思いなのはやはり分かっておられましたか!いや~、ここまで引っ張ってしまいました。作中、4人の我慢大会(笑)開催中ですが、私自身が一番我慢大会してるかもww
早くラブラブ書きたーい!!ダム放流~~!!
って、どこまで出来ますかね?(笑)
色々考えているところです。
また遅くなると思いますがchan-BBさん宅の3話のコメントもしに行かせていただきます!も~、同じ病院舞台でこの展開のギャップ!!
楽しませて頂いております(^^)
編集 △ page top
::拍手コメントありがとうございます
まあち様

こんにちは!
すいません、今回弱音ばっかりですね~、私^^;)
ついていってるとの力強いお言葉、ありがとうございます!
自分で書いててなんですが、この4人、全くお互いしか見てないのになんでややこしい事しているんでしょう?(笑)
入江君が琴子を行かせちゃった訳はもう本文中に出ているんですけどね~♪最終話で改めて書くつもりではいます。
私の事もご心配下さってありがとうございます!なんだか申し訳なくって(><)
今まで平日にUPしている時は、深夜2~3時まで起きているのが常になっていたのですが、ショートスリーパーでもない私が睡眠時間3時間の生活は日常生活に支障をきたしてしまっていて(早い話仕事中眠くなる)、先週は眠くなったらすぐに寝る、を心がけていました。
結果、先週月~金1度もUP出来なかった次第です。そして週末はただ遊び呆けていただけ・・・。心配していただく価値ないんですよ。本当に申し訳ないです。
まあちさんも最近蒸し暑く、寝苦しい夜も増えてきましたので、どうぞ御身体お気をつけ下さいね。





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