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::Call by the first name. 12
キリバン【33333】をとってくださった、makomama様のリクエストにお応えして書かせて頂いています。

※最終回ではありません!残り3回の予定、見事に外してしまいました(>_<)
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「先生、ありがとうございます……。やっと、傷と向き合えました…」
真琴はうっすら目に涙を溜めて微笑む。

幹から話を聞いて直ぐに病室に向かった直樹は、動揺する真琴を根気よく諭し、漸く傷を確認させたのだった。

「よく勇気を出せたね。完全に元通りになるにはまだ時間がかかるけど、もう日常生活には殆ど影響無い。退院したら事務所と相談して、仕事に復帰しても大丈夫だよ」
直樹はもう一度身体に包帯を巻き直しながら優しく声を掛ける。

「…退院はあとどれ位でできますか?」

「あと10日くらい、かな。…何か予定あった?」

「いえ…その、誠の個展の初日が2週間後なんです。初日、ちゃんと見に行きたいから……」

真琴は顔を赤らめながら、そこで一度言葉を区切った。2人の間に沈黙が流れる。
が、やがて真琴は意を決したように一度目をキュッと閉じると、口火を切った。

「先生、あの…突然失礼な事をお聞きしますが…。先生は何も思われないんですか?琴子さんが、その…、他の男に写真を撮られる事」
そう言って真琴は恐る恐る直樹の顔を窺う。直樹はそんな真琴を見て苦笑した。

「そうだな…、ま、正直面白くは無い」

「なら、何故…?もし、誠が琴子さんの事好きになったら…とか、心配になったりしないんですか?」

「それは無いだろ。彼は君の事が好きなんだから」

「え…?」
当たり前のようにさらりと口にした直樹を、真琴は目を丸くして見つめる。しかし直ぐに俯いて

「それは…先生の思い違いです。誠は…いつも近付こうとすれば離れていくもの。ここ数カ月は特に」
と、首を振った。

「……」
直樹は誠の隣に腰を下ろすと、視線を真っ直ぐ壁に向ける。

「…真琴ちゃん、それはひょっとしてあの雑誌の撮影の頃からじゃない?それからこれは更に勝手なおれの憶測だけど、あの撮影を誠くんが担当したのは、君が根回ししたからだと思うんだけど。違うかな」

「……!!」

時期や撮影の経緯まで言い当てられ、真琴は肩をピクリとさせる。直樹はそれで自分の予想が当たっている事を確信した。

「…話して楽になる事もあるから、おれで良ければ話を聞くよ。突然他人と共に生活をする難しさも、状況は違うけれど分かる部分はある」

「先生……」
真琴は考えていたよりも、直樹が自分の様子や置かれている環境に目を行きわたらせていた事を知る。そして、直樹になら自分の気持ちを素直に話せる気がした。



「―出逢った時は誠の事、特に何も思わなかったんです。まぁ、見た目はそれなりに好みだったんですけど。同い年だし、モデル仲間だし、名前も同じで…、友達とか彼氏とか、いわゆる普通の関係なら、普通に接する事が出来たと思います」
真琴は静かに話し始めた。

「でも、出逢いから間もなく再会したと思えばいきなりこれから兄妹だって言われて、その数週間後には一緒に住み始めて。今まで母と二人で暮らしていたのが急に4人に増えただけでも緊張するのに、そのうえ相手がいいな、って思えるような相手じゃ毎日が心臓バクバクです。琴子さんもそうでしたか?確か、一目惚れだったって言ってましたし」

「さぁ…、どうだったかな」

確かに何をするにもいちいち自分の反応を気に掛けていた気はする。しかし、その頃の自分は何事にも無関心を決め込んいたので、琴子の言動は意識して排除していた。意識的に無関心を貫くという矛盾したその頃の自分の行動を、直樹は今にして可笑しく感じた。

「でも君たち、傍から見てるといつも仲良さげに見えたけど。少なくとも、おれ達よりかは初めから上手くやってたんじゃないかな」

「仲良く…というか、勉強の教え合いとかはよくやりました。あと、仕事の相談も時々…」

「へぇ、教え合いか。いいね」

「でも、あてにならないんです。誠、いつもどこか詰めが甘くって」
真琴はクスリ笑う。

「それでも…、あたし達があの環境でこんな風に接する事が出来たのは、誠があたしの事をすごく気遣っていてくれたから。ふふ、誠ったら、会って早々母にお願いされちゃったんですよ、『これから、真琴の事を宜しく。兄妹として、仲良く』って…」

「成程ね…」
相槌を打ちつつ直樹は思う。

いくら義母に頼まれたからとはいえ、誠だって突然の同居は相当な戸惑いがあったはずだ。ましてや誠は真琴の事を何時からかは定かでないが好きだったのは間違いない。そんな中、自分の気持ちを押しつける事なく相手を慮るのは並大抵のことではないだろう。果たして彼をしてそこまでさせる理由は一体何なのか。そこが直樹には未だ分からない。

「差し支えなければ教えてほしいんだけど」
直樹は一旦話を切変える。

「君がここに入院してから、ご両親は一度もお見舞いに来ていないよね。それは何か理由があるのかな」

そうだ、直樹はずっとそれが気になっていた。…恐らく、琴子も。
真琴が入院してからというもの、彼女の病室には誠は勿論の事、事務所の人間や友人等が毎日のように面会に訪れていた。しかし、本来なら真っ先に駆け付けるであろう彼女の母親は一度もここを訪れない。義理の息子にそんな事を頼みながら何故来ないのか、直樹はいよいよ疑問に思ったのである。
すると真琴は、「ああ」とあっさりその理由を口にした。

「来ないんじゃなくて来られないんですよ、簡単には。母はこの4月から義父の海外赴任についてマンハッタンに住んでいます。ちょうど、あたしの誕生日の翌日に出発しました」

「…じゃあ、君たちはそれから今まで――」

「はい。…2人で暮らしていました」
真琴はコクリと頷く。

「…こうなると、あたし達なんで一緒に暮らしているんだろうとか、不思議になっちゃいますよね。両親ももう18歳だし、別々に暮らしても構わないって言ったんです。でも、何故かそうしなかった。あたしも、…誠も」

そう言って真琴は苦笑する。自分はともかく、誠はなぜそのまま2人で暮らす事を選んだのか。自分が“妹”だからか――?

「4月に入って直ぐっていうと、雑誌の撮影直後…か」

「はい、そうです」

「真琴ちゃん、どうして誠くんに撮影してほしいって思ったの?」

「そ、それは…。…この映画に出るよう背中を押してくれたのが、誠だったからです」
真琴は一瞬躊躇ったが、今更隠す必要もないからと思い直し、小さく息を吐き出した。

「あの写真見ればもうお分かりかと思いますけど、撮影では少し際どい格好のシーンもありましたし、キスも…ありました。オファーの時点でその事は知らされていたからあたし…、はじめは断ろうとしていたんです。露出が多い服は水着撮影の延長だと思えば割と平気だけど、キスは…ちょっと嫌かなって。ノブヒロがってっ訳じゃないですよ。ただ、キスは好きな人としたいなって///。でも、誠が『せっかくのチャンスだから挑戦したら』って後押ししてくれたんです。『芝居のキスなんてキスにカウントしなけりゃ良いんだ』って…。それであたし、決心が付いたんです。だから、感謝の気持ちっていうと何か違う気もするけれど、誠にもどこかでこの仕事に繋がっていてほしかった…」

真琴は一部真実を隠したものの、正直に理由を話した。静かに真琴の話に耳を傾けていた直樹は徐に口を開く。

「真琴ちゃんの気持ちは分かった。でもおれ、誠くんの気持ちも分かる気がするんだ。彼、その撮影に決して乗り気ではなかった気がするんだけど…、違うかな」

「は、はい…。どうして分かったんですか……?」

「男って無駄にプライドの高い所がある、厄介な生き物なんだよ――」

驚いた目で自分を見つめる真琴に、直樹は自嘲の笑いともとれる何とも言えぬ表情を浮かべて、その真相を語ったのだった――。




「じゃああたしは、知らない間に誠を傷つけていたって事ですね――。あたし…、どうしたらいいんだろう…?」
真琴はそう言って項垂れた。

「彼と向き合って、素直に話すのが一番じゃないかな。いくら心で思っていても、言葉に出さなければ相手には伝わらない」
― そうだ、以前にも自分はこう反省したではないか。直樹は自戒の意を込めて真琴に告げる。

「…分かりました。今度誠がここに来た時は…、正直に話そうと思います」

真琴はそう言ってベッドからすっと立ち上がった。決心が付いたその表情は、真琴の元来の凛とした佇まいと合わさってより一層彼女を美しく見せる。直樹はふっと微笑むと、自分もベッドから立ち上がった。

「先生、色々ありがとうございました。ふふ、どうせ兄が出来るのなら、先生みたいな大人なお兄さんが良かったな」

「それはどうも」
直樹と真琴は見つめ合って悪戯っぽく笑う。

「…先生、ひとつお願いしていいですか……?」

「何?」

「頭…撫でてもらえませんか?お兄さんっぽく」
そう言った真琴の目には涙が溢れていた。

「ああ。いいよ」
直樹はそっと自分の胸に寄りかかったその頭を撫でてやる。器用に見えて実のところ不器用なその女の子を――。

と、そこで扉がノックされたかと思うと、間髪いれずに開けられた。直樹と真琴は同時にそちらを振り返る。

「真琴ちゃん…、入江くん………」

そこには、呆然と立ちつくしてこちらを見ている琴子と誠が居た―――。





すいませ~ん、予想外に真琴ちゃんと入江くんのシーンが長くなったので一度ここでUPしますっ!
ほんとこの話、Wマコトにイリコトが食われています(苦笑)
もう今さらどうしようもないので、「あーあー。ぴくもんやっちまったなぁ…」とPC・携帯の向こうから笑って下さい。ははははは…

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繭様

こんばんは。いつもコメントありがとうございます!
ずっと真琴は切ない役回りだったので、これくらお直樹が優しくしたってイイよね…?と思いながら書いた回でした。
子供のように直樹に甘えたくなった真琴の気持ちが痛いほどわかると言って頂けて凄く嬉しいです。
さて、続きを更新したのでWマコトは幸せにさせられました(^^)
あとはイリコトです!
私の体調もお気遣い下さってありがとうございます♪程々にがんばりますね★
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