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…ん、ばいばい ①

配布元…kara no kiss 様
50音・26文字お題よりお借りしています。
琴子ちゃんの誕生日企画第2弾です。
『誕生日』のあとがきでもお知らせしたとおり、こちらは神戸編での琴子ちゃんの誕生日のデート編です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


直樹は今、不機嫌な顔を隠そうともせず駅の券売機に立っている。
前では琴子が、路線図と料金を必死で確かめていた。


「えっとぉ、確かはじめは・・・」

「梅田」

「そうそう、梅田。梅田・・・、どこかな~?」

「終点だ・・・!」

どけ!と言うと直樹は琴子に変わって必要な切符を買う。

「さすが入江くん。どこでも迷いなしだねー」

パチパチ手を叩きそうな勢いの琴子の額を直樹はピンと小突く。

「いたっ!んもう、今日の主役に何するのよっ」

「何が主役だ、自分が行きたいって言ったんだろ!場所の下調べくらいしたらどうなんだ!!」

「だ、だって~」

琴子はここで口を噤む。

―本当は、須磨に行こうと思ってたんだもん。

差し出された切符を受け取りながら、琴子は心の中で呟いた。



「―なんで海遊館なんだかな。水族館なら須磨にだってあるっていうのに」

改札を通りながら、まるで琴子の心の内を見透かすかのように直樹が言うので、琴子は内心ドキッとする。

「せ、せっかく関西に来たんだし」

「ふーん、そんなもんか?ま、それはともかく、夏休みには動物園で、今度は水族館。いつからおまえ、そんな生き物好きになったんだ?」

「・・・東京でも、行きたい気持ちはあったもん。でも入江くん、全然ついてきてくれないし」

「今も断りたいくらいなんだけど」

「もう!今日は誕生日だから好きな場所にデートしてくれるって言ったのは入江くんでしょ!?」

琴子の反撃に、直樹のこめかみがピクリと動く。

「・・・ったく、わかったよ。ほら、特急きたぞ、急げよ」

「は、はぁい」

琴子は慌てて直樹の背中を追いかけた。


なんとか電車に間に合った2人は扉に少し凭れかかるようにして息を整える。直樹は今、ほんの少し後悔していた。

何にかと聞かれれば、昨晩の事。
早々に誕生日ケーキから琴子の興味をそらせ、思う存分抱き合った後、琴子から今日の予定を聞かれた時のことだ――。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うそ~!28日、入江くんお休みなの!?」

「3日間病院に缶詰だったからな」

「や~ん、やっぱり来て良かった~~」

琴子の声が弾む。
突然の訪問はまさに無計画に行われたものだったので、琴子は直樹の勤務シフトをまるで把握していなかった。

「ねぇ、入江くん・・・?」

くるりと直樹の方に体を向け、やや猫なで声になる琴子。瞬時に直樹は嫌な予感を覚える。

「い・や・だ」

「んもう、まだ何も言ってないもん」

琴子は口を尖らせる。

「どうせ、またデートとか言うんだろ?」

「そう!入江くんってば、やっぱり天才♪」

「ふん、ちっとも嬉しくないね」

直樹は腕枕していた手を抜くと、くるりと背中を向ける。

「いいじゃない、デートしてくれたって」

「おまえ、勉強は?」

「今日、殆ど一日中してたよ。それに、入江くんがさっき見てくれたから大丈夫」

「ふ~ん、自信満々なんだな?」

直樹は一向に振り向こうとしない。琴子は口を尖らせて、直樹の背中を睨んだ。


「・・・入江くんってば、する事したら冷たいなんてひどいよ」

「はぁぁ!!??」

思わず直樹は体を起き上がらせる。琴子は慌てて逃げていくシーツを掴むと胸までをしっかりと覆った。

「これは合意の元そうなったんだろ!」

「そ、そうだけどっ!」

「・・・だいいちおまえ、体目的とか相当強気な発言だなぁ!?」

「やっ、そ、そこまで言ってないよ///!!」

「おんなじ意味だと思うけど?」

直樹の指摘に琴子は怯みかける。が、ここで負けてはいけない。琴子はさらに語気を強める事にする。


「き、今日はあたし、誕生日なんだよ!!」

「ふん、だからどーした?」

「愛する妻の誕生日に、プレゼントのひとつやふたつくれたっていいじゃない!?」

「さっき『すごく幸せ』って言ってたの、誰だ?」

「うっ///・・・」

言葉に詰まる琴子。直樹はニヤリと口角を上げる。


「そう・・・、入江くんがそう言うなら・・・分かった」

「分かってもらえて嬉しいよ」

睦事での言葉を口に出せば琴子は照れる事を計算したうえで出した科白は、簡単に奏功したらしい。直樹は満足気に琴子を眺める。が、やはり琴子は一筋縄でいく女ではなかった。

「じゃあ・・・、チャラにするわ」

「・・・は?」

「入江くんにも、『幸せ』って感じさせてあげる」

琴子はむくりと起き上がると、すっと直樹に向かい合うように座った。そして、再び直樹をその気にさせていった――。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


結局、その後デートの承諾をしてしまった直樹。
時々見せる琴子の大胆さは、まだまだ伸びしろを残しているようだ。

―まもなく、大阪港、大阪港・・・・

梅田から御堂筋線、その後数駅で中央線に乗り換えるという面倒な道中は、飽きることなく紡ぎだされる琴子の話によってあっという間に過ぎていったらしい。

「入江くん、見てみて!!あれだよね?海遊館♪」

琴子の声が弾む。

「そういえば、さっきの話。なんでおまえ、海遊館に拘ってるんだ?」

さっき聞きそびれたのを思い出して直樹が尋ねる。すると琴子は、「実は・・・」と、話し始めた。

「本当は、須磨でいいと思ってたの」

ここまで来てしまえばもう大丈夫、と、琴子は漸く真相を打ち明ける。

「はぁ?なら、なんでわざわざこっちまで来させたんだ?」

「そ、それはね?満ちゃんにこっちの方がお勧めだって言われたの」

「ああ・・・・」

余計な事を――と、直樹は溜息を吐く。勉強ばかりしていると言っていた満の部屋で、琴子たちはやはり要らぬ事も喋っていたらしい。
満が大阪出身者だとは前々から聞いていた直樹だったので、彼女が大阪をアピールする姿は容易に想像できた。そして、単純な琴子はあっさりとそれを鵜呑みにしたのだろう。

「ま、今さら言っても仕方ないか・・・」

直樹は小さく溜息を吐くと、ルート案内に従って、長い陸橋を降りていった。
ひとつ安心できるのは、水族館は家族連れと同じくらいカップルの数が多く、動物園に行ったの時のように自分が奇異な存在にならない事だった――。





こちらは軽ーいかんじで書かせて頂いております(*^_^*)

読んで下さった方はもうお気づきかと思いますが、文中に出てきた「動物園」とは、chan-BBさんのお話、『HOLIDAY inKOBE』に由来しています♪(chan-BBさんにはこの件ご了解をもらっています★)

1話にするには少し長くなりそうなので前後篇にさせて頂きます。・・・って、何時の間にやら3部作とかになっていたらごめんなさい。何せまだなーんにも書いていないので、続きがどの位になるのか分からないんです(T_T)
後編も早めのUPがんばります!宜しくお願いいたします。

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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comment

拍手コメントありがとうございます!

繭様

こんばんは。

うふふ、そうですね!馴染みの沿線♪・・・って、私は普段使いませんが(笑)

やっぱり関西人、須磨も海遊館も行ってらっしゃるのですね。私は須磨は小学校が最後だと思います。海遊館はかろうじて数年前に・・・(^_^;)

そして、大胆な琴子にびっくりされましたか?あはは、私、実は随分前からこんな設定は書きたかったのですが我慢してました。裏庭でカミングアウトしたので、これくらいなら表で書いてもいいかなぁなんて。

でも、ほんとどうやって直樹を陥落させたのだろう?皆様の妄想にお任せしたいと思います~。

・・・しかしほんと、どこの安い小説家ドラマでも見たのでしょう?この科白。琴子語録、ありがとうございます!またピックアップしてやってくださいね♪

藤夏さん、こんにちは~♪

こんにちは!誕生日とこちらの両方にコメント下さってありがとうございます~~(^^♪
早めのUPを…とか言いながら、なかなかゆっくり創作する時間がとれずいるのですが、ゆっくりお待ちして頂けるとの事、ありがとうございます!!それに、2度3度読みなんて……!!すご~く嬉しいですよーー(T_T)

誕生日について、まさか自分が琴子の誕生日をお祝いする日が来るなんて、去年は全く想像もしていませんでした。それだけでもう感慨深いです。
企画を楽しんで頂けて嬉しいです!また…藤夏さんのお話も読ませて頂きたいです(*^_^*)
ケーキよりも甘い2人なんて、なんと素敵なお言葉でしょう♪そう読んでいただけたなら感激です。琴子、ほんと羨ましいですよね~。私もアーンしてほしいっ(笑)
ちゃんと少しずつ入江くん甘くなっていたみたいでホッ(^m^)もう仰る通り、琴子にメロメロフォーリンラブ(←ぶぶぶっ!!)ですよねww

そして、こちらのお話…。
紀子ママ状態で驚いて下さって「やった!」って感じですよ~☆いやもう、最近特に琴子のペースにやられる入江君を見るのが大好きで(笑)そういう意味でも、アプローチは違いますが藤夏さんの無邪気シリーズはかなりツボでございます♪
どこまでも伸びていく琴子に、入江くんは本当にメロメロフォー…(←自重 笑)

そして、動物園ですよね~~!私はあんな面白い話は書けないですが、どうしてもこの流れを引き継ぎたくって(^^♪
因みに次回でアヒルちゃんも少し触れさせていただきたく思います~。だって、ウチの神戸は『The Gift of~』から続いているんですもん♪なんて(^^)
海遊館…私もほんとここ数年行ってないです~。神戸なら須磨ですよね、普通(笑)この設定作りたいがためにオリキャラ作っちゃいましたよ!ははは。

それでは、また読んで下さいね~。いつも楽しいコメントをありがとうございます!!





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吉キチ様へ、ありがとうございます!!

こんばんは♪
わぁぁ、本当ですね!スキマでのUP、気が付けばちょうど100話目でした・・・!!
まさかこんなに書けるとは、はじめは思いもよらなかったです。
それもこれも、いつも読んで下さる方がいるおかげだと、本当にそう思います。
そして、いつもご丁寧にコメント下さる吉キチさん、どうもありがとうございます!!
私の方こそ、誤字脱字だらけで、お恥ずかしい限りです(^_^;)気が付けば直すようにしているのですが、放置している事もしばしば…(汗)
こんな拙サイトですが、どうぞ今後も宜しくお願いいたしますm(__)m

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拍手コメントありがとうございました!

Fox様
こんばんは♪
Foxさんも海遊館に遊びに行かれた事があるんですね(^^♪しかも遠距離恋愛中なんて、まさにこのお話通りじゃないですか!!
私も何度かは行ってるんですが、ここ数年行ってなくて。また行きたいなぁと思います(*^_^*)
またお付き合いいただけると嬉しいです。いつもコメントありがとうございます☆


紀子ママ様
こんばんは♪
ああ、紀子ママさんも積極的な琴子ちゃんを受け入れて下さってありがとうございます!!
結構ドキドキしてたんですよ。表でこれはまずいかなって。紀子ママさんの寛容さ、感謝します(*^_^*)
そして、chan-BBさんの動物園を思い出して頂けたようで(笑)ほんと、あれは直樹、散々な目にあってましたよね!ぷぷっ(^m^)
今後も楽しみにして下さって嬉しいです。またお付き合いくださいね♪

chan-BB様、コメントありがとうございました!

こんばんは♪
こちらこそ、動物園の話を取り入れる事をお許し下さってありがとうございました(*^_^*)次回、さらに使わせて頂いております!!キリリクの御礼…にはならないですよね(^_^;)

そうそう、海遊館デートなんです!でも私、ここ数年行ってないんですよねぇ。須磨なんてもう子供の頃い遠足で行ったきり(*_*)つまりどちらもイマイチ中を憶えていないんですよ(>_<)なので、これからどれくらい様子を再現できることやら…。
でも、仰る通り、天保山には海遊館以外もありますから、その辺のところも書きたいので、さらっとさらっと行こうと思います!(←あっ、逃げた!(笑))
ではまた、お付き合い頂けると嬉しいです★

吉キチ様、コメントありがとうございました!

こんばんは♪
琴子の大胆さ…。この描写はしていいのかと躊躇したのですが、裏庭で私の考えは書いたので、表でもこれ位は書いてもいいかな?と思って書いちゃいました。
伸びしろ…、どれくらいあるんでしょうね?(笑)笑って受け入れて下さってほっとしました。ありがとうございます!
直樹がどうするかは、ご想像にお任せします~(*^_^*)エヘ。

kinchan様、コメントありがとうございました!

こんばんは♪
kinchanさん、海遊館によく足を運ばれているのですね!私は4、5回ってところでしょうか。ここ2,3年は行ってないんですよね(^_^;)また行きたい!
そして、kinchanさん、イイところついてます!!今後その辺り絡んできます(笑)宜しければまたお付き合いくださいね(*^_^*)

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 どこまで伸びますか?

              こんにちは
 琴子の大胆さ・・・まだまだ伸びしろを残してるので、これからもワクワクと待ってます。
 その『伸びしろ』は、どこまであるんでしょうねぇ・・・ウッシィシィ  
 その時 直樹はどうするんかいなぁ・・・
         楽しみ一つ増えちゃった。 ありがとう です。

たのしみ♪

海遊館は私も好きなところです♪
関西人の私はよく子供を連れて遊びに行きましたし、これかも足を運ぶだろう場所です♪
海遊館の隣の二階建の建物はショッピングや食事やゲーセンがあり、大きな観覧車もあるんですよね~

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