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::Blessing to you 4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「ねぇ、今更だけどさ。武人って、いつ、直樹先輩が琴子さんの事好きだって気付いたの?」

ふと綾子の声が耳に入り、裕子は質問された武人の方を向く。

「そうだなぁ。 琴子さんに付き合ってほしいって言う前から、何となく入江さんは琴子さんが好きなんじゃないかって予感はあったんだけどな。 ・・・・ なんていうかさ、入江さんって琴子さんの事、一見邪険に扱っているように見えるけど、琴子さん以外の人間に、あんな怒鳴ったりからかったりしないだろ? まるで、思春期の子供みたいな好意の表現だけどさ。
 で、予感が確信に変わったのは、俺と食堂のお兄さんが、琴子さんの事で殴り合っている時に、入江さんがやって来て、言ったセリフ聞いたときだな。 
 ・・・・ 『琴子が好きなのは俺』 なんてセリフ、好きな女以外のために言うかっつーの」

「ああ、あの時ね。カッコ悪かったわよね、武人」

「ほっとけ!・・・・ そうゆうお前は、いつ諦めんだよ?」

「――まぁ、元々私の気持ちなんて憧れの一種だったんだけどさ。試験勉強教えてくれる約束すっぽかされたときかな。 全く、役に立たない人送り込まれてね!」

「あ~そう!っとに可愛くねー女!!」

「今更気付いたの?ご愁傷様。 ・・・・ ねぇ、お姉ちゃんはいつ、直樹先輩の気持ちに気付いたの?」

突然話を振られ、裕子は戸惑う。

「いつって…。あなた達より以前という事は確かだけど…。」

言葉を濁す。とそこで挙式の行われるホテルのロビーに到着した。

「まだお式まで少し時間あるわね。どうする?入江のおばさまから控室に相原さんに会いに来るように、ってメッセージがあったけど」

裕子は話を逸らした。


「あ、俺は遠慮します。入江さんより先に琴子さんのウェディングドレス姿を見ようものなら、怖い目で睨まれそうですから」

「私も遠慮しておくわ。武人とお茶でもしているから、お姉ちゃん行ってきなよ」

何かを察した2人はごく自然な振る舞いで辞退した。


「じゃあ私だけでも行ってくるわね」

――ありがとう・・・心の中で礼を言うと、裕子は琴子の控室へと足を向けた。





コンコン。

「は~い。まぁ、松本さん!今日は琴子ちゃんとお兄ちゃんの結婚式に来てくれてどうもありがとうね! さぁさ、お入りになって。琴子ちゃんすっごく可愛いのよ~!!どうぞゆっくりお話しして頂戴ね。 私はプランナーさんと最終打ち合わせしてくるから。 じゃあね、琴子ちゃん。リラックスよ!」

矢継ぎ早に喋って、紀子は入れ違いに部屋を出て行った。

紀子のハイテンションな勢いに押されながら、裕子は室内に足を踏み入れる。

純白のウェディングドレスに身を包んだ琴子は、緊張で顔が強張っている。

しかし、エステの効果か、・・・いや、幸せが全身から溢れ出ているのだろう。肌は透き通るように白く、頬はピンク色に染まり大変愛らしい。


「ま、松本姉。来てくれたんだ。ありがとう」

琴子に声をかけられ、裕子はいつも通りを意識して琴子に話しかける。

「相原さん、結婚おめでとう。まったく、どこがどうなってこんな事になったのかしら?」

「そ そうよね。訳分かんないわよね。私も、まだなんだか夢の中に居るようで・・・」

「あなたと入江君の結婚式でしょ?しっかりなさいよ」

「う、うん。そうだね。」

琴子は自分に言い聞かせるように答える。


「まったく、入江君のお母様のバイタリティには感服するわ。 お陰でこの2週間、私はモヤモヤし通しだったのよ。納得のいく説明をしてほしいものだわ」

「と言われても…。なんだか入江君、急に態度が変わったって感じで・・・・」

「あなたのお友達に聞いたわ。キスされたって?」

「えっ、う うん。・・・理美とじんこのやつ、おしゃべりなんだから・・・・」


「――で? 今度はなんて言われたの?またザマーミロ?」

「ち、違うわよっ! ・・・・・俺以外の男、好きだなんて言うなって////」



――――あぁ、やっぱり…あなたらしいわ。入江君


「・・・・ついでに聞くけど。 初めのザマーミロのキスの時ってどんなシチュエーションだったの? 今となってはそれも良い思い出でしょ? 聞かせてよ」

「あ、あれは・・・ 卒業式の謝恩会で、私と入江君、喧嘩しちゃって。 言葉の弾みで、もう入江君の事好きなの止めるって担架切ったの。そしたら、『じゃあ、忘れてみろ』ってキスされて、『ザマーミロ』って・・・・」


――――――!!!!!!


裕子は笑いたくなった。いや、声を出して笑っていた。


「もう!!やっぱり馬鹿にして~~~!!!」琴子がプゥっと頬を膨らます。


――まったく、どうしてこの子は気が付かないのかしら?1度目も2度目も、全く同じ理由であなたはキスをされたんじゃない!



裕子はにっこり琴子に笑いかける。 それは、心からの祝福の笑顔。



「フフフ。ごめんなさい。・・・ 相原さん、今のあなた、本当に綺麗よ。入江君もこの姿を見たらきっと惚れ直すと思う」

「松本さん・・・?」

いつもと全く違う様子で話す裕子に、琴子は驚きを隠せない。


「相原さん、あなた、まだ入江君が、どうしてあなたを選んだのか、正直分かっていないでしょ? 仕方ないわよね。ずっと片思いしてきたと思っていたんだから。 でも、自信を持ちなさい。 入江君は誰でもない、あなたを選んだの。 あなたでなければ駄目なのよ。・・・幸せにしてもらいなさい。 そして、入江君を幸せにするのよ。 周りの人のために、―――― そしてあなた達のために」


「・・・・ うん。そうだね。幸せに、なるよ。約束する」

しっかり決意を固めた表情で琴子は答えた。


「じゃあ、チャペルで待っているわ。ドレス踏んづけて転んだり、指輪をはめる手間違えたりしないようにね」

裕子はイタズラな顔をつくって見せる。

「もう!やっぱりイジワルなんだから~!!」

琴子もいつも通りに戻って、笑って裕子を送り出した。






「お時間ですので、ご参列の皆さまはチャペルにお入りください」


係員に促され、裕子たちはチャペルの中に入る。

式開始が宣言され、直樹が入場してきた。列席した女性陣から溜息が洩れる。

「続いて新婦の入場です」

進行の合図とともに扉が開き、皆がそちらを向く。そして、入って来た新婦の美しさに息をのんだ。

裕子はちらりと直樹を伺い見る。

一瞬の驚いた顔、そして見たこともないようなやさしい表情で琴子を迎える直樹。


神父の説教が始まる。
普通の式では新郎新婦は厳かにその話に耳を傾けるのであるが、この2人はやはり型には収まらない。なにやらゴソゴソ話している。


――まぁ、あなた達らしいけど。

苦笑しながら、そんな2人を見つめる。

指輪の交換を終え、誓いのキスとなった時、琴子の明るい声が響く。


「入江くんも、私に夢中だったのね!!」

直樹の首に両腕を回し、思い切り背伸びして自らキスをする。

「ザマーミロ♪」

イタズラな顔で笑いかける琴子。

「・・・参った。お前には」

苦笑する直樹。


周りには良く理解できない会話。でも、今の裕子にはしっかり理解できる。




――結局、出会う前から結果は出ていたという事なんだけど。

でも、入江君に、そして相原さんに出会えてよかった。

入江君には、はじめての恋を教えてもらった。

そして、相原さんには一途過ぎるほどの真っ直ぐな気持ちを。

もちろん私だって、真剣に入江君に恋していたわ。

でも、やっぱりあなたの愛の深さには敵わない。・・・・私こそ、降参だわ。




教会から出て新郎新婦を迎えるよう、フラワーシャワーを手に皆が並ぶ。

そして、2人が現れた。

皆に見守られながら階段の踊り場で足を止め、周りを見渡す琴子。



そして、裕子を見つけると満面の笑顔を向けた。

裕子めがけて、琴子の持っていたブーケが舞い、それを裕子はキャッチする。



「・・・とんできたわ」

裕子はわざと無表情に呟く。



周りからは歓声が上がる。友人たちに囲まれる2人。



裕子は足を停めたまま、そんな2人を少し遠くから穏やかに見つめ、そして空を仰いだ。



11月後半らしからぬ穏やかな陽気。
空は遠くまで澄んでいる。

その美しい青空は、今永遠の愛を誓った2人を祝福し、その場にいたすべての者を温かく見守っている。



不意に離れた2人と目が合った。

――― 幸せになってね。




言葉にならない言葉が3人の間で通じ、彼らは静かに微笑んだ。









あとがき

以上で【 Blessing to you 】は終わりです。

水玉様の素敵な、切ないお話に、なんと拙いエピソードを付けてしまったのか・・・
今回掲載にあたり、再度読み直したのですが、本当に恥ずかしくなってしまいました。

多少の加筆・修正を試みてみたものの、私の腕ではもうこれ以上はどうしようもない・・・
恥を覚悟でUPします(>_<)


このお話は正真正銘、私が書いた初めてのイタキスです。
初めて書いたのが松本姉視点って、なんだか可笑しいですよね。
でも、それだけ水玉様のお話が、私の心を鷲掴みにしたという事なんです。

ここに改めて、お礼を申し上げます。

そして、読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。


10巻スキマ  コメント(5)   トラックバック(0)  △ page top


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::コメントありがとうございました
> marimari様

こんにちは。大分寒くなってまいりましたね、marimariさんもお風邪など召されていませんでしょうか?
いえいえ、全然読み逃げとか思ってませんから。今回もこんな過去作にコメントして下さって!
しかもこちら、私のはじめて書いたお話です。おりしもちょうど今の時期のものですね。懐かしい(^m^)

隙間とはいえ登場人物の・・・はありがたいお言葉です。
この時期はそれぞれが本当に様々な感情を抱いていたと思います。

はい、これからもマイペースに書きたいものを書かせて頂きますね^^
marimariさんもどうぞお体ご自愛ください。またふといらしてください♪
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::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
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::拍手コメントありがとうございます
舞様
はじめまして、こんにちは。コメント残して下さってありがとうございます!読んで頂けるだけでも嬉しいんですが、こうしてコメントを頂けると本当に励みになります(*^_^*)
そうなんです、私の二次創作はここから始りました。拙いお話ですが(あ、今もそうですが…(T_T))舞さんをはじめ、読者の方の想像力で補って頂いています(笑)
そうですね、渡辺君は大学時代の2人の事は殆ど知らないでしょうから結婚の知らせを受けた時は驚いた事でしょう。松本姉妹はずっと見ていたし、賢い人たちだから驚きつつもやっと納まる処に納まったと思った気がします。
結婚式の様子・・・想像すると楽しいですよね^m^私も色々想像してみたいです♪
そしてそして!キリリクご希望いただけるなんて、ありがとうございますww!!やりたい気持ちはあるんですけど、スル―されると怖いのでなかなか勇気が無くて(^_^;)もしかしたら3万御礼に募集させていただくかもです。その時はどうぞ狙ってください(^^♪

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::拍手コメントありがとうございます
4/12 22:37 にコメント残して下さった方様

こんばんは。メッセージ残して下さってありがとうございました。
松本姉は、原作を読んだ当初は特に好きなキャラでもなかったのですが、今になって琴子と同じように正々堂々としている所や潔さがかっこいいな、男前(笑)だな、と思うキャラです。
まさに爽やかな気持ちで書いた作品だったので、そう仰って頂けて嬉しいです。ありがとうございました!!
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::拍手コメントありがとうございます
v-20R様
あけましておめでとうございます!
昨年は新参者の私に心優しいコメントを下さってありがとうございました。
本年も宜しくお願いします!!
この度はblessing to you読んで下さってありがとうございます。ほんと、水玉様の素敵なお話にこんな駄文を・・・・(>_<)
でも、R様の仰る通り、松本姉は常に勝気な姿勢をとりながらも、琴子の事を認めていたとおもいます。upした事を良かったと言って下さる方がいて、ホッとしました(^-^)

v-20g様
はじめまして!
水玉様のところからお越しいただいたのですね!コメント残して下さってありがとうございます!凄く嬉しいです(^-^)
1度目のキスについては意見の分かれるところだと思いますが、そう思うと言って下さる方がいてよかったです。
また、遊びに着て下さると本当に嬉しいです。お待ちしていますね♪
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