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Swinging Heart

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



月明かりで目が覚めた。

首の下にある逞しい腕の感触。生まれたままの姿で眠っていた身体に伝わる温かな体温。


――そうだ。私たち、やっと仲直り出来たんだ――


この夏ギクシャクしてしまったままの私と入江君の関係は、昨日の夜の時点で最悪の結末を迎える不安を最大限に膨張させてしまっていた。

その引き金を引いたのは、私。



いつも、心のどこか奥底に秘めていた、【入江君が、どうして私を選んだか】という疑問。
勿論、入江君が私の事を好きなんだって、実感した事が無いわけではない。
でも、言葉にしてくれる事の殆どない入江君にここ数カ月あんな態度を取られてしまって、それを啓太にも指摘されてしまい、私はほんの少しの愛されている自信さえ、見えなくなってしまっていたの・・・・




でも今日、入江君は言ってくれた。
入江君にとって、私が必要な存在であるという事を。


やっとお互いの蟠りが消えて、素直な気持ちで互いに向き合えた私たちは、久しぶりのキスをした。
沢山、沢山した。



今までは恥ずかしさもあって、抱かれる時はかすかな明かりの元だったのだけれど、今宵は月明かりが綺麗に部屋に差しこんできて、気持ちもとても穏やかで・・・・・

今夜、月明かりを頼りに私たちは愛し合った。




今もなお、眠りながら私の事を大事そうに包みこんでくれている入江君。

微かな明かりを頼りに、その寝顔をみつめる。


本当に、今でも時々信じられなくなる。
この綺麗な人が、私を好きでいてくれているなんて。でも、もう迷ったりしないよ。

入江君、入江君も私が必要なんだよね・・・・・・?



瞼を閉じた入江君の睫毛は長い。
切れ長の、一瞬冷たそうだけれど、色んな感情を私に向けてくれる瞳。
ぼんやりと見とれていると、その目がふと微かに歪み、そして、一筋の涙が零れた・・・



私はその光景にはっとした。
入江君の涙を、私は今まで一度も見た事がない。
それを今不意に見てしまい、私の心に言いようのない気持ちが込み上げる。
思わず、入江君の涙が零れた頬を、私は指でそっと拭った。




「ん・・・・・」

私が触れてしまったからか、入江君が目を覚ました。


「ごめん、起しちゃった・・・?」

「いや・・・・ 俺、今、涙流していた・・・・?」

「あ・・・・うん。何か怖い夢でも見たの・・・・?」

「あ・・・ああ、そうだな・・・・」

「どんな夢?話したら、楽になるかもしれないよ・・・?」

暫く迷っていた様子だったけれど、入江君は女々しいけど、と言いながら話してくれた。


「昨日、お前に言われた事を夢見てたんだ」

「私が、言った事・・・?」

「ああ。俺が琴子の事を、好きじゃなくなったんだ、いや、最初から好きじゃなかったんだ、って」

「あ・・・そうだったね・・・・・・」

それは昨日まで私が胸の奥に秘めていた本心。胸がズキンとした。


「凄く・・・、ショックだったんだ」

「・・・え・・・・・?」

「お前に、そんな風に思われていたなんて。そして、そんな風に思われるような態度しか、俺は取れていなかったのかって」

「そんな・・・・!!違うの、いつもそんな風に思っていたわけじゃないの!!ただ、あの時は―――――」

「分かってるよ。」
私の言葉を遮るように入江君は言った。

「分かってる。お前が、俺の気持ちを全く理解ってなかったとは思ってない。でも少しでもそんな風に思わせてしまった自分が情けなかったんだ。だからあの時、お前の事をすぐに追いかけたかったけれど、足が竦んで動けなかった」

「入江君・・・・・・」

「改めて、気付いたよ。心っていうのは見えているようでその実、本当に見えているのはその中のほんの一部に過ぎない、って。だから、言葉があるんだな。言葉にして伝えるのって、凄く大事なことなんだな――」

私の目をしっかり見て話してくれていた入江君の手が、そっと私の髪を撫でた。

「琴子、お前の髪は本当に柔らかいな。こうして梳いても、サラサラと零れていく」

そして私の頬に、瞼に、唇に、その優しくて 大きな手が触れる。

「このふっくらした頬も、色んな事を語りかけてくる瞳も、柔らかい唇も・・・・大好きだよ、琴子。多分これからも、お前のように素直に気持ちを表現するのは下手だと思う。でも・・・・・ずっと、傍に居てくれよな・・・・・」


「――――――― !!」


私の眼から、止めどもなく涙が零れる。
溢れる想いがあるのに、言葉にならなくて、私はただ必死で何度も首を縦に振る。

「ありがとう、琴子・・・・・」

入江君の長い指が、次から次に流れ落ちる涙を拭ってくれる。

そして、私たちは再び深くキスを交わす――――。

それは、再びお互いの溢れる想いを注ぎこんでゆく懸け橋へとなる・・・。



揺れる体温が心を焦がしていく。

この苦しいほどのあなたへの想いは、止まることなく動き続け、鼓動をゆっくりと押し込んでゆく。

固く結んだこの手を、夜明けまで解かないで。
ずっとお互いを見つめ続けて―――――――。







読んで下さった方、ありがとうございます。

ブログを開設するにあたりブログ名をどうするか迷い、イタキスの色々なシーンを回想しました。

イタキスの中で好きなシーンは本当に沢山あるのですが、この回は1,2を争う位に好きなエピソードです。
入江君が、どれほど琴子を思っているかがダイレクトに伝わって来たこの場面の続きをイメージして、まず題名だけを決め、それにお話をつけてみました。


※2011/1/23限定公開解除しました。

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テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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Re:ちびた様

ちびた様

はじめまして。先日は嬉しいメッセージをありがとうございました。
合わせてこのような遅いお返事になってしまったことお詫び申し上げます>_<

ふふふ、見つけて頂けましたか♪この感じを好んで下さって良かったです。
またお時間ある時に色々読んでやってくださいね^^

拍手コメントありがとうございました

>みぃ様

この度は拍手コメントありがとうございました。
もしかしたらコメははじめましてかも・・・との事でしたが、私も頂いたことがあるのかないのか曖昧で・・・失礼お詫び申し上げます。
パスワード、悩ませてしまい申し訳ございません!でもお気付き頂けたようでよかったです。
イタキス原作、私もリアルで読んでいた世代です(^^)今さらですが、まさかこんな創作するようになるとは分からないものです(苦笑)
また楽しみにしていると仰って下さりありがとうございます。こちらこそ宜しくお願いします。

拍手コメントありがとうございました

>ねーさん様

ポチッと押して下さりありがとうございます。
そうなんですよ。始めはキーボード打ちで12文字と勘違いしておりまして^^;
よくよく考えるとローマ字入力の場合は11文字だなと気付き、修正させて頂いておりました。
おかしいですね・・・。あってるのに何故入れないんでしょう?>_<
実は他の方にも同じ質問を頂いたのです。原因が分からないものの、とりあえずもう一度文字入力し直しました。
宜しければそのパスワードで今一度お試しになってみてください。
お手を煩わせてしまい申し訳ありません。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

しのさん、ありがとうございます。

しのさん、はじめまして。ようこそ当ブログを探し当ててくださいました。ありがとうございます(≧▽≦)
本当に、素敵なエピソードが満載の原作ですが、その中でも10巻と16巻は私も大好きな巻です。その隙間の創作をキュンキュンしながら読んでいただけたのなら、これほど嬉しい事はありません!
励ましのお言葉ありがとうございます。これからも色々なお話を書いていければと思います。また是非遊びに来てくださいね。

hiromin様、コメントありがとうございました!

hiromin様

はじめまして。この度は素敵なサイト様を通じ、当blogにもお越しいただきありがとうございました!
そして、沢山の作品にコメントを寄せていただき感激しております(^^)

はい、このお話はそうです。あの一件後のイメージで書かせていただきました。原作で描かれている仲直りした後の入江くんと琴子の表情がすごく素敵で、とても大好きな場面の一つです。
まだまだ創作を始めたばかりの作品で、自分で読み返すにはなんとも恥ずかしいのですが、素敵な言葉で感想を綴っていただけて嬉しいです。また、この作品については、このコメントの後日に改めて拍手コメントまでして下さり、重ねて御礼申し上げます!

さて、hirorinさんは台湾版イタキスから嵌られたのですね。私は原作、アニメには触れていたのですが、台湾版は創作を始めてから部分的には観たという状況なんです。また時間がとれたらゆっくり一から観てみたいなぁと思っています♪

他の作品に頂いたコメントにも順次お返事させていただきますね。私は本当にコメレスが遅いんです・・・(><)申し訳ないですが、宜しくお願いいたします。

初めまして

初めまして。ソウさまと水玉様のお部屋から辿ってお邪魔しております。初コメです。台湾版イタキスに嵌ったのが最近で、まだ初心者ですが2次小説も大好きです。素敵な心ときめくお話しがたくさんあって、ドキドキしながらとても楽しく読ませて頂いています。
ブログタイトルにもなったこのお話し、ドラマでも切なくなったあの件の後の出来事ですね、でも凄くたおやかに2人の姿を描いて下さって、ぽーっとしてしまいました。素敵でした。パス解除になっていて有難かったです。原作読んでないのでパス解けなくて。でもいずれ原作もと思っていますので後ほどの楽しみにとっておきます。
素敵なお話を読ませて頂いた感謝を込めて。有難うございました。

拍手コメントありがとうございます!

Fox様

こんばんは!このお話はもうパス設定をする必要も無くなったお話なんですが、どうも気恥ずかしくてそのまま鍵を掛けさせて頂いてる次第です(苦笑)

直樹の涙…。本人の無意識のうちに流れたそれはとても美しいような気がして、そこからイメージして書いた作品でした。そんな直樹の姿を見る事が出来るのも琴子だけですよね。
啓太の一件は2人にとって試練でしたが、それがさらに2人の絆を深めた素敵なエピソードでした。仲直りした夜のキスのページは、原作の中でもかなり大好きな1ページです(^-^)

拍手コメントありがとうございます

v-20Y様
はじめまして!初コメントありございます!とっても励みになります(^-^)
うっとりして頂けましたか?嬉しいです♪
これからもどうぞ見に来て下さいね☆

拍手コメントありがとうございます

v-20c様
見に来て下さってありがとうございます!
えへへ、そうなんです。
ブログ名やパスワードに関するお話にご反応頂けて嬉しいです。
気持ち、ご理解して下さってありがとうございます!
本当、隙間の時間を見つけて書いていきたいです。これからもよろしくお願いしますね。

v-20y様
こんばんは。本日の夜中にupしたものを早々に読んで下さってありがとうございます(*^_^*)
y様もこちらのエピソードお好きなんですね。心に残るなんて言って頂けて本当に嬉しいです。ありがとうございました!

v-20A様
あけましておめでとうございます!パスご請求いただいてありがとうございました。そして、もう2つ目のパスつきの話を描いている私・・・・
入江君の涙は、出してもいいかなぁと迷ったのですが、入江君なら涙も美しいはず!(笑)
ウットリしていただけて、バンザーイ!って感じです(*^_^*)

v-20R様
こんばんは!見に来て下さってありがとうございます♪
このエピソードでは、普段クールな入江君が本当につらそうな顔を見せたり、幸せそうな顔をしたり、本当に表情豊かなんですよね。こんな気持ちだったのかな・・・と想像して書きました。良かったと言って下さってありがとうございます(^-^)

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