::Always at any time ~Theory of relativity vol.2~
今さらながらのバレンタインネタです。
枯木も山の賑わいと思って読んでいただけるとありがたいです(^^)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


St. Valentine's Day―  それは遥か昔、ヨーロッパはローマ時代を起源とする愛の誓いの日。
近年世界各地に広まったこのイベントは、国により様々な方法で祝われる。

ある国では男女問わず親しいもの同士が、花束やカードなどを贈りあうのだという。
またある国では、男性が女性に尽くす日とされている。

さて、ここで日本におけるバレンタインはというと、それは近年多様化しつつあるものの女性が男性に愛を伝えるという独自の文化を築き上げ今日に至る。そして、その手段として多用されるチョコレートの消費量は、驚くことにこの国のそれの年間消費量の2割に及ぶのだという。

では、その大量消費されたチョコレートは、世の男性に万遍なく行き渡るのか?
残念ながらそこには不平等な真理が存在し、各人の思惑に関らず、それらはある一点に集中する事がしばしば。そしてその渦中にいる者の一日は、否応なしに衆目を集める事となる。


 
ある年の2月14日。
ここ斗南大学病院食堂で、琴子は今年も不機嫌な顔を浮かべていた―。



「ったく、アンタってばさっきからなんて顔してるの。怖いわよ」

食事をし終えた割り箸を袋に戻しつつ、幹は呆れた目を琴子に向けた。

「だって、これが穏やかでいられますかっての!」

一方反論する琴子の目は、少し離れた先に出来た人だかりに注がれている。
そこでは、ナースをはじめとする女性病院関係者がこぞって直樹にチョコレートを手渡していた。

「まったく、毎年毎年冗談じゃないわ!あたしという妻の存在を知りながら、皆なんでいつも入江くんにチョコレートあげるのよ!?」

「いや、寧ろアンタが入江さんの妻だからじゃない?」

「どういう意味よ!?」

しれっと答える幹を琴子はギロリと睨む。幹は視線を逸らすとベっと舌を出した。

「だいたいねぇ、律儀に受けとるなんて入江くんも入江くんよ!ほら見て、今なんて沙紀ちゃんに笑いかけたわ」

「ああ、あの可愛いって評判の」

「あーあ、あたしが入江くんにまともにチョコレートを受け取ってもらえたのなんて、結婚してからやっとだったのに・・・」

「アンタって、すごく嫌がられていたのね」

「モトちゃん!!」

「んもう、冗談じゃない」

大声を出す琴子に幹は耳を塞ぐような素振りをすると肩を竦めた。

「ったく、そんなに目くじら立てないの。入江さんがモテルのはなにも今に始まった事じゃないでしょ?」

「そ、そりゃそうだけど」

そこは頷くより他無い琴子だ。知性と容姿を兼ね備えた直樹は、出逢った頃から常に異性(時には同性も)の注目を浴び続ける。それは、琴子と結婚してもなお衰える事はない。目の前の幹など、私設ファンクラブの会長を務めてもう何年になるだろうか。

「入江さんの妻なら、もっとドンと構えてなさい。入江さんを責めるなんて持ってのほか!!」

「もう、分かったわよ!モトちゃんはほんと入江くん贔屓なんだから」

嗜められた琴子はプゥと頬を膨らませる。
そして「やっぱりあたしって、入江くんを巡って一生戦わなくちゃいけない運命なのね」と溜息を吐いた。



―  まったく、この子はいつまでたっても変わらないんだから。

幹は琴子の鈍感さに内心苦笑する。

言うまでもなく、直樹がバレンタインのプレゼントを素直に受け取るのは、ただ大人の礼儀としてだ。そして、元来甘いものが好きでない直樹が、数あるバレンタインのチョコレートの中からきちんと口にするのは、専ら琴子の作る少し不器量なそれだけである。

だいいち、今も直樹を取り囲み、こぞってチョコレートを送る女性たちとて、直樹と琴子の間に本気で割り込もうとする者などいない。何故なら、二人の絆の深さは今さら推し量るまでもなく明らかなのだから。
ましてや、直樹と琴子の間には、二人の愛の結晶である琴美がすくすくと成長している―。



「それはそうと琴子、アンタも入江さんにチョコ作ったのよね?」

「うん。昨日非番だったから、琴美と作ったよ」

幹の問いに切り替えの早い琴子は笑顔で頷いた。小さいとばかり思っていた琴美ももう幼稚園に通っている。

「そっかぁ。今さらだけど琴子ってば、すっかりママなのよねー」

幹は目を細め琴子を眺めた。琴子に娘が生まれてもう何年も経つというのに、こうして二人で話しているとその事実をつい忘れそうになる幹である。


「琴美ちゃん、ママとのチョコ作り喜んでいたんじゃない?」

「うん。でもあたし、なんだかダメだしされまくりで・・・」

「琴美ちゃんに?」

驚く幹に、琴子は恥ずかしそうに頷くと苦笑いする。

「『ママ、なんでレシピ通りに出来ないの!?』って怒られちゃったよ。まったく、なんで一度レシピ読んだだけで作り方覚えられるんだろ?」

「さすが入江さんの血を受け継いでるって感じね。良かったじゃない、アンタに似なくて」

幹はそう言うと、むっとした表情を見せる琴子に構うことなくクスクスと笑う。
幹の脳裏には、まるで琴子のミニチュアのような容姿の琴美が、直樹そっくりに眉間に皺を寄せて琴子を叱咤する様子がありありと浮かぶようだった。


「もう渡したの?」

「ううん。今日は入江くんも日勤だから、帰ってから琴美と一緒に渡すつもり」

「あ~んもう、アンタってばほんと羨ましい子ね!!」

可愛い母娘が心を込めて手作りしたチョコレートを笑顔で受け取るハンサムな父。それはなんとも幸福な家族の絵で、幹はうっとり目を閉じる。


「さ、それじゃアタシもちょっと渡してくるわ。人だかりもやっと少しマシになったようだし」

「あ、やっぱりモトちゃんも入江くんに渡すんだ」

「何言ってるの。当然でしょ」

紙袋を手に立ち上がる幹に、琴子は自分も椅子から腰を上げると、見せて見せてと中を覗き見る。するとそこにはシック色合いの和紙に包まれた長方形の小箱が鎮座していて、それはなんとも幹らしいシックな好みだった。


「定番だけどトリュフにしたの。でも、結局これって殆どが琴子の腹の中に納まるわけよね。複雑だわ」

「えへへ。今年もいただきます」

満面の笑顔を浮かべる琴子に、幹は仕方がないわねと小さく溜息を吐く。

「でも一つだけお酒が強いものがあるから、それは入江さん用よ?」

「はーい」

琴子はまるで子供のように返事する。相変わらず酒に弱い琴子は、こんなものでも少し酔っぱらってしまうのだった。


「ところでモトちゃん、これって手作り?」

「ええ、そうよ。気がついた?」

琴子の問いに幹は微笑む。確かにその包みは、相当数生産するチョコレートの包装とは何処か違っていた。

「珍しいよね?あたし、モトちゃんはいつも高級チョコってイメージだったんだけど」

「たまにはいいかな、と思って。ほら、アタシってお菓子作りもかなりの腕前だから、今まではアンタに遠慮してあげてたのよ」

「モトちゃんのいじわる」

琴子は頬を膨らませる。その様子に幹はニヤリと笑うと、そんな事よりも、と琴子に意味深な視線を向けた。

「珍しいと言えばさぁ、アタシに言わせてもらえば琴子の方が珍しいと思うんだけど~?」

「ん?なんの事?」

一見柔和な表情で、然し詮索するような目を自分に向けてくる幹に、琴子は首をかしげる。すると、幹は妖しげな笑みを湛えたまま、琴子の耳元についと口を寄せた

「ねぇ、今更だけど聞かせてくれないかしら。琴子、なんで今年は例のものは要らないなんていったの・・・?」

「例のもの・・・?」

「んもう、鈍感ね。ボディクリームのことよ」

なかなかピンと来ないらしい琴子に、幹はとうとうはっきりと告げる。すると琴子は途端に耳まで肌を赤くさせた。

「いい加減白状なさい!」

「な、なんとなくよ。なんとなく!」

「嘘おっしゃい!!」

グイと琴子に迫る幹の声は、もはや男のものにになっている。
幹の剣幕に圧された琴子は、とうとう首を縦に振ると小さな声で話し始めた―。



「・・・ほら、モトちゃんがくれるボディクリームって、いつもすごくいい匂いがするじゃない?」

「んー、まぁそれはそうね」

上目遣いでこちらを見ながら話す琴子に幹は頷く。

ボディクリーム―  それは彼らがまだ学生だった頃、幹が初めて直樹に贈ったバレンタインのプレゼントで、その後もこのイベントが訪れる度、幹は趣向を変えたそれを吟味してはプレゼントしていた。

男性に贈るプレゼントにしては少し変わったその品を幹が選んだきっかけは、当時琴子が呟いた「苦くないボディクリームはないのかな」という他愛のない一言からだったのだが、それが何故、今なお継続するバレンタインのプレゼントの定番たりえるのかは、この贈り物を直樹がまんざらでもない様子だったからだ。

勿論、幹が毎年手を変え品を変えチョイスするボディクリームについて、直樹が言及した事はない。が、バレンタインの翌日、琴子は身体のどこかに決まって直樹に愛された形跡を残していた。そんな琴子を見ると自らも幸せな気分になるというのだから、幹の2人に対する思いの深さは計り知れない。

「で、それがどうしたっていうのよ。そんなの、今さらでしょ?」

「うん。それがその・・・。それこそ今さらなんだけど、いつも匂いが入江くんに移ってしまうのよね」

「ああ・・・、そうなるのかしらね」

相槌を打ちながらも幹は思う。まったく、この2人はどれほど深く長く身体を重ね合わせているというのか。

「つまり、それを入江さんが嫌がるということね?」

確かにあの甘い香りを直樹が漂わせていたら、それは余りにもイメージにそぐわない。が、琴子はそうじゃないと答える。そして、入江くんはシャワーを浴びれば済むことだからと言っていると続けた。

「じゃあ 何が問題なの?」

「そ、それは・・・、あたしがイヤなの」

不思議そうに尋ねる幹に、琴子はもじもじしながら漸く答える。

「入江くん、最近すぐにシャワーを浴びるの。今まで夜はそのまま眠って朝に浴びていたんだけど、この頃は少しでも琴美と朝話す時間を作りたいからって」

「成程ねー。で、その忙しなさがアンタにとっては不満ってわけね」

「うーん、不満っていうのとは少し違うかも。ただ、ふと目が覚めた時に入江くんが隣に居ない事があるのはちょっと寂しいかな、なーんて・・・」

「ったく、分かったわよ!」

お手上げと言わんばかりに幹は声を上げた。自ら撒いた種だが、結婚して10年近く経とうというのに、直樹と琴子は相変わらずの関係を見せ付けてくれる。

「とにかくアタシ、これ入江さんに渡してくる。アンタもそのカツ丼さっさと食べてしまいなさいよ!」

幹は琴子にそう言い残すと、昼食のトレーを戻し、直樹のテーブルへと向かった。





「入江先生、アタシからもハッピーバレンタインです。どうぞ召し上がってください」

「ああ、ありがとう」

幹に差し出された紙袋を受け取りながら、直樹はちらりと中身を覗いた。

「今年はいつもと違うんだな?」

「ええ。今年は琴子からNGが出ましたので」

「へぇ」

幹の返事に、直樹はクスリと笑った。


「桔梗くん、僕にはないの?」

直樹の隣で声を掛けてくるのは西垣だ。

「ありません」

あっさりと返事する幹に西垣は苦笑する。そして、じゃあ代わりに僕からと小さな包みを差し出した。

「あら、いいんですか?」

礼を言いつつ、幹はしげしげとそれを眺めた。たとえ些細なものでも、プレゼントを貰うというの人をなかなか嬉しい気分にさせるものだ。

「西垣先生、これっていわゆる逆チョコですよね?」

「ふっ そんな無粋なネーミングはいただけないな。僕は本来の慣わし通りにバレンタインを過ごしているだけだよ」

チッチと指を動かす西垣の傍には、幹に手渡したのと同じ小さな包みがゴロゴロと入った袋が転がっている。

― それは欧米文化とは別モノでしょうが。

幹は心中でつっこみを入れたが、勿論西垣の耳には届いていない。



「しかしまぁ、コイツはいつまで経ってもけしからん奴だよ。何故妻子持ちのお前ばかりがいつまでもモテるんだ」

「知りませんよ、そんな事」

「なぁ入江、与えられるばかりの人生なんてつまらないぞ?」

「それはどうも。ご忠告ありがとうございます」

西垣の嫌味などものともせず、直樹は答える。直樹の足元には女性陣が持参した特大の紙袋が2つ置かれていて、中には溢れんばかりのチョコがぎゅうぎゅうと押し込められていた。それを目にした幹は、今年の自分のセレクトを今さらながら後悔した。

「あの、なんだかアタシまですみません。こんなにチョコレートばかり貰っても、入江先生困っちゃいますよね・・・」

「別にいいよ。これ、あとで琴子と食べさせてもらうな」

「・・・入江先生・・・」

直樹のさりげないフォローに幹は目を潤ませる。

― ああ、来年からはまたボディクリームをプレゼントさせていただきます!ええ、この際琴子の主張なんて却下よ!!

目にハンカチを押し当てながら、幹は硬くそう誓った。



「桔梗くん、桔梗くん」

とその時、西垣の弾んだ声が幹の感激を遮った。

「ほら、見てごらんよ。あそこで正真正銘の逆チョコを貰っている女の子がいるよ?」

「もう、何だって言うんですか?」

幹は誘われるがまま西垣の指差す方向を目で追う。同様に直樹も同じ方向を振り返った。と、そこでは、近頃よく見かけるようになったスーツ姿の男が、ちょうど琴子にチョコレートの包みを差し出す瞬間であった。

「あれ、たしか最近出入りしている▲○製薬のMRだよな。名前はたしか・・・」

「西村さん、です」

答える直樹の声は鋭い刃のように冷たく響く。

「彼、確か25歳だって言ってたはずだけど。もしかして最近の男どもは、歳上の女性が好みなのかな?」

「さあ。でも琴子は童顔だから、同い年かもしかすると歳下に見えるのかもしれないですね」

尋ねてくる西垣に、幹は淡々と受け答えをする。そうかもしれないねと西垣も同意する。

「なぁ入江。そういや彼、まだここの担当になって日が浅いから、君達が夫婦って事知らないのかも・・・」

「― ご馳走様でした」


西垣がそそのかすまでもなく、直樹はガタンと音をたてて席から立ち上がる。そして真直ぐに琴子の元へと足を向けた。





「いやぁ、やっぱりこういう展開があるとバレンタインも面白くなるものだねー。最近は皆やけにあの夫婦への物分りが良くなっちゃってさ。僕、実はちょっと詰まんなかっただよね」

「でも、なんだか可哀想になっちゃいました」

満足げに笑みを浮かべる西垣を横目に、幹は西村に同情の目を向ける。

琴子が結婚している事を知らなかった事はおろか、まさかその相手が直樹と知らなかった今日一番のアンラッキー者・西村は、つい先程まで琴子が座っていたその席で、携帯を片手に悲壮な表情を浮かべてなにやら話しこんでいる。彼の鞄の上には、一度は琴子の手に渡ったはずのチョコレートの包みが無残にも載せられていた―。

「奴の嫉妬深さは今も尚健在ってことだな」

「ええ。ご自分はあんな沢山チョコをもらっているというのに、琴子が貰う1つが許せないなんて」

然し、直樹にそこまでされるとはなんて幸せな事だろうと幹は琴子を羨ましく思った。


「でも、入江先生ったら西村さんに何を言ったんでしょうね?」

「ま、『琴子はおれの妻です』なんて事をいけしゃあしゃあと言ったんだろうけどさ。でも彼が泣きべそかいてるのはきっと、▲○製薬が最近開発して売り込もうとしている新薬の副作用について厳しく質問したんだと思うよ。あいつ、この前もらった資料を隈なくチェックしていたから」

「ふーん、成程。さすがは・・・」

「・・・入江だよな」


西垣と幹は目を合わせるとクスリと笑う。その威嚇方法はまさに直樹らしいやり方だった。



「入江先生は、今頃ご自分の医局でしょうね?」

「だろうね。まったく、琴子ちゃんにひとつ紙袋持たせて個室に連れ込むなんて、ほんとむっつりな奴だよ」

「いいじゃないですか。だって今は休憩時間ですし。それになんたって・・・」

「「今日はバレンタインですから」」

声を合わせた二人は肩を震わせ笑った。



「桔梗くん、これから覗き見しに行かないかい?」

「まさか、行きませんよ。入江先生に叱られるのは一度で十分ですから!」

幹は西垣の誘惑をガンとして断る。そう、いつか西垣にそそのかされて直樹と琴子のキスの現場を覗き見した時は、その後直樹の信頼を回復させるのにどれだけ骨を折ったことか。

「そう?残念だなぁ」

ニヤリと不適な笑顔を浮かべる西垣とて、無論その誘いは本気ではない。


「さあ、我々もそろそろ行きますか」

二人は示し合わせたように立ち上がると食堂を後にする。そして、

「休憩時間を1分でも過ぎたら、直樹の医局の扉を思い切りノックしよう」

と約束したのだった―。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【at his medical office】


「わぁ、モトちゃんの作ったトリュフ、本当にお店で買ったものみたいに綺麗!」

直樹の医局にて。黒いソファに腰を下ろした琴子は、上品な和紙の包みを外し箱を開けるなり目を輝かせた。
そこには幹が直樹と琴子の為に心を込めて作ったトリュフが美しく整列している。

「しかもすごく美味しそう~~」

「確かに上手いもんだな」

隣に座っている直樹も素直に賛辞を送った。


「ねぇねぇ入江くん、早速頂いちゃおうよっ」

「カツ丼大盛り食ったばっかだってーのに、よく食うな」

「だって、チョコレートは別腹だもん」

言うが早いか、琴子はその中の一つに手を伸ばした。



「・・・やっぱり美味しい!!」

スルスルと溶けていくガナッシュの口当たりのよさに琴子はまた顔を綻ばせる。そして

「次はどれにしよう?」

と、もう次に食べるトリュフを選ぼうとするのだった。


「一応、おれが貰ったものなんだけど」


「んもう、いいじゃない!それに、モトちゃんだって一緒に食べていいって言ってくれたよ!」

「図図しいヤツ」

「あ、そういえばモトちゃんが入江くん専用のチョコがひとつあるって言ってたわ。あ、多分これね」

そう言って琴子は一つのトリュフを手に取るとクンクンと鼻を動かした。それは、ブランデーの匂いが強くした。

「午後からも仕事だけど、入江くんなら大丈夫よね?」

言うが早いか、琴子はそれを直樹の口元に運ぶ。

「どうだかな」

そう答えつつも、直樹は素直に唇を開けた。ころんと入れられたトリュフは、直樹の口内でブランデーと交じり合いながらじんわりと溶けていく。

「どう?美味しい?」

琴子はにっこりと直樹に笑いかける。


「そうだな。でも・・・」

「・・・でも?」

「こっちの方がおれは好き」

「んっ///」

突然唇を舐められた琴子は思わず目をギュッと閉じた―。



「―うん、やっぱこっちの方が美味い」

「ダ、ダメだよ入江くん/// あたしがお酒いりのチョコなんて食べたら、酔っぱらっちゃうかもしれないじゃない」

「なんだ、酔うのは酒にか?」

頬を赤らめて抗議する琴子を意に介する事無く、直樹はクスリと笑う。

「折角なら、キスに酔う方が可愛いんだけどな」

「えっ 何?今何か言った?」

「いや、別に・・・?」

どうやら琴子の顔が今赤いのは、酒とキス両方に起因しているらしい。

直樹は琴子の唇についと指を滑らせると、今度はゆっくりとその可愛い唇にキスを落とす。
そしてさらに顔を赤らめた妻に「バーカ」と言うと、言葉とは裏腹な優しい所作でそっと琴子を抱きしめた―。





今さらのバレンタインネタ、だらだらと失礼しました!ほんと山もない、谷もない、こんなお話をUPするのに、私は何故こんなに時間がかかるのでしょうか(><)

それでもどこかに楽しかったと思っていただける箇所があれば嬉しいです。


コメレスが表・裏共に滞っています。申し訳ありません!!
この週末は用事がありPCに触れられませんので、月曜日以降させて頂きます。宜しくお願いします。

原作以降の妄想  コメント(9)  △ page top


<<prevhomenext>>
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::くーこさん、ありがとうございます!
こんにちは♪ハッピーバレンタイン(^^)って、2月終わりますね…(笑)


そっかー10年なんですね!いえいえ、くーこさんはご主人と仲良くしていらっしゃる気がします♪

イリコトにはいつまでも変わらずラブラブでいてほしいですよね(^-^)これからもそんな二人を少しでも多く書いていきたいです!


編集 △ page top
::藤夏さん、コメントありがとうございました!!
藤夏様

こんばんは!お久しぶりです~~(^^)
気が付けばバレンタイン、終わっちゃいましたね!私は旦那にも自分にも、娘の分まで普段は買わないようなチョコを奮発しちゃいました(笑)ついでにガトーショコラも手作りしちゃったりして・・・。はい、こんな私は無類のチョコスキーです♪

数日遅れてのUPでしたが、読んでくださりありがとうございました!!
そうなんです~~、今回のお話はちょこちょこと昔書いたお話のネタを掘り返しながら書かせていただきました(^^)藤夏さんにしっかり気付いていただけて良かったです!
そして『黒いソファ』ww(^艸^)
エヘへ、またchan-BBさんのネタをお借りしてしまいました★
本当、chan-BBさんのお部屋では今ガッキーが大活躍中ですよね!!今もちょうど続きを読んで来たところだったり♪ああ、いいなぁあんな面白いお話が書けるなんて!!
そうそう、モトちゃん(^^)モトちゃんは昔から上手く琴子を誘導して夫婦の蜜時の話を聞きだしているイメージです(笑)そして、結果的に溜息を吐く、みたいな♪

そして、私信について!!
も~~、なんてグッドタイミングなの、藤夏さんったら!!
これ・・・、予想ですがダッ○ィーとシェリー○イではないですか!?だとしたら、すごく嬉しいです!!
というのは、最近藤夏さんのパワースポットに行った友人に、ここでのこのキャラたちの人気沸騰振りを聞いたところだったんですよ。で、このキャラの生まれた経緯とかも教えてもらって(私、こういう話すごく疎いんです(苦笑))、『これって、まさに入江くんにミニーちゃんを送った琴子ちゃんじゃないの!?」』って思った訳ですww そして、このキャラたちを使ってまた藤夏さん、創作してくださらないかなー!!と密かに願っていたんですよ♪
もう是非是非完成させて下さいね!!飛んで読ませていただきに行きますので!!
なんだかすごく興奮したコメレスになってしまってすみません(^^;)いつも素敵なコメントをありがとうございます♪
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::拍手コメントありがとうございました!
拍手コメントありがとうございました!

chan-BB様

こんばんは~。夕方はどうもでした♪あらためて複数回に渡っての拍手コメありがとうございました!!
そうです~。これ、4時までかかって修正したんですよ!今度こそはどうしても出発までに書上げなくてはと、それはもう必死で(笑)
その後2時間だけ寝て出掛けたのですが、車内が込み合っていてバラバラに座らざるを得なかったのをいい事にどろんと眠らせてもらいました♪お陰でなんとかその日の夜中まで目を開けていることが出来ましたよー(^^)v

さて、とにかく淡々としたある年のバレンタインのお話でした★まったく地味な内容だなーといつもの如く凹んでいたのですが(苦笑)、いつまでも変わらぬ幸せと感じていただけて何よりです!
そうそう、今回は地味な内容ではあるものの、「Theory of relativity」の流れを汲んでいるのでボディクリームは欠かせないだろうとか、ガッキーとモトちゃんの会話の中の覗き見は「Set a thief to catch a thief.」の内容を盛り込んだり(おそらく誰も気付いてないのでここでさりげなくアピール(笑))と、小ネタをやたらと仕込んでました。
そして、ついついまた「黒いソファ」と「カツ丼」もお借りさせていただいて・・・(^^;)承諾も得ず失礼しました!!広いお心で喜んで下さり安堵しています。いつもありがとうございます!!
文章についてもいつも褒めて下さり恐縮です~。いえいえ、chan-BBさんのリズム感ある文体が私からすると羨ましくてならないです!!今度の創作もガッキーの壊れっぷりが最高で!!
再度コメントにあがらせていただきますが、もう夜中なので明日の朝させていただきますね(^^:)おそらくいつもの時間になることでしょう(笑)では、また♪



紀子ママ様

こんばんは!いや~ん私のほうこそ嬉しい!!「Theory of relativity」、覚えてくださっていたのですね(^艸^)ww
そしてまた密かにコラボさせて頂いたことにもしっかりお気付きになって下さっていて!!いつもありがとうございます♪
そしてそう、入江くんったら舐めておりますね~~昼間っから!!この2人、ほんといつまで経っても仲が良いというかなんと言うか・・・(笑)ま、いっか♪バレンタインですものね!!



まあち様

こんばんはー。お待たせしました!!やっとこさでUPを済ませました!!
ありがとうございます、これぞ2人のバレンタインなんて仰ってくださって(^^)そのお言葉で疲れが吹き飛んだような気がします♪
「kissに酔う方が・・・」ってのはまさにバレンタインの魔法ですね(笑)でもここの入江くんは入江くんらしからぬ甘い科白をバンバン吐きますから(^艸^)wwさて、今度は何を言わせてやろうかしら~?
お忙しい中コメントしてくださりありがとうございました!ようやく少し温かくなって来ましたね。ですが体調の方どうぞお気をつけくださいませね!!


編集 △ page top
::吉キチ様、コメントありがとうございました!
吉キチ様

こんばんは。ああ、再度の泣き言に目を通して下さっていましたか!
ほんとに今さらなんですが、バレンタインネタUPするとお約束していた方が居りましたので必死に修正を加えてなんとか出せる状態に漕ぎ着けることが出来ました(^^)

そうだ、私としたことが、紀子ママについて何も触れてなかったですね!ええ、ええ、きっと写真取り捲っていた事でしょう!それともビデオ撮影かしら? 直樹に見せて「こんな素敵な奥さんと娘が居て、お兄ちゃんったらなんて幸せ者なの!!」とか言いまくって、直樹をうんざりさせていた事でしょうね~~(^m^)

それから「俺の琴子オーラ!!」ぶぶっ!!ほんとその通りですよねww
一応お昼設定だったので控えめにKissで終わってますが・・・、吉キチさんの仰るように終業後だったらどうなっていたのでしょう?(笑)良かったような、残念だったような・・・(←おい)

追伸:そろそろ例のものに取り掛からせて頂きたく思っています。出来上がりましたら失礼ながら私信でお知らせさせていただきますね。よろしくお願いします♪

編集 △ page top
::りあ様。コメントありがとうございました!
りあ様

こんばんは。ああ、良かったです。楽しんで頂けたんですね!!
結婚しても相変わらずラブラブなイリコトをテーマに淡々と書かせていただいた今回のお話でしたが(苦笑)、見事に全ての内容を拾って下さっているりあさんのコメントに私のほうこそムフフ状態でした♪

そうそう、入江くんはたとえ妻子がいようと、変わらずモテるんですよね♪でもって、琴子に関しての独占欲の深さも勿論高めに維持しちゃってるわけですww(これは譲れない!!笑)
ボディクリームネタについては、昨年のバレンタイン企画で書いた「Theory of relativity」の内容を皆さん覚えてくださっているのかドキドキだったのですが、このコメントから推察するに、りあさんは覚えてくださっていたのかな?だとしたらとても嬉しいです。ありがとうございます(^^)
そして、何よりもよくぞ気が付いてくださいました!「黒いソファ」!!入江くんの医局といえば、黒いソファは外せないでしょう、ええ!!(←力説)

それから可哀想なMR西村さんについて。
「入江くんは前々から西村さんの事を気に食わないと思っていたのでは?」というのは、本当にそうかも!!りあさんの考察を拝見して、西村さん目線のイリコトの様子を描くのも面白いかも?なんて思っちゃいました(笑)

それから、最後のイリコトのラブラブっぷりにもしっかり触れていただきありがとうございます♪
まるでこのお話を最初から最後まで集約してくださったかのようなりあさんのコメント、私のほうこそすっかり堪能させていただきました。ありがとうございました!!


編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

| home |
Copyright © 2017 Swinging Heart , All rights reserved.