::夕立にドット、後 チェック
イタKiss 納涼祭り2011第1弾です。
これはリクじゃないです。何となく思いついたものをだらだらと書いてしまいました(^^;)

リクもこの後どんどんあげていきたいと思います♪



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ある夏の日の夕方。

入江家の主婦、紀子がベランダへ出ようとしていると、背後からパタパタと慌しい足音が聞こえてきた。


「おばさま!あたしがやります!」

その足音の主、琴子は言うが早いか紀子に代わってつっかけを履きベランダへ出た。そして手際よく洗濯物を取り入れていく。

「今日も良いお天気だったから気持ちよく乾いてますね!」

にっこりと笑う姿はつい先ほどまで午睡を満喫していたのか、後頭部に少しおかしな寝癖が付いていた。

「まぁ、琴子ちゃんったら!」

寝起きとのところを慌ててやってきた様子が目に見えて分かった紀子は、思わずクスリと笑み目を細めた。が、スッと琴子の手から洗濯物を引き受けると少し首を傾げてみせる。

「いいのよ?ゆっくりしてて。今日は夏休みだっていうのに午前中学校だったんだし。疲れてるでしょう?」

「そ、そんな、大丈夫です!」

琴子はとんでもないとばかりに手を大きく振った。

「だいたい今日あたしが学校に行かなきゃならなかったのは、成績が悪かったからですし」

そう、今日は学期末の評定が悪かった者向けの補習のための通学だったのだ。琴子にとって高校に入ってからの夏休みは、毎年こうして始まるのが常である。そしてその補習とて、決して身を入れて受けていたとは言えない。

それになにより―。

「おばさまこそゆっくりしててください。こうして入江家にお世話になるようになってから毎日、おばさまには本当によくしてもらって、まるで本当のお母さんみたいで。だからせめてお休みの日くらいは・・・」

そう言って微笑む琴子の顔には、紀子への心からの感謝が溢れていた。
今まで父である重雄と二人きりで暮らしてきた琴子である。不器用なりにもそれなりに家事はしてきたし、洗濯物を畳むのは完全に琴子の役割だった。
だが入江家に身を寄せるようになってからというもの、琴子が学校なり遊びなりから帰宅して自室に入ると、そこには必ず琴子の洗濯物が綺麗に畳まれて置かれているのだ。専業主婦とはいえ、何かと忙しい身でありながら紀子は大変そうな顔一つ見せず、いつも笑顔で完璧に家をきりもりしてくれている。

「琴子ちゃんったら・・・」

思わず感極まり、琴子を見つめる紀子。

「そうね、じゃあありがたくお言葉に甘えちゃおうかしら?」

紀子は目を潤ませながらも少しおどけたようにそう言うと琴子の申し出を受け入れる事にしたのだった。但し、「一緒にしましょ?」と付け足す。
それは単純に6人分の夏の洗濯物の多さを鑑みたのもあるが、なにより琴子と二人こうした作業をする事が本当の母娘のようにも思え、自身の胸が温かくなるのを感じるという理由が大きかった。




「琴子ちゃん、すごく上手に畳むのね」

「そうですか?これだけは昔からやってますから」

和気あいあいと世間話をしながら畳んだ洗濯物を積み上げていう二人。


「それにね~、洗濯物の中に女の子のものがあるって何だか幸せになるわ~~♪」

紀子は歌うように言うと、琴子がルームウェアにしているショートパンツとチュニックのセットアップをパッと広げてみせた。

「フフ、こうして見るとますます可愛いわよね!ねぇ琴子ちゃん、こういうのっていつもどこで買ってくるの?」

「あ、駅ビルとかにけっこうありますよ。下着とか靴下も一緒に売っていて、しかも安いんです」

「へぇ、そうなの?琴子ちゃん、よく知っているのねぇ~~」

やや大げさに驚く紀子。だがそれはれっきとした本心である。
元より移動はマイカーが多い紀子は、駅ビルを利用する事など滅多にない。だいいち琴子の通う店は完全に若い女性向けの店で、息子二人の母である紀子にはまったく無縁の場所なのだから。


「これも其処で選んできたの?」

「はい。へへ、なんだか恥ずかしいな///」

紀子が指差しているのは琴子のブラとショーツのセットだ。琴子は思わず頬を少し赤らめはにかむ。その姿に紀子のテンションは益々上がってゆく。

「やっぱりいいわねぇ、女の子は!ねぇ、今度私も連れて行ってくれない?」

「あ、はい。もちろん」

「本当?嬉しいわ!いくらでも欲しいもの言って頂戴ね!」

「い、いえっ、そんなわけには」

「なに言ってるの!私が言い出した事なんだから当然よ」

慌てて辞退する琴子に紀子は断固として主張した。
何せ女の子が欲しかった彼女にとって、年頃の娘と買い物に出かけるのはまさに究極の夢だ。
紀子の脳裏には今、琴子と仲睦まじく買い物する姿が見事に想像されていた。

「ねぇ、私にも琴子ちゃんの下着を選ばせて欲しいわぁ。だってほら・・・、やっぱり男ものっていくら選んでいてもちっとも楽しくないのよね~」

紀子はそう言って一枚のボクサーパンツを掴みひらひらとさせた。琴子はそれをポカンと数秒目にしていたが、やがて「きゃぁ!」と声をあげるとサッと顔を手で覆った。


「お、おばさま。その・・・、それって、も、もしかして・・・?」

そのパンツがまず自分の父のものでは無い事だけは分かっていた琴子は、尋ねながらもう一度頭の中を整理する。
それはサイズ的に紀子の夫である重樹のものとは考えられなかった。とはいえ小学生の裕樹のものであるわけもない。
ということは、つまり――。

「そう、お兄ちゃんのよ」

紀子はあっさり答えると、「同じような柄でもどうしてこんなに可愛げがないのかしら?」と溜息をつく。

「まったく、男の子の母親って詰らないわよね。お兄ちゃんったら、近頃は下着くらいしか私に選ばせてくれないのよ?私が選ぶ服は派手すぎるから嫌なんですって」

「え~、そうなんですか?」

相槌を打ちながらも琴子はプッと噴出しそうになる。
洋服選びは断っても、下着だけは紀子に選ばせているのは直樹なりの譲歩にも思えたのだ。

「そうだわ、今度お買い物する時、お兄ちゃんの下着、琴子ちゃんが選んでみる?」

「え、ええーー!?」

紀子の唐突な提案に、琴子は素っ頓狂な声を上げるとブンブンと首を横に振った。

「む、無理ですよ~。入江くん、あたしが選んだパンツなんて履いてくれないです~~!」

「あら、そんな事言わなきゃ分かんないわよ」

琴子の心配をよそに紀子はニヤリと笑む。

「それにねぇ?いずれ琴子ちゃんはお兄ちゃんと結婚するんだから、近い将来これは当たり前のことになるはずよ。あ、そうだわ。琴子ちゃんはお兄ちゃんをその気にさせる下着も選ばなきゃね~~♪」

「・・・///」

とても年頃の(しかも他所の家の)娘へに対する言葉とは思えない紀子の科白に、琴子はどう返答していいのか言葉を探しあぐねる。だいたい、どんな下着を付けてみたところで直樹が自分にその気になる姿など到底思いつかない。
琴子は改めて自分の洗濯物の隣に並べられている直樹のパンツをこっそりと盗み見た。そしてごくりと喉を鳴らし顔を紅くさせるのだった。




ザーーーーー


「あら・・・、雨だわ」

「やだ、本当」

不意に窓の外が煩くなり、紀子と琴子は洗濯物を畳む手をやすめ窓の外に目をやった。
先ほどまで青色だった空はいつの間にか灰色の雲が立ち込め、大粒の雨が地面を叩きつけている。

「入江くんと裕樹くん、傘持ってるかな。迎えに行った方がいいかも」

琴子は立ち上がると窓に近付き、心配そうに周囲を見回した。今、直樹は部活に出かけており、裕樹は友達の家に遊びに行っている。雨足はどんどん酷くなる一方だ。

「大丈夫よ。こんな土砂降り、そう長くは続かないわ。それにあの子達なら、心配しなくても適当に雨宿りして帰って来るでしょう」

しかし紀子はあっさりそう言うと鼻歌混じりにまた洗濯物を畳み始めた。もし琴子が外出していたならば即座に迎えにいこうかと携帯を鳴らしただろうに。
とはいえ確かに遠くの空は明るかったので、この一帯も少しすれば雨は上がるだろう事は容易に予想できた。琴子は「そうですね」と答えるとまた洗濯物畳みに戻った。



全て畳み終えると紀子と琴子は片付けの分担を手際よく決めた。


「じゃあこれとこれは琴子ちゃんが持って行ってくれるかしら?」

「はぁい」

琴子が頼まれたのは二階に運ぶものだ。琴子は自分の衣類と直樹、裕樹の衣類を重ねると「よいしょ」と持ち上げる。一方紀子はタオル類を持ち部屋の扉を開けた。
その時、バタンと玄関の扉の閉まる音が聞こえた。


「あら、どっちかしら?まだ雨は止んでいないのに、あの子達傘持っていたのかしら?」

紀子は首を傾げながら玄関へ向かった。琴子も腕に抱えていたものを一旦下ろす。すると積み重なっていた洗濯物が崩れてぐちゃぐちゃになってしまった。

「ああ~、やっちゃった」

琴子は肩を竦めそれを片付けようとした。が、玄関から紀子の「まぁ!」という大きな声にハッとその手を止めるとバタバタと玄関へと向かった。





「お兄ちゃんったらずぶ濡れじゃない!」


琴子が玄関に駆けつけるとそこには、紀子の言葉通り頭のてっぺんから足のつま先まで、それこそ濡鼠という言葉がピッタリな様相の直樹が立っていた。

「い、入江くん大丈夫!?どうして?雨宿りしなかったの!?」

「駅から歩き始めたら、いきなり一気に降り出したんだよ」

直樹はチラリと琴子を一瞥するとそう答え、ちょうど紀子が手にしていたタオルを一枚受け取ると適当に髪や顔を拭き始めた。

「引き返せば良かったのに、こんな雨の中帰ってきたら風邪引いちゃうよ!」

「どうせ帰ったら直ぐにシャワー浴びるつもりだったから」

直樹はおろおろする琴子を意に介す事無く、玄関にずぶ濡れのラケットケースを置き去りにして家に上がるとスタスタと中に入っていく。

「風呂沸いてる?」

「ええ」

直樹と紀子が会話しながら奥に入っていく様を、琴子は少し顔を赤らめながら見送った。

― や、やだ。あたし、すっごくドキドキしている・・・///。

直樹の濡れた髪やシャツが身体に張り付く様が目に焼きついて離れない琴子は、深く息を吐き出すと壁に背中を預けズルズルと座り込んでしまった。



「お兄ちゃん」

一方、直樹は二階に上がろうとすると紀子に呼び止められた。

「もうこのままお風呂に入ったら?着替えは後で持って行ってあげるから」

「ああ」

夏の暑さと雨の所為で不快感は最高潮に達していた直樹は、珍しく素直に頷くと脱衣所に入り制服を乱暴に脱ぎ捨てた。
まさか閉まった扉の向こうで母の顔が企みに満ちた笑顔を湛えているなど、予想だにしなかった―。





「琴子ちゃん、私、やっぱり裕樹を迎えに行ってくるわ~。たしか高橋さんの御宅に遊びに行っているはずだから」

紀子が突然そう告げたのは、直樹が浴室に入って10分ほど経った頃―、琴子がなんとか胸の鼓動を落ち着かせ部屋に戻って来た時だった。

「あ、はい」

つい先程までまるでその気など無かったというのに、紀子の変わり様に琴子は呆気にとられる。窓を外を眺めるともう雨は殆ど上がりかけてた。たとえ傘が無くとも困りはしないだろう。

しかし紀子は嬉々として車のキーを手に取り玄関へと向かう。
「裕樹を迎えに行ったらその足でスーパーにも寄ってくるわね」と、今日の買い物は既に済ませているはずなのに余計な寄り道まで言い出す始末。
そして紀子が「あ~、いけない!私ったらうっかりしていたわ!」と大袈裟に困った声をあげたのは、もう家を出ようとする寸前だった。


「私ったら、お兄ちゃんの着替えを脱衣所に置き忘れてきちゃったわ!」

「は?ど、どういう事ですか?」

紀子と直樹の会話の経緯を知らなかった琴子は目をぱちくりと目を瞬かせる。

「ほら、今お兄ちゃんお風呂に入ってるじゃない?私、お兄ちゃんに着替えを持っていくって言ったのに忘れちゃっていたの。琴子ちゃん、悪いけどお願い出来るかしら?」

「え、ええ!?///」

「大丈夫、大丈夫よ♪お兄ちゃんが上がる前にそっと開けてポンと置いてくれたらそれでいいんだから!着替えはほら、今日の洗濯物をそのまま渡しちゃえばいいわ」

紀子はホホホと笑うと「じゃあよろしくね♪」と有無を言わせず家を出て行ってしまった。
残された琴子は顔を真赤にしたまま途方に暮れる。


― ど、どうしよう。もし、もし扉を開けた瞬間に入江くんが出てきたりしたら・・・!?///

先ほどのシャツが張り付いた直樹の逞しい上半身を思い出しながら、琴子の心臓は再びドクドクと大きく脈打ち始めた。





「おい、お袋!着替えはどうしたんだよ!?」

不機嫌を隠さない直樹の怒声と共に脱衣所の扉が開いた時、目の前に立っていた琴子は「ひゃあ!」と仰け反り後ずさった。

「・・・何でお前がいるんだよ」

直樹はその姿を捉えるなりやれやれと言うように腕を組むと琴子をキッと見据えた。

「な、何でっておばさまに頼まれたのよ!」

琴子も負けじと強い口調で反論したが、その目は完全に泳いでいた。
それもそのはず、直樹は腰に一枚バスタオルを巻いただけの出で立ちで、琴子はとてもまともに正面を見られなかったのだ。

「ったく・・・」

紀子にしてやられたと気付いた直樹は盛大に溜息をついた。
この超が付きそうなほど初心で免疫のなさそうな琴子に、母は一体何故このような事をさせようとするのか。
苦虫を噛み潰したような顔で、直樹はスッと琴子の前に手を差し出した。

「貸せよ」

「へ・・・?」

「おれの着替え、持ってきたんだろ?」

「あ、ああ、そうだった。・・・はい」

琴子は直樹を見ないようにしながら手に持った着替えを前に差し出した。


「そ、それじゃああたしはこれで・・・」

直樹の手に着替えが渡ると、琴子は目を背けたままぎこちなく歩き始めた。

「おい、待てよ」

すると直樹の低い声が琴子を呼び止める。


「な、なぁに?」

― も、もしかして入江くん、あたしにお礼を・・・?

冷静を装いつつ、密かな期待を胸に琴子は振り返った。が、その次の瞬間目に入ったものに絶句する。

「お前、おれにこれを履かせようっていうのか?」

直樹が手にしているのは、なんと琴子のパンツだった――。


「う、嘘・・・!返して!!」

慌てて逆戻りして直樹の手からパンツを奪い返すと、琴子はそれを後ろ手に隠し直樹を睨んだ。

「人聞き悪い言い方するなよな。自分が持ってきたくせに」

直樹は呆れたように琴子を見下ろす。


― うぅ~~、穴があったら入りたい・・・!


琴子は自分の不注意を呪った。が、琴子が間違えたのも無理は無い。
何せ琴子と直樹のパンツは、偶然にもそっくりの紺地の白のドットだったのだ。どうやら先程洗濯物が崩れた時に混ざってしまったらしい。
こうして数秒視線が絡み合った後―、先に声を発したのは直樹だった。


「しかし男物とそっくりなんて、色気ねぇ趣味」

「なっ・・・!」

「ま、その体型にはぴったりってところか。これじゃ例え一緒に風呂にぶちこまれても、何の気も起こらないだろうね」

赤面する琴子に、直樹は片頬を歪ませクスリと低く笑う。

「な、なによ!あたしだってお断りよ!」

「ふぅん、そう?その割にはお前、おれの身体まともに見られないみたいだけど」

「あっ、そ、それは///」

と、琴子はここで漸く気が付いた。そうだ、直樹はほぼ裸同然だったのだ。


「とにかく、おれのパンツ持ってきてくんない?それともこの格好でウロウロしようか?」

「あ、そ、それはダメ///!ちょっと待ってて!」

我に返った琴子は慌てて踵を返すと向こうへ駆けていった。


「・・・ばぁか」

遠くなる琴子の背中に直樹は悪態を吐いた。

「ったく、全然違うだろうが。不注意にも程がある」

直樹は苛立たしげに呟くと脱衣所に戻り先にTシャツだけ身につけた。そして右手で握り拳を作ると眼前もっていく。

― この中にスポッと入るんだもんな。あんなちっせー面積でよく足りるもんだ。

琴子の小さなパンツを思い出し、直樹は妙に感心する。
とにかく、不用意に女を見せ付けられるのだけは勘弁して欲しいと小さく溜息を吐いた。


尚、この後琴子が直樹のパンツを持ってきて受け取るまでの様子は、紀子が廊下の物陰に見事に隠したビデオカメラによってしっかりと撮影され、紀子の『琴子と直樹の愛の軌跡コレクション』の一部となるのだった―。



*********************************


― 数年後。



「まぁ!どうしてこの雨の中、雨宿りして来なかったの!?」

真夏の夕暮れ時、バタンと玄関扉の閉まる音に紀子が駆けつけると、そこにはずぶ濡れの直樹と琴子が立っていた。


「お天気雨みたいだったから、それほど酷くならないと思ったんですが・・・」

「ったく、多分酷くなるって言ったのに全く聞き耳持たないからだ」

直樹は琴子を横目に睨むと肩を竦める。

「悪いお袋、そのタオルもらえる?」

「ええ。はい、琴子ちゃんも」

「ありがとうございます」

ちょうど紀子が腕に抱えていたタオルをもらった二人は、濡れた髪や肌を拭うとホッと息を吐いた。


「あの、お義母さん。そのタオルって今日の洗濯物ですか?」

琴子の質問に紀子は「ええ」と微笑む。

「ちょうど洗濯物を畳み終えたところに琴子ちゃんとお兄ちゃんが帰ってきたの」

そういえば昔、似たような事があったとふと思い出す。


「だからきっともう済んでるって言っただろ?」

「えへへ。入江くんの言う通りだったね」

「あら、何のこと話しているの?」

紀子が尋ねると琴子はペロッと舌を出した。


「お義母さんと一緒に洗濯物を畳もうと思って帰ってきたんです。入江くんはもうきっとお義母さんがしてくれているはずだって言ったんですけど」

「言い出したら聞かねーんだもんな」

口振りは呆れたような直樹も、琴子を見る眼は優しかった。


「もう、あなた達ったら・・・!」

紀子はじんわりと目頭にこみ上げるものを感じながらクスクスと笑った。


「風呂沸いてる?」

「ええ。風邪引かないようにサッサと入っちゃいなさい」

あの頃と変わらず、紀子の家事は全般に渡って行き届いているのだ。


「琴子、お前から入れよ」

「ううん、入江くんから入って」

「もう、遠慮せず二人一緒に入っちゃえばいいじゃな~い♪」

互いに譲り合う直樹と琴子に、紀子は二人の背中をドンと強く押した。


「ばっ、何言い出すんだお袋!」

「そ、そうですよ、お義母さん///!」

バタンと閉じられたドアの向こうから直樹と琴子が交互に声を上げる。

「まったく、何を今更照れてるの~?」

紀子は扉のノブが動かないようグッと掴みながらホホホと笑った。


「あ、着替えはすぐ持ってきてあげるから心配しないで!だからお兄ちゃん、それまではいくら琴子ちゃんが可愛いくてもグッと我慢するのよ~~?」

紀子はそういい残すと弾むよう部屋へと駆けていった。そして畳み終えた洗濯物から二人の衣類を腕に抱える。

「フフフ、今日はギンガムチェックなのね~♪」

直樹と琴子の下着を眺め、紀子はムフフと笑う。
紀子の目論見通り、結婚後直樹の下着を選ぶのは琴子の役目となった。そして琴子は時々見事にそっくりの柄を見つけ出してきてはお揃いで買ってくるのだ。

「ほんとお似合いの二人よね!」

再びスキップで脱衣所に戻った紀子は、コンコンと扉をノックすると耳を済ませた。
そしてそうっと扉を開き着替えを並べおくとまた静かに扉を閉める。


「・・・あ~ん残念!こうなったらもう少し透け感のあるガラスに取り替えようかしら?」

溜息交じりに言いながら、然し紀子の頬は確実に緩んでいた。
というのも、曇ったすりガラス越しにもその二つの影は、仲睦まじく重なっているのが明快だったのだ――。






夏がテーマと考えてはじめに思いついたのが何故か「夕立」だったんです(^^;)
夕立に濡れる色っぽい入江くんが書きたくて妄想していたら何故かこんなお話に(笑)

最後、この二人は何してたんでしょうね?あ、私は可愛くKissしていると思ってます。
でも紀子ママがいなくなった後、入江くんがどんな行動に出たかは分かりません( ´艸`)


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::コメントありがとうございました。
吉キチさん

再びこんばんは!
ママはとにかく女の子が欲しかったんだと思います(^m^)つまらないと言いながらも、嬉々として選んでいるんだと思いますよw
ママが派手というのは、コミックでママの着ているものを入江くんが「またそんな派手なもの着て、歳考えろよ」みたいな事を言っていたので、何となく入江くんはそう思っていたのかなぁと思って書いてみました♪

未来のお嫁さんの為に、ほんの小さなきっかけも見逃さずにママは色んな仕掛けをしていたのだと思います。
入江くんはそんな術中には嵌るまいと思いつつ、しっかりどこか嵌ってしまったんですよね(^^)

時が流れてラブラブになった2人にママはにんまりだったでしょうね♪
透視計画、マジックミラーとか考えたんですがそんなバスルーム怖いですよね~~(^^;)
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::コメントありがとうございました。
miyacoさん、ありがとうございました。

こんにちは~♪いえいえ、気付いて下さりありがとうございます(^^)

そうなんですよね、ママがこんなに琴子ちゃんを気に入ったのって、琴子ちゃんの素直さだったり計算ではない気遣いが其処かしこに感じられたからなのかなって思います。
「その気にさせない下着」もしかりですよね。確かにママって派手な感じの子や変に色気を振りまくタイプは好きじゃなさそうです。琴子ちゃんにはけしかけますけどね~~(笑)

入江くんは結局琴子ちゃんがどんな下着でも反応しちゃうんだと思います(^m^)
先程miyacoさんのお話を読ませて頂いて、改めて確信しちゃいましたよ~♪
私も紀子ママには是非取替えをご検討していただきたいものです!・・・(←ヲイ)




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::不覚…!
こちらに気付いておりませんでした…なんたる不覚!

ママと琴子ちゃんのやりとりが微笑ましくて、いいなぁ…と思いました。実の母親でない人とこんな風に過ごせたら、かなりすごいことですよね。これもやはり琴子ちゃんの魅力なんだろうな、って思いました。
ママからすれば、今現在「お兄ちゃんをその気にさせない下着」であることも好ましいのではないでしょうか。
この頃からセクシーで男の子の気を引くような下着をつけてるような女の子、ママは嫌いそうな気がするんです。そもそも琴子ちゃんのキャラではないわけですが(笑)

結婚後も結局琴子ちゃんの下着はセクシー系にはならなかったと思いますが、それでも入江くんはそそられちゃうんですよね♪
最後、何か具体的に書いてあるわけではないのに妄想を刺激されて、ママに「ぜひもうちょっと透け感のあるものに変えてください!」とお願いしてしまいました。
青い入江くんと甘い入江くん、1話で2度おいしくてご馳走さまでした!
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::拍手コメントありがとうございました。
紀子ママ様

こんにちは!ああ~、紀子ママさんも不具合だったのですか(><)
お手数をお掛けして申し訳ないです。でもまたこうして送って下さってすっごく嬉しいです!!
タイトル、不思議でしたよね(笑)これはchan-BBさんへのコメレスでも書かせて頂いたんですが、天気予報をイメージして付けてみたんです♪
昔とその後で変わったもの、変わらないものを織り交ぜながら書いてみたつもりだったんですが、しっかり読み取って下さってありがとうございました(‐^▽^‐)こんな仲の良い嫁姑、入江くんもきっと嬉しく思ったはずですよね♪
高校生の頃は、琴子は勿論、入江くんもママの暴走に翻弄されていますよね!
(原作の『キスしただけで赤ん坊ができるのかよ!?』『じゃあ出来るような事早くしてちょうだい』の親子の会話は素晴らしかったです♪)
ママのペースに嵌りたくない、と抗いながらも、結局しっかり琴子ちゃんの下着を観察し、その身体まで想像してしまってるんだから・・・!フフフ、本当に青春ですよね~入江くん!(≧m≦)
その後の浴室でラブラブな二人はお決まりではありますが、大好物のため書いちゃいました♪その後もぐるぐる~と妄想回ってますが(笑)ここは自重ということで(^▽^;)
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::コメントありがとうございました。
narack様

こんにちは!
本当の母娘のようなママと琴子ちゃんは時に面白く、時にホッコリとしますよね♪
原作で入江くんが『ウチは特殊なんだよ』と言ってた言葉がまさに言いえて妙、って感じがします(^^)

青い入江くん、本当に大好きなんですよ~。だからnarackさんがお書きになるその頃の入江くんは読ませて頂く度にキュ~ンとなります(≧m≦)
大人になって、ふとした瞬間に優しさをみせる入江くんにも注目してくださってありがとうございます♪こういう時の入江くんって本当に優しい目をしていますよね(*^_^*)

それから!
キャーー!!本当ですかーーー!?
それはすごく嬉しいです!!盛り上がる事間違いないです♪♪
逐一チェックしに行かせていただきますね(≧▽≦)

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::拍手コメントありがとうございました。
あけみ様

こんにちは!そうそう、入江くんの腰バスタオルいいですよね!水が滴る毛先とか想像するだけで鼻血が出そうです(≧m≦)(←アホ)
パンツ、二人が身につけて可愛いと思えるものを想像するとこれになりました~。絆♪素敵な響きですね(≧▽≦)
琴子のことだから、結婚後はひそかにお揃いで買ってきてそれだけで満足している気がします(笑)なのに実際入江くんにばれたら照れたりしてそうで(^m^)
で、入江くんは呆れたと見せつつさっさと脱がしにかかるるのでしょう♪ホホホ、妄想がとまりませんわ!!(すみません!)
私もすっかりエロエロ妄想ですねー。でもリクで頂いたのはどれもこれも爽やかです♪脳内軌道修正しつつ取り組みたいと思います!
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::拍手コメントありがとうございました。
藤夏様

こんにちは。わぁぁお手数をお掛けしました(><)コメントはこちらには届いていないです~。再度チャレンジしてくださってありがとうございました!
紀子ママに寄り添って頂けましたか(^^)もう本当、藤夏さんの仰る通りです!
ママはこんな何気ない日常こそが幸せなんでしょうね♪
そして時がめくり、紀子ママの日常的な幸せはイリコトのラブラブを常に確認することであり(笑)いやもう、マジで透明ガラスとかに変えちゃいそうで怖いです(^^;)いや、マジックミラー?
・・想像してたらとんでもない妄想が浮かんで来ましたよ~~。
そしてとんでもない妄想といえば、この後のイリコトであります。ダメダメ、自重自重ww
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::コメントありがとうございました。
chan-BB様

こんにちは!良かったです~ほっこりして頂けて♪
琴子と紀子ママのあったかい雰囲気、感じて頂けて嬉しいです。
以前chan-BBさんはまだ観ていないと仰っていましたが(もう観られましたかね?)、実は韓国版の中に2人が洗濯物を一緒に畳むシーンがあるんですよ。それを観た時に「ああ、いいなぁ」ってやっぱり思って、それでこの話を思いつきました。そして夏仕様に書かせて頂いたんです(^^)
琴子のこういう気遣いもありながら伸び伸びと過ごす姿が、紀子ママには好ましく映ったんでしょうね。紀子ママ、『私だって誰でも良い訳じゃない。琴子ちゃんだからお兄ちゃんにピッタリなんだと思う』って言ってましたもんね!
タイトルについてはあは~、下着でした(笑)なんとなく天気予報っぽいタイトルにしたくて(^^;)どうでしょう?そんな感じしません?

この年頃で同居ってやはり色々ありますよね~。でもそれがあったからこそ、「今」とのギャップが萌えなわけで♪最後はお決まりですが一緒にお風呂とさせて頂きました(≧m≦)・・・あ、そういえば書いたけどイマイチ気に入らずUPしてないお話にも風呂オチの話がやはりありましたよ~(^^;)

それから!思いつかれたという妄想、是非読ませてくださいね!待ってま~す♪
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::コメントありがとうございました。
REE様

はじめまして!ありがとうございます、微笑ましく思ってくださって♪
そうですよね。あの頃から入江くんは間違いなく琴子の事が気になっているんですよね。
だからちょっとした事にも少しイジワルな事言ったりイライラしたり。青い入江くんは何度書いても読んでも飽きないです(^^)
そして勿論「今」の、何の憚りなくラブラブを見せ付ける入江くんも大好きです~♪
次も頑張りますね。ありがとうございました!
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::微笑ましい!
微笑ましいお話ありがとうございます。
上手く表現出来ないんですが、「あの頃」な入江くんは、「この頃」から琴子の事が気になって、少しずつ少しずつ好きになっていたんですね。「今」は、ちょーラブラブな入江くんの姿が目にうかんで、とっても微笑ましいですね。
次のお話、楽しみに待ってます!
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