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only holy story

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「わあ、凄い景色だよ、入江君――!」

琴子は室内に入ると、大きな窓ガラスから見える空の近さに驚いた。
思わず窓際に近付いて 、ガラスに手をついて空を見上げる。

「琴子、下も見てみろよ」

「・・・・わあ、地面が遠い――。此処から落ちたら・・・・」
想像して 背筋をゾクリとさせる。

「バーカ。こんな階で窓が開くようになってる訳ないだろ」
いつの間にか私の後ろに入江君が立っていた。

「あは、それもそうだよね。ここ、凄く高いね。何階なの?」

「エレベータで確認してなかったのかよ。35階だよ」

「だ、だってそれどころじゃなかったんだもん/// そっかぁ。空が近くも感じるよね」
そう言って琴子はまたガラスの向こうに広がる空に目を向ける。
家から出た時は太陽の光が射していて、日向を歩く分には温かささえ感じたというのに、今の空は薄いグレーに覆われている。

「外、寒そうだね」

「そうだな。今夜には雪になるって言ってたしな」

「そうなんだ。これから外に出たら寒いね・・・。皆パーティだったから薄着だろうし、大変だろうな。・・・あっ!!」

「なんだよ」

「コート、クロークに預けたままだった。取りに行かなきゃ!」

「そんなことか。電話して部屋に持って来てもらえばいいだろ。それに、今取りに言ったら、さっきの事見てた連中に鉢合わせするかもよ?」

「////・・・・・それは嫌かも・・・・」

「だろ?」
直樹はニヤリとする。

気を取り直した琴子は、今度は室内を見渡す。

「広い部屋だね~。部屋も2つあるし・・・高そう」

そう言いながら部屋を探索する。
デラックススィートと呼ばれるその部屋は、部屋数が2つあるのは勿論の事、重厚な家具・調度品で揃えられ、高級化粧品メーカーのアメニティを採用していた。その他諸々を鑑みて、どんな人間でもこの部屋がこのホテルの中でも高級な部屋の部類に入る事は分かる。

「お袋の計画したパーティ、1000名規模だったからな。ホテルもそれくらいのサービスはするだろう。ところでお前、腹減ってない?」
直樹はこのフロアを含めて3フロアに泊まっている者だけに提供されている付加サービスを思い出し、琴子に尋ねる。

「え?あ、そう言えば少し空いてるかな。同窓会って話に夢中になってるからご飯は二の次って感じで。なんか甘いものが食べたいかも」

「じゃ、行くか」

「へ?だって、今外に出たら皆と鉢合わせしちゃうよ///」

「違うよ。いいから付いてこいよ」


***

「い、入江君。ここは何――?」

直樹に連れられて来たところは1つ下の階にあるラウンジ。ラウンジと言っても、室内にケーキや果物の他、軽食がバイキング方式で取る事が出来るようになっている。

「クラブラウンジ。33~35階に泊まっている客だけが使えるラウンジだよ。1日5回、その時間に合わせた軽食が食べられるようになってるんだよ。お前、ケーキ食べたいんだろ?」

「うん!わあ~凄い!!沢山あるね、入江君。どれにしようかな」

「食いすぎるなよ。また胃の調子おかしくするぞ」

「わ、わかってるもん」

結局琴子が選んだのはシンプルな苺のショートケーキと、苺の盛り合わせ。直樹はエスプレッソをダブルで淹れる。

「そんな苦そうなの、よく飲めるね」

「お前こそ、なんだよ。その苺尽くし」

「だって、すごく美味しそうな色だったんだもん」

「ったく。いいから食えよ」

「う~ん、美味しい!」
琴子はニコニコしながらフォークで差しては口に運ぶ作業を繰り返す。そんな様子を直樹は呆れたように見つめる。

「お前って、食べてる時が一番幸せそうな顔するよな」

「もう、そんな人を食い意地張ったような言い方して」

「事実だろ」

「た、確かに美味しいものを食べてる時は幸せだし、顔に出てるとは思うけど・・・」

「けど?」

「私が一番幸せな顔をするのは、入江君がこうして傍に居てくれる時だよ?」

「・・・・・」
想定外の琴子の返事に直樹が言葉を失った瞬間、眼前に生クリームのついた苺が突き出される。

「はい、入江君もひとつどうぞ♪」

苺の先には、生クリームの白よりもやわらかくて 甘そうな白いワンピースを着た琴子。
にっこり笑ったその口元は、苺よりも可愛らしい桃色をしている。
無意識に直樹は差しだされた苺を口にした。

「どう?美味しいでしょ?」

「甘すぎ・・・・」
直樹は眉をひそめて 自分のカップに手を伸ばした。


***

「は~、美味しかった!お腹が空いてたのも落ち着いたし。これからどうしようか?お夕飯はさすがに今は要らないしなぁ。何か面白いテレビでもやってるかな・・・・」

テレビのスイッチを入れようとした琴子を直樹が制す。

「テレビよりもほら、外見てみろよ」

直樹の言葉に琴子は窓を振り返った。
そこには、東京の沢山の灯りの元へさらさらと落ちて行く粉雪。それは光に照らされて 銀色に光って見える。

「宝石みたい・・・」
琴子は最初にこの部屋に入って来た時と同じように窓ガラスに手を置いて、遥か遠くの地上に舞い降りて行く雪を見つめる。

「綺麗・・・」

空は闇に落ち、室内は明りが灯されているので、窓ガラスは鏡のような働きをしている。
限りなく窓に近付いて外の景色に心を奪われている琴子は気付いていないようだが、少し離れた場所から窓を見ている直樹には、瞳を輝かせて いる琴子が窓ガラスには映っていて、その表情は景色などよりも美しいと感じる。

「あ・・・・」
飽きることなく舞い降りる雪を眺めていた琴子は、不意に背後から直樹に優しく抱きしめられ、言葉を失う。

「琴子、綺麗だよ」

「え・・・?」

「この窓から見える沢山の灯りよりも、舞い散る雪よりも、今はお前を見ていたい。だからお前も俺を見ろ・・・」

直樹は琴子を自分の方を向かせるように立たせる。そして桃色の唇に指をスーと滑らせる。

目を閉じて愛撫を受けた琴子は、直樹の広い胸に両手を置き、耳を当てるようにする。

「静かだね・・・入江君。入江君の心臓の音が聞こえるよ」

「そうだな」

「音、ちょっと速いね・・・」

「ああ」

「こんな静かな雪の夜には、何だか祈りたいような気分になるな・・・」

「・・・何を?」

「永遠―ううん、明日、かな・・・。入江君とずっと一緒に歩いていける明日・・・こんな夜には、どんな奇跡さえ叶ってしまい様な気がするの」

そんな事願わなくたってずっと叶っているはずなのに。直樹は自分の胸に寄り添っている琴子を優しく抱きしめながら窓ガラスに目をやる。そこには幻想的な外の景色の中に琴子と自分が映っていた。
それは何故だか不思議な光景で、琴子の言う‘奇跡’を祈りたくなるような気持が、何となくわかるような気もした。

「・・・そうだな・・」

直樹が琴子を抱きしめていた腕の力を弱めると、自然と琴子の顔が直樹に向けられる。
それを合図に2人は口付を交わす。
聖なる雪の夜に祈るように―――






タイトルをを見て、ピンと来た方、居らっしゃるでしょうか?
同名の歌を少しだけ意識しながら書きました。
もう10年近く前になるのか・・・時間の経過は早いものです(*_*;

そして・・・このお話、続きあります。
はい、宣言どおりのものになっています(多分)
パス付でも、載せるのを躊躇う情けない結果になっていますorz
お気分を害されそうでマジで!怖いです・・・

ではではそういうことで!
あ、苦情はお請け致しかねますのでどうかご自身の責任で何卒お願いいたします(>_<)

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テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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