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::You're My Only Shinin'Star
9月28日の琴子ちゃんの誕生日、各二次サイト様で素敵な作品がどっかんどっかん発表されている中、何も出せなかった情けない管理人です(>_<)
各管理人様、胸いっぱいにしてくださるお話をありがとうございました!
そして遅ればせながら琴子ちゃんHAPPY BIRTHDAY!!

さて、一応私もこの度はそんな気持ちを込めて書きましたが誕生日そのもののお話ではありません。

16巻隙間という事で、直樹と琴子が喧嘩した夜から食堂での仲直りの隙間が前半、それから以前創作で書かせて頂いた【Swinging Heart】の更に続き的なものが後半に続きます。

他にも会話中に【別れ】という話で書いた内容も触れてくるので何だか訳が分からないかも・・・。
宜しければちらっと覗いて頂いた方が良いかもしれないです。

と、遅れてUPのうえくどい説明ですみませんっ!
お付き合い頂けましたら続きからどうぞ。

100
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









「入江ーーーっ!た、大変や、大変なんや!」

食堂から飛び出して駆けつけたらしい金之助が直樹の姿を見つけたのは、食堂から少し離れた医学部の講義室や実習室が立ち並ぶ長い廊下だった。
直樹がその声に気が付き振り返ると、金之助はまた大きな声で叫ぶ。

「はよ食堂行け!!琴子、琴子があの鴨狩って男に今告られ―――」

そう言った瞬間直樹の眉がぴくりと動く。身体が動き出す。

「ありがとう、金之助」

言うが早いか、直樹は金之助の横をすり抜け全力で駆けていったのだった。

いつにない必死な様相で廊下を駆け抜ける直樹に、すれ違う学生達は皆一様に驚いた顔をしてその姿を振り返った。
然し直樹はそんな事は微塵と気にしない。そんな暇などない。

― どうしていつもこんなにギリギリになるまで気が付かない?
どうしていつも土壇場にならないと動けないんだ・・・・・!

己の愚かさを心中で罵りながら、直樹の脳裏に浮かぶのは未明の出来事。
仕事を終え帰宅し、自分の部屋で寛いでいた重雄の部屋に直樹が向かったのは午前2時を過ぎた頃だった。



『ああ直樹君、まだ起きてたのかい?』

重雄はそう声を掛けつつも、この遅い時間に直樹が訪れた事について驚いた様子は見せなかった。
というのも、直樹との諍いの末に家を飛び出し琴子が向かった先は重雄の店だったのだから。
同居する義父に娘婿から一言謝罪や説明があっても何も不思議な事はない。寧ろ当然の事。
然し重雄は決して頭ごなしに直樹を責めたりはしなかった。

『琴子ならちゃんと金之助とクリスが連れて帰ったから大丈夫だ。とはいえまたクリスの家で飲みなおしてるかもしれねーなぁ。クリスは琴子と一緒で酒癖が悪いから、金之助は今頃苦労してるかもな』

と、今夜の琴子の荒れ様を思い出し溜息を零す。


― とうとう言っちゃった。入江くんに、あたしの事なんて好きじゃなかったんでしょう?って言っちゃった。

― 入江くん、あたしの事引き止めてくれなかった。きっと呆れたんだよ。もう駄目、終わっちゃったよあたし達・・・。


泣きじゃくる琴子に、金之助とクリスは『そんな事あらへん』と励まし続けたが、琴子は頑なに首を振るばかりだった。
とても家に帰れないと言う琴子にクリスが自分の家に泊まるよう勧めた事を見届けた重雄は、そっと店の奥にある電話に向かうと入江家に連絡を入れたのだった。

― もしもし、琴子か!?

ワンコールで受話器をとった直樹の声は酷く余裕が無かった。
事情を話し、琴子のことは心配いらないと言った重雄に、直樹は礼を言うと共にすみませんでしたと呻くように低い声を出したのだった。




『今日は・・・、いえ、この度の事、本当にすみませんでした』

直樹は改めて謝罪の言葉を口にすると重雄に向かって深く頭を下げた。
夏休みに別荘で琴子と喧嘩して以来、直樹が琴子に辛くあたっていたのは家族皆周知していた事。
その間、そんな直樹を重雄が咎める事は一度として無かったが、琴子が受けている理不尽な仕打ちに娘の父親として憤りを感じていたに違いない。

『今回の事はおれが全面的に悪いです。おれは・・・、ずっと詰らない嫉妬をしていました。そしてその事にすらつい最近まで気付いていなかった。人に指摘されるまで、その可能性を疑うことすら無かったんです』

静かな目で見つめてくる重雄の視線が痛かったが、直樹は漸く認めた自分の気持ちを吐露したのだった。
責められてもいい。寧ろ罵って殴ってもらった方がいっそどれほど気が楽か。

然し重雄は手をあげる事も声を荒らげることも無く、ただ

『それに気付いた時、直ぐには琴子に言えなかったかい?』

と淡々と直樹に尋ねただけだった。続けて

『出来ればおれが電話した時、君が迎えに来てくれることを期待したんだがね』

と口にする。

『・・・。』

至極当然な言い分に直樹は返す言葉が見つからなかった。
電話を切る間際に聞こえた重雄の溜息の意味に今更ながら気付く。

『・・・すみませんでした』

それしか言えない自らの不甲斐なさに直樹は唇を噛んだ。
そう、全て重雄の言う通りなのだ。
金之助に指摘され、嫉妬という自身の中に蔓延る醜い感情の存在を認めてからも、直樹はそれを琴子に伝えるきっかけを掴めずにいた。
そしてその矢先に起きた今回の出来事にも対応仕切れなかった。
全て自分の弱さが招いた結果である。

『まぁなかなか言いにくいだろうがね』

重雄は苦笑すると直樹にポットの湯で淹れた茶をすすめた。
誰でも負の感情を曝け出すのは簡単な事ではない。ましてや直樹なら尚の事だろう。
何でも出来る天才的才能と引き換えに、人一倍不器用なこの性格こそが直樹の人間味溢れる部分なのかもしれないと、ずっと直樹を見てきた重雄は思うのだった。


『なぁ直樹君。直樹君は今まであいつにどれだけ好きだと言ってやったことがある?』

差し出された湯呑みに手を付けるか付けまいか逡巡している直樹に重雄は徐に切り出した。

『・・・え?』

その唐突な質問に直樹はやや面食らったように重雄を見返す。

『いや、別に答えて欲しい訳じゃない。ただ直樹君は言葉にするのがとても苦手そうだと思ってね』

重雄はそう言うと『まぁそれはおれも同じだけど』と付け加えゆっくりと湯呑みを口元に運んだ。

『おれはなぁ、直樹君に限らず男ってのは言葉よりも態度で示したがる生き物だと思うんだ。だから君がたとえ琴子に優しい言葉を掛けなくても、さては一見冷たいようにしか見えなくても、当人同士にしか分からない気持ちのやり取りがあったんだと信じている』

『・・・はい・・・』

直樹は歯切れ悪く返事するよりなかった。
言葉が足りないのは言われなくとも分かっている。然しそれを改めなかったのは元々その気が無かったのも確かだが、その裏に琴子に自分の気持ちは届いていると思っていたからだ。
だが琴子はずっと不安を抱えていたとさっき言った。言わなくても通じるなんていうのはただの自己欺瞞に過ぎなかったと直樹は痛感せざるを得ない。

『でもな、直樹君。百の態度より一の言葉が必要な時ってのが人にはあるんだよ。たとえ琴子でも、な』

重雄の言葉はシンプルだったが、それだけに直樹の胸に深く突き刺さったのだった。

『明日はきちんとアイツを迎えに行ってやってくれ。そして言い辛いかもしれないが、今おれに話した事をちゃんと琴子にも伝えてやってくれ。父親として、おれが言いたいのはそれだけだ』

重雄はそう言うと、もう遅いから寝るようにと直樹を促したのだった。
明日は金之助たちも食堂で仕事だし、琴子もきっとそのまま大学へ出掛けるはずと予想した直樹はかくして翌日、いつも通り大学に出掛けた。
どこかで琴子を掴まえ、重雄の言うようにきちんと話をして家に連れ帰りたい。
とはいえどうやって琴子に声を掛けるべきか、直樹は未だ迷っているのだった。
昨夜もベッドで散々考えていたのに、考えれば考えるほど答えは纏まらない。
そうすると時間はただ悪戯に過ぎて行き、昼時になってしまった。そしてそこに金之助がやって来たのだった。


直樹が食堂の目の前まで来た時、そこにはいつもとは違った種類のざわめきがおきていた。

「なんだよこれ?ひょっとして三角関係?」
「ひぇ~~、よくやる」

好き勝手な事を言って興味本位な憶測と野次を飛ばす聴衆の中心で、堂々と琴子に自分の気持ちを伝えている鴨狩啓太の声が聞こえてくる。

「入江はお前の事追いかけてきたのか?」
「やっぱりな。あいつはお前の事好きじゃないんだよ」

断定する鴨狩に勝手な事を、と直樹の眼つきが険しくなる。


「違うんだ。全然違うんだよ」

勢いよく食堂の扉を開けると直樹は待ったをかけた。

「入江くん・・・」

眼を丸くして自分を見つめる琴子の熱い視線を感じながら、直樹は一世一代の告白を聴衆の中堂々口にしたのだった――。







 ***************







二人きりになった部屋で、窓からは夜更けになっても変わらず月明かりが差し込んでいた。
その夜2度目に抱き合った直樹と琴子の間には今温かい夜が忍んで来る。

「ねぇ入江くん、もう一回聞いていい?」

擦り寄って自分を見上げてくる琴子に直樹は答えを知りつつ「なに?」と優しく応じた。
今夜はとことん琴子の希望に沿いたいと思っている。

「入江くんが自分らしくいられるのはあたしと一緒に居る時だけなんだよね?」

「ああ」

「あたしの事、好き?」

「好きだよ」

求められるままに、今日何度囁いたか知れない言葉を繰り返すと直樹は琴子を腕の中に包み込み髪を撫でた。
普段はいくら琴子が夢見ても決して叶えてやらない、馬鹿らしいほどベタなやり取りをする自分は何やら笑えてくるが悪い気はしない。

「あたしも」

はにかんだ琴子はしかし直ぐに悪戯っぽく微笑んだ。

「今日は大サービスだね。どうしてずっと付き合ってくれるの?」

いくら言葉にして気持ちを伝える事も大事だ言ったとはいえ、直樹がそれを実行に移すかのように「好き」だと繰り返してくれるのは琴子にとって擽ったい気がしてならない。

「お前が言わせるからだろ」

額を小突かれ、琴子は「確かに」と舌をペロッと出した。
その様子に内心苦笑しつつ、直樹は今だからこそ話しておきたい事を思い出す。



「昔、お義父さんにどうしてお前との結婚を許してもらえたのか尋ねた事があるんだ」

「え?」

直樹が話し出すと琴子は眼を丸くして「いつ?」と尋ねた。
今日は思いもよらない直樹からの告白が沢山出てくるので、その都度琴子は驚いたり涙したりし通しだ。

「結婚式の前日」

「・・・あ、あの時」

琴子は当時の記憶を手繰り寄せ呟く。
そういえばあの夜、帰宅後直ぐに2階に上がってこなかった直樹が父の部屋に行っていたのは覚えている。
だが会話の内容を聞いたのは今日が初めてだった。

「なんでそんな事を?」

娘が直樹に求婚されて断る親が何処にいるものかと琴子は思う。
然し直樹は「そりゃそうだろ」と即答する。

「あの時はおれも勢いに任せて『お前と結婚させてほしい』ってお義父さんに言ったけど、よくよく考えるとなんであっさり承諾してくれたんだろうと後で直ぐ思ったんだよ。何せおれがお前にどんな態度を取ってきたか、お義父さんはずっと見てきて知っていたんだぜ?今更なんだって普通思うだろ?」

「うーん・・・、そういうものなのかな」

琴子はそう言うと首を傾げる。
琴子にとっては直樹と一緒に過ごせる時間はたとえ意地悪されても楽しかったのだから。

「まぁ、お前のそういう感覚も理解った上で、おれの事もお義父さんはよく見てくれてたんだよな」

多くは語らないが、いつも温かい目で見守ってくれる重雄に直樹は感謝するばかりである。
今回の事だってどれだけ言いたい事があっただろうに、重雄は直樹の動向を辛抱強く待っていてくれた。

「琴子を連れて帰ってきてくれてありがとう」

夕食の席でこっそり直樹に言った重雄の目は少し潤んでいたように思う。


「それで、その時お父さんはなんて答えたの?」

「愛情を与える事をおれが知ったから、って言ってた。お義父さんがお前を大切に思うように、夫になるおれにもお前を大切にしてほしいからって」

「お父さんがそんな事・・・」

人情味はあるがどこかシャイな印象のある父が直樹にそんな事を話していたなんて、琴子は意外であり感動でもあり言葉が出ない。

「それを聞いた時、おれはこれからずっとお義父さんの言うようにしていきたいと思った。そしてこれでも自分なりにそうしてきたつもりだったんだ。でもさっきも言ったように、どんなに色々思っていたとしてもお互いの見えている心の内なんてほんの一部に過ぎない。寧ろ言葉にしなきゃ伝わらない事の方が多い」

「そうだね・・・」

琴子は頷く。
その所為で失いかけたものが昨日あった。

「だから今この会話もどこか馬鹿馬鹿しく思わなくもないけど、たまにはこうして大サービスするのもいいかもと思ったんだ」

順を追って話しながら、今度こそは義父に心配を掛けないよう琴子を大切にしたいと直樹は改めて思う。


「じゃ、じゃあこれからもこうして時々好きって言ってくれる?」

「まぁ、たまには」

大きな目で尋ねてくる琴子に直樹は頷き答えた。

「3日・・・、ううん、一週間に一度位は期待しても良いって事?」

「それは無理」

いくらなんでもそんなに態度を急変することは無理だ。
淡い期待を滲ませる琴子に直樹はきっぱりと首を振った。

「え~、それじゃあどれ位に一度なの?」

「ま、半年が1年に一度位?」

「なにそれっ!そんなの全然たまにじゃないよ!」

琴子は頬を膨らませるとひどい!うそつき!とまるで子犬のようにキャンキャンと直樹を抗議した。

「煩い!ならお前が可愛いとおれが思えたときは言ってやる!それで文句ないだろ!?」

堪りかねて言い放った直樹はキッと琴子を睨んだ。

「そ、そんなの無理!」

琴子は慌ててぶんぶん首を振った。
そんな事になれば1年に一度も難しくなるのではないか。
が、直樹は「妥当だろ」と口角をあげる。

「お前がおれにそう思わせればいい話だ。簡単だろ?」

「か、簡単じゃないよ~~」

泣きそうになってぷぅと頬を膨らませる琴子に直樹は思わず笑いたくなる。
これではしょっちゅう自分は琴子に好きだと言わなければならなくなるではないか。

「はいはい。しっかり好きだからもうそんな不細工な顔するなって。またそのうち言ってやるよ」

「ひ、ひどいっ」

剥れる琴子は直樹が早々に約束を反故にした事を全く理解っていないのだった。





「あ、ねぇ。そういえば入江くん、もうすぐ誕生日だよね」

琴子が突如そんな事を言い出したのは、昨日紀子がもうすぐ二人の結婚記念日だと話していたのを不意に思い出したからだった。
この頃は余りに悩み事の存在が大きくなりすぎて、こんな大事な記念日すら頭から吹っ飛んでいた琴子は、同時に直樹の誕生日が直ぐ数日後に迫っている事に漸く気付いたのだった。
因みに紀子はそれに関しては特に気にならないらしい。

「なにか欲しいものない?言われなくてもケーキは作るからそれ以外のものを教えて」

「出来るなら先ずそこから勘弁してほしいんだけど」

「またまた~、幾つになっても誕生日にケーキは必須でしょ?」

遠慮ではなく拒否を示す直樹の言葉は琴子には通じない。


「別に何も要らないよ。大体おれだってお前に何もしていないんだし」

「そ、それはもういいの!もう過ぎちゃった事だし、あたしがお祝いしたいんだもん」

そう言えばそうだったと思い出した琴子は、慌ててそう言って首を横に振った。

「ね?だからもう何でも言って!」

「ふぅん、お前がそこまで言うなら・・・」

「うんうんっ!」

「ここは思い切って凄いもの頼んじゃおうかな」

「え?す、凄いもの・・・?」

直樹の口から飛び出した意外な言葉に琴子はキョトンとし、その後ピシッと顔を引き攣らせた。
坊ちゃん育ちにしては特に贅沢な金銭感覚も趣味も持っていない直樹だが、それでも、いやそれだけに本当に欲しいものは凄いものなのかもしれない。

「あ、心配しなくても金はかかんねーから。身一つで事足りるよ」

さらに綺麗な笑顔を向ける直樹に琴子は必死で頭を働かせる。
お金のかからないもので凄いものと言えば・・・・。
想像できた絵図に琴子はボッと首筋まで肌を赤らめた。

「や、やっぱり何でもはちょっと難しいかもな~~、なんて・・・」

「あれ、さっきの”何でも”は何処に行ったんだ?」

「う、うん。で、でも出来る限り入江くんの望む通り頑張るからっ!だからそれで許して・・・?ね?」

琴子はあたふたと答えると至極無理して笑顔を作った。
直樹の事は大好きだが、どこまで期待に応えられるかは自信がない。

「・・・ぷっ。おれの望む通りって、一体何を頑張るの?」

すると直樹は堪えきれないというように噴き出し肩を震わせた出したのだった。

「おれの欲しいものって別に頑張るとかそんな種類のものじゃないんだけどな~。お前、今一体どんな想像してたんだ?」

「え、あ、あの・・・///」

ナニをどーしてこうするなんて言えない琴子はただ口をパクパクするばかり。

「ま、おれはそれも頂けるって言うなら喜んで貰うけど」

ニヤリと笑って見せながら、直樹は琴子の顔を覗き込んだ。

「もう~~、じゃあ入江くんのいう凄いものって一体なんなのよ~~?」

顔を熟れたトマトのように真赤にさせた琴子は、そう言って直樹の胸をポカポカと叩いた。
直樹の掛けた簡単な罠にあっさりと摑まり、口走ってしまった言葉が恥ずかしくて堪らない。

「さぁ、なんだと思う?」

ちっとも痛くない琴子の攻撃を受け流しながら、これだから琴子をからかうのはやめられないと直樹は思う。
けれど今日はそれだけの日ではないから、クスッと笑うと琴子の顎を持ちあげた。

「実はもう貰っているんだけどね」

「え?」

「お前の存在そのものがおれにとっては凄い最高のプレゼント。だからおれにはそれだけで十分」

「入江くん・・・」

思いもよらない直樹の言葉に、琴子はそれ以上言葉が出てこない。

「生まれてきてくれてありがとう。琴子」

みるみるうちに瞳に涙を溜めている琴子に直樹はそう言うと、そっとその瞼にキスを落とした。
誕生を祝うということは、つまりはこういう事なのだと思う。


「入江くんも、生まれてきてくれてありがとう」

そっと瞼を開くと琴子は零れんばかりの笑顔で直樹に同じ思いを伝えた。
今年の誕生日は寂しかったけれど、そんな気持ちは今吹き飛んでしまった。
星の数ほどあるめぐり合いの中で、出逢えた事に感謝をするのが誕生日だとするならば、その日に拘る必要は決してないのかもしれない――。


「お前の眼、なんかキラキラしてるな」

「入江くんの眼もそうだよ」

見つめ合った二人の瞳に映っているのは月の光か。それとも星の輝きか。
いずれにしてもその光は、小さいけれど互いにかけがえのない、ただ一つの大きな光――。







お付き合い頂きありがとうございました。
「生まれてきてくれてありがとう」を入江くんに言わせたかったんです。もうそれだけ(笑)
その割りに最後走り気味。そのうえ無駄にロマンチックで恥ずかしいのでUP逃げします(^▽^;)

余談ですがこの話は以前【ロスタイム】というお題でお話を書いたときあとがきでちらっと書いたパターンBのお話です。
とはいえ今回は当初のイメージとはだいぶ違った形で出来上がってしまいました(^^;)

パラレルでもシュールでもない普通のお話、久々に書くと難しかった!
って、これでいいのか私?

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16巻スキマ  コメント(11)  △ page top


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::拍手 コメントありがとうございました
あけみ様

こんにちは!すみません~~裏庭張って下さってたんですね!?
更新停滞していて申し訳ないです~~。此方でいっぱいいっぱいでした!我ながら不器用過ぎです~(>_<)

あけみさんもミポリン気付いて下さいましたか♪そうですそうです!特に後半はまさにこの歌をイメージに書いたんです!昔書いた『Swinging Heart』もそうでした^^
ほんと懐かしいですよね~~。かれこれ20年前の歌というのがびっくりですが(^^;)
余談ですがこの歌、アニメの後期エンディング曲を担当いたAZUさんもカバーで歌っているんですよ。しっとりしていてお勧めです☆

嫉妬事件の時、入江くんは本当に情けない男でしたが、それを乗り越えた時に本当に成長できたと思います。それを影で支えたのが重雄パパだったのではと思います♪「生まれてきてくれてありがとう」はこの時だからこそ改めて思い口にする事ができたのかなぁって(^m^)
つい持ち前のロマンチストが全面に押し出た作品でしたが温かいコメント本当に嬉しかったです!ありがとうございました♪

裏庭も頑張って書いていきますね~。そしてこちらもイタキスといえば秋!の季節ですから時々はそれに合ったお話書いていきたいです♪そして趣味全開の拍手お礼も勝手ながら書かせて頂こうと思います(笑)
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::拍手 コメントありがとうございました
美優様

こんにちは!『ご報告』の拍手コメに寄せて頂いていたのですが内容的にこちらにレスした方が良いと判断しました^^
違うパターンで何度でもと仰って頂き有り難いですっ!お言葉に甘えて手を変え品を変え切り込ませて頂きますね♪
仲直りご直ぐの直樹の誕生日、琴子がどんなすごいケーキを用意したか分かりませんが直樹はきっとしっかり食べたでしょうね(^m^)その後琴子をもっと美味しく頂いた事は間違いないでしょうww
それが直樹ってもんですよね、はい♪
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::拍手 コメントありがとうございました
嘉村様

こんにちは!素敵なんてありがとうございます~!
相原パパ、いいですよね^^

大サービスな入江くんは読むのは大好きなんですが、自分で書くと「これはあり?やりすぎてない?」と思ったりしてしまいます(^^;)
仲直りの夜だったんでこれ位やっても構わんだろう!と半ば開き直ってUPしたのですがやはりどこか不安だったので、二人の様子に絆を感じて頂けてとっても嬉しかったです♪ありがとうございました!
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::拍手 コメントありがとうございました
紀子ママ様

こんにちは!こちらこそお気持ち籠もったコメントありがとうございます!
確かに啓太の嫉妬事件で重雄パパ、そして家族の対応は原作ではまるで描かれていなくて不思議なんですよね。他の方のコメレスで書きましたが、アニメでは少し描かれていて、そこでは重雄パパが直樹にむかしのアルバムを見せながら『本当の自分になれる相手』について語っていました。
でもこのエピが私にはちょっと「・・・?」って感じで。何故重雄は直樹にまるで憤りを見せないんだろう?と。他の周りの大人達の対応もそうなんですが、あまりに直樹に甘すぎると思ったものです。

そして台湾版。そうそう、こちらは殴っていましたよね。本当に、これが普通の親というものの気がします。
ただ、原作で見る限り重雄は「夫婦の事に関して例え親であろうと口を挟まない」を信念として持っているように感じられたんですよね。例えば入籍の時などもそうです。
そのような観点から私はこの辺りの対応だったのでは・・・と勝手に想像した次第です。中途半端かもしれなかったですが、少しでもモヤモヤ解消のお役に立てたのならこれほどの事はありません^^ありがとうございました!

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::拍手 コメントありがとうございました
まあち様

こんにちは!お久しぶりです~♪
ふっふっふ、御名答でございます!ミポリン入りました~~♪
実は「Swinging Heart」もイメージソースは「You're My Only Shinin'Star」だったんですよ。でも当時はここまで切り込む事がまだ出来ず・・・(苦笑)、こうして少しずつですが色々な創作をしてやっと形にする事が出来ました。

重雄パパについては私もあれこれ考えてしまいます~。まあちさんのお考えも分かりますよ!
でもちょうどそんな事を考えていた所だったという部分が妙に面白くって(≧m≦)
どうしてそんな事お考えになっていたんでしょう!?そこが気になります~♪

ちなみにまあちさんの旦那様と私の父、同じ誕生日です・・・!
前日に姉と一緒にプレゼントを選び、渡せる時間がなさそうだったので配送頼んだのですが、何故か伝票の送り主部分にそのブランドの名前が印刷されていて私たちの名前を書く事が出来ず・・・、そのまま『まぁ分かるやろ」と送った適当な姉妹でした(笑)あ、後でちゃんと電話はしたんですけどねww
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::コメントありがとうございました
narack様

こんにちは!誕生日に相応しいなんてありがとうございます!
恐縮しきりですが、琴子ちゃんの誕生日当日に間に合わずにUPしたのだけはこのお話に合っていたかも・・・?なんてご都合主義な事はちょっぴり思ってます(笑)

嫉妬事件の時は琴子ちゃんの父親だけの立場から考えると重雄パパはもっと憤り怒って当然なんだと思います。でも直樹の事もとても温かい目で見ていたと思うんですよね。なので私のイメージではこうした対応をとったのではと思いました。こんなパパに育てられた琴子ちゃんだからこそ、あんないい子に育ったというのは私も同感です♪

そして「生まれてきてくれてありがとう」に素敵なお言葉をありがとうございます!
「生まれてきてくれてありがとう」はイタキスに、そして直樹や琴子に出会えた私からの気持ちも込めてみました(^m^)
本当の自分になれる唯一の相手である琴子ちゃんの存在は入江くんにとってかけがえのない存在ですよね♪
余談ですがイタキスのwikiの啓太の項目で、入江くんは「この事件が結果的に直樹の琴子への依存と愛情を直樹にはっきりと自覚させる」と紹介されています(笑)これ読んだとき何故か噴きましたw
編集 △ page top
::コメントありがとうございました
藤夏様

こんにちは!お久しぶりです~♪
お時間たっぷりなんて感激ですよ~~(T_T)藤夏さんには初めての作品からずっとお付き合い頂いてますもんね・・・!本当に、このお話は当初から書きたいと思っていたんですがやっと形にする事が出来ました。まだ優先させて書くべきエピはあったような気がするんですが、それはおいおい書いていきたいです。ふふふ、私の隙間はしつこいですよ~~(笑)

入江くんと重雄パパの会話は味がありますよね。
原作でも将来の事で入江くんが迷って居る時、大学卒業の時など重要な場面で重雄パパはいい役割を果たしていますが、此処でもきっと何かしらあったのだろうなぁ、と☆
アニメではたしか重雄が若いころの話を持ち出しつつ『本当の自分になれる相手』について直樹に語っていましたよね。台湾版では直樹に対する憤りから殴っていたり・・・。この創作はその間位の対応になるのでしょうか。私の重雄観ではこんなイメージだったりします^^

入江くんが「好き」と口にすることはきっとこの後も殆どなかったでしょうね~。だからこその22巻の琴子ちゃんの誕生日エピの時の反応だったんでしょうし♪
ただこの仲直り後直ぐのお話で琴子ちゃんが「あたしの事好きなくせに~」的態度を取っていたので、仲直りの夜だけは言葉でも沢山の愛情を注いだのではと妄想してしまいました。って、私も何言ってるんだか分からないレスですみません~(^^;)
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::コメントありがとうございました
ちぇるしぃ様

こんにちは!こちらこそ、裏庭にもこちらにもいつも素敵なコメントありがとうございます!
私も啓太事件は苦手で苦手で(>_<)ついついコミックの15巻は手に取る回数が減ります。でも16巻はアホみたいに何度も読み返してはヘラヘラしています(笑)仲直りのエピソードもそうですが、その後に収録されているエピも直樹の糖度が高いんですよね~~(≧m≦)

そうそう、大魔王も好きですがこんな入江くんが好きなんです!
とくに仲直りの夜はピロートークも盛り上がったのではと妄想が止まらんですww

これからも色々なところで宜しくです☆週末は娘の運動会で死んでいて(ただ見ていただけなのに 苦笑)お話書くどころがじゃなったのですが、今週はボチボチまたボチボチ頑張っていこうと思います。

本当にこの頃急に涼しくなって体調が崩れがちですよね。
ちぇるしぃさんもどうかお体ご自愛なさって下さいね!
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