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Inevitable encounter


・・・・・・・・・・・・・・・・・・




出掛ける前に何となく見ていたテレビで、 ニュースキャスターが『今日は立冬です』と言っていた。
冬と言っても名ばかりで、コートは未だ要らない。でも日没の時間は日一日早くなっていて、ここ最近はそれを毎日実感する。
今、こうして入江君の背中を見ながら歩いている最中にも、地面に落ちた影の長さに空がもうすぐ闇に包まれるのを予感する。
今、私の気持ちは少し、凹んでいる…


「おい。いつまでそんな剥れているんだよ」
入江君が立ち止り、呆れたとでも言いたげな顔でこちらを振り向く。

「だって…。さっきのは入江君が悪いんだもん」
私は言い返す。

だって今日、私は大事な友達を傷つけてしまった。
ううん、ずっと傷つけっぱなしだった。
入江君への思いを塞き止め、出口の見えないモノクロの世界に迷い込んだ私は、自分の気持ちを誤魔化す為に、手を差し延べてくれた金ちゃんの優しさに甘えて、期待させて、…そして裏切った。

それなのに金ちゃんは、最後に私の倖せを願ってくれた。
『見る目が無い』と言いながら…
うん。少し当たっているかも。でも、それでも私は入江君しか好きになれない……

「まだ怒ってるのか」
入江君は腕を組んで私を見下ろす。背が高い入江君にそんな風にされると、威圧感が出てちょっと怖い。でも、やっぱり私は言い返す。

「だからそうだって言ってるじゃない。だって入江君のさっきの言葉…ひどいよ」




さっき、金ちゃんに追い出されるようにしてふぐ吉を後にした私たちは、夕日が今にも西の空に落ちて行こうとする中を2人歩いていた。

「私たち、色んな人を傷つけちゃったね」
罪悪感で落ち込んだ私は呟いた。そしたら入江君ってば慰めてくれるどころか、『俺たちだってこれからどうなるかは分からない』なんて言うんだもん…!!



フー、とあからさまに大きな溜息をついた入江君は、再び私に背中を向けると歩いていく。
なんだか悔しくて情けなくて、入江君を追いかけられずに地面に広がる落ち葉に目を落とす。
しばらく立ち止っていると、カサカサと音がして視界に入江君のスニーカーが映った。

思わず顔を上げたら、堪えていた涙が弾けて、地面にポタッと落ちた。
まだぼやける視界の向こうには、少し困った顔をした入江君が見えた。



「ほら。少し寒くなって来たな」
そう言って、いつの間に買ったのか、私に缶コーヒーを手渡してくれる。
入江君の右手にはブラックコーヒー。
私に差しだした左手には加糖のコーヒーが握られていた。

「…ありがと」
素直に私は受け取った。


「少し話すか」
そう言って入江君はすぐ目の前にあった公園内に入っていく。付いていくと、目の端に自動販売機が見えた。

さっき何処からか聞こえてきた夕方5時を知らせる鐘の音で、公園で遊んでいた子供たちは家へと帰ったらしく、公園内には入江君と私だけ。
先に座った入江君の隣に私も座る。


「…なんでそんな所に座ってるんだよ」

入江君の呆れた声が聞こえる。
まあ、確かに…。
何だか緊張しちゃって、私は入江君との間に子供が2人座れそうな距離を作って座ってしまった。

「べ、別に…///」
私は缶コーヒーのプルタブを開けて、グッと呑み込む。

「熱っ!…甘…」

「ったく。持てば熱い事ぐらい分かるだろ。気をつけろよ」
そう言って入江君もコーヒーに口を付けた。

「…で?俺がさっき言った言葉がそんなに不満だった?」
入江君が私に問いかける。

「だって…入江君はやっぱり元の意地悪な入江君なんだもん。一昨日の入江君が嘘みたいで」

「今、金之助に会って宣言したのに?」

「そ、そうだけど…」

言い淀む私を見て、入江君がフーっとひとつ溜息を吐く。



「…琴子、お前はさ、俺の何処が好きなんだよ」

突然の予想外な質問に私は戸惑う。

「え…そんな今更…もう、何処がとか分かんないよ。私は…出逢ってしまったんだもん、入江君に。入江君を構成している全てが…大好き」

「…だろ。俺も同じだよ」

「え?」

入江君、今凄い事を言ったような… 私は入江君の横顔を食い入るように見つめる。
入江君は視線を前に向けたまま話し続ける。


「何遍も言ったりしないから良く聞けよ。俺はお前が好きなんだよ。何処がとか聞かれても知らねえよ。出逢ってしまったから、それだけ。そしたら、何もかも覚悟して背負っていくしかないだろ」

入江君の口調がいつもより早い。言いきると入江君はコーヒーをクイっと飲み干した。

「…っつ……」


さっき私に言ったのに、入江君も同じ事してる
クスッ そんな入江君、ちょっと可愛い。


そっか…そうだよね。入江君の言うとおりだ。
どんな道でも、進んで行くしかないんだよね。

「入江君、舌火傷したんじゃない?」

私は少し入江君との距離を近づけて、からかうように入江君を見上げる。
入江君はそんな私を横目に睨んでくるけど、今は全然怖くないんだから!

「・・・・・・・!?」

余裕の顔で入江君を見上げていたら、急に入江君の腕が後ろ手に私の肩に伸びて、私は入江君の胸に抱き寄せられた。

「い。入江君…?」

私は突如間近になった入江君の顔にドギマギする。
嬉しいけど、まだまだ慣れない、入江君の匂い。体温。

入江君は形勢逆転させて、すっかりイタズラな顔を見せている。

「ああ、火傷したな。いてえよ」

「あっ だったら水がいいよね …!ほら、自動販売機に売ってると思うから、私買ってくるよ…」

腕から逃げ出す様に入江君の胸を手で押し返そうとしたら、もっと強い力で腕の中に閉じ込められてしまう。

「いいよ。火傷なんて、唾で治るよ」

「そ、そんな…お医者様になろうって人がそんな事言って…」
尚も逃げ出そうとする私を、入江君の腕が、言葉が遮る。

「…まあ、どうせならお前に治してもらおうかな」
そう言って入江君の手が私の頭を固定した。

×××××××××××××××××××××××××
×××××××××××××××××××××××××



「うん。もう大丈夫、治った」
入江君がニヤリと笑う。
私は頭がグルグルしている…心臓が…火傷したみたい…

「今の、何回目?」
更に意地悪な顔で聞いてくる。もう!!!!このまま蕩けてしまいそうだ…

「し、知らない…////」

怒ったように答えたけど、全然迫力の無い私。
もう一度入江君を見上げると優しい目の入江君と目が合った。

クスリとどちらからともなく微笑む。


そうだよね、先の事なんてまだ分からないけど、なんでもかんでも、どんなでもしっかり受け止めて、倒れないんだから!!
大丈夫。入江君となら、大丈夫。


だから覚悟決めてこれからも貴方を愛しつづけるから。

だから入江君もしっかり覚悟しといてよね!!!







少~しずつ、甘いのが書きたくなってきました^m^

まだこの時期には結婚は決まっていなかったので、恋人関係のイリコトです♪



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secret

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コメントありがとうございます!

繭様
こんにちは♪コメントありがとうございます!
この時の入江君って、琴子との事も勿論だけど、まだ二十歳そこいらで会社の将来担わされて苦労した分、色々な意味で成長したのでは…と思います。直接的に傷つけた沙穂子さんや金ちゃんだけじゃなく、パンダイの社員・その家族の為にも、男のケジメとして結果を出して…それから琴子を幸せにしたいと思って、琴子にこんな話をしたんじゃないかと想像して書きました。後日ママの暴走で悉く計画が変わっていってしまうんですが…(^_^;)
まだ自分の感情を素直に表現するのは苦手で話しながら照れさせてみたり…(笑)入江君っぽくないかな?と思いながら、まぁいいかなんて(汗)
でもその後の下りは、計算通りって感じですね(*^_^*)恋愛経験ないのに、なんでテクだけは持ってるんでしょう(笑)

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拍手コメントありがとうございます!

R様

こんばんは♪コメントありがとうございます(^^)
そうなんです。原作で入江君が心にもない事を言っているものだから、「正直に言ってみな~」という気持ちで書いてみました。缶コーヒーはそうですね。まさにそのシーンの影響で出ました。16巻読んでる率高いですから^_^;
ありそうと言って頂けてうれしいです!!


y様

こんばんは♪お忙しい時間を縫って読んで下さってありがとうございます!!
なんだかご心配いただいて・・・ありがとうございます。
修行気分で週末書きなぐってまして^_^;
書いたものは取りあえず後先考えずに投下したくなるんですよ~。あ、でもまたストック無くなりました。次はいつになるやら(笑)

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