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あたしを海につれてって! 2

下らないお話は勢いに任せてじゃんじゃん行きましょう♪
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











「・・・お、あったあった!」

その日の夜、あたしはクローゼットの普段あまり手を伸ばさない引き出しからお目当ての物を見つけ出すとニンマリと笑った。

「何があったんだ?」

多分あたしの声がとても弾んでいたんだろう。
既にベッドに入って本を読んでいた入江くんが尋ねてくる。

「うふふ~~これ♪覚えてる?入江くん」

あたしはそういうと振り返り右手を入江くんによく見えるように高く突き出した。

「・・・。あぁ・・・。お前それ、まだ持ってたのか」

「えへへ、なんだか捨てるに捨てられなくって。だってこれ、結局試着だけしかした事ないんだもん」

あたしの手に握られているのは、例の高校生の時に買ったビキニ。
一緒に選んでくれた理美とじんこは別として、これを着たあたしを知っているのは入江くんただ一人だけ。
当時、思いがけずその姿を見られてしまった時は恥ずかしくて恥ずかしくて、穴があったら入りたいって気分になったけれど、今となっては懐かしい思い出よね。こんな風に思えるようになったのは、あたしと入江くんがベテランの夫婦になってきたからかしら?

「・・・今度の慰安旅行、これ持って行こうかなぁ?」

あたしは窺うように入江くんをちらりと見た。
ほんの少し前までは新しい物を買う気満々だったんだけど、こうして改めて見るとやっぱりなかなか可愛いと思うし、それもいいような気がしてくる。
すると入江くんが馬鹿にしたようにフンと鼻を鳴らした。

「それじゃお前、また無理して分厚いパッド入れて寄せるんだ?」

「うっ。 そ、そこはもう少し控えめなパッドに変えるわよ・・・」

そう、当時は理美たちに唆されるままに結構なボリュームのパッドを選んだのよね。
でもそんな無理して――なんて言わなくてもいいじゃない?

「・・・そんな事言うなら、パッドを入れなくてもいいように入江くんが何とかしてよ」

ちょっぴり不貞腐れて小声で毒吐くと、「してやろうか?」と冗談とも本気ともつかない調子で言い返されてしまった。

「い、いいです・・・!間に合ってます・・・・・・!」

あたしは思わず手にしていたビキニをぽろりと落とし、慌てて首を振る。


「―まぁ、それはともかくとして」

入江くんはそう言って溜息を一つ吐くとパタンと本を閉じた。

「その水着、お前が何歳の時に選んだやつかもう一度よく思い出してみろよ?」

「え・・・。えーっと、じゅ、17・・・?」

改まって訊ねられ、あたしは空を見つめながら答える。
確か・・・、高三の誕生日前だったからそれで間違いないよね。

「で、お前今、何歳?」

「・・・25歳」

「そうだ。つまりこれを買ってから7年の時が流れている。
 なぁ、冷静になって考えてみろよ。その頃にぴったりと思って選んだ物が、今も似合うと思うか?」

「そ、そう言われると・・・」

諭すようにな入江くんの口調にあたしは少し黙り込む。
つまり、似合わない筈だと入江くんは言っているんだけど、それはさっきと違って論理的(?)なダメだしをされたように感じてしまう。
つい童顔とか、実年齢より若く(子供っぽく)見られる事が多いから何の違和感も持っていなかったけど、もしかしたらこの淡いピンクにドットのビキニって、25歳には流石にちょっと無理してる感があるのかなぁ?

「・・・わ、分かったわよ。じゃあこの水着はやっぱりやめておく」

あたしはそう言うと出したばかりのビキニを畳みなおし、元あった場所にもう一度戻した。
ちょっと残念だけど、これは思い出の品としてとっておこう。

「でもその・・・、新しい水着は買うね?あの、モトちゃんや真里奈が言ってたの。今回の慰安旅行、女の子達皆はりきって水着選んでるんだって。どうも入江くんにアピールしようとしてるみたい」

「ふぅん」

気の無い相槌を打つだけの入江くんは、本当にそんな事どうだっていいんだと思う。寧ろ迷惑でしかないのかもしれない。
でも・・・、それでもやっぱり、万が一の事を考えると不安になっちゃう。

「ねぇ入江くん。他の女の子見たりしないでね。ね?」

あたしはそう言うとベッドに駆け寄り、入江くんの隣にピョンと正座し訴えた。

「バーカ。何言ってんだか」

「ば、バカじゃないもん!
 ・・・本当に心配なんだよ。入江くんにあたしの気持ちなんて分かんないんだから!」

「はいはい。分かった分かった」

入江くんは面倒臭そうに、けれど少し口端を引き上げながら、子供をあやすようにあたしの頭をポンポンとした。
もう、なんだか悔しいなぁ。時々思ってしまう。入江くんもたまには、あたしみたいな感情を味わえばいいのに。
ああでも悲しいかな、あたしはそんなモテやしないのよね。
勿論、本気で入江くんを嫉妬させたい訳じゃない。ううん、入江くんにあたしみたいな思いを味わってほしくなんかない。
ただ、時々はあらためて可愛いなんて思ってもらえたらいいなぁって思うのよ。
あたしが入江くんをカッコいいと感じるほんの半分、3分の1でいいから―。


「それなら・・・」

そんな事を思いながらちょっと俯いていると、不意に入江くんが口を開いた。
その声にあたしは顔を上げる。すると目の前で入江くんがクスリと悪戯っぽく笑う。

「そんなに心配なら、おれはお前のものだって印でもつけておく?」

「へ・・・?」

「ま、お前のつけ方じゃ旅行までには消えてしまうだろうけど」

瞬時に意味が分からず首を傾げるあたしを見ながら、さらに愉しそうな顔を見せる。

「あ・・・!」漸く意味が飲み込めたあたしは叫ぶと顔が真赤になった。

「や、やだもう~~!からかわないでよっ!そ、そんな事出来るわけないじゃない!?」

「出来ないんだ?それじゃ仕方ないなぁ」

ワザとらしい残念そうな声を出すけど、想定の範囲内って顔してる。

「もう・・・始めからそんな事させるつもりなんて無いくせに」

「さぁ、どうだろうな?
 でもおれは、つけられるよりつける方が性に合ってるってのは確かだけど」

そう言うと、あたしが弱いやり方で首筋に触れてくるから思わず「ひゃああ」と声が出た。

「だ、ダメ!今はダメだよ!
 だだだって今つけられたら旅行までに絶対消えないもん!」

そしたら誰かに見つかるかもしれないじゃない!?
水着もビキニなんて着られなくなっちゃうわ。
ヘタすれば競泳用のスイムスーツ(あの全身くまなく覆うタイプのヤツ)しか着られない状態にだってなりかねやしない・・・。

思わず後ずさりして拒否の態度をとったあたしは、「あ、そ」と入江くんが眉を顰めた本当の理由を分かっていない。
それから、普段入江くんによってつけられた痕が病院中のスタッフや患者さんにまで知られているんだって事も想像だにしていない。


「あ、あのそういえば入江くんって明日大きな手術入ってたよね!?」

あたしはそう言うと素早くベッドに横になり布団をしっかり肩まで被った。

「そんなしっかり被って暑くねーの?」

「うん!大丈夫!ほら、あたしって冷房に弱いから。お腹冷やしちゃうといけないし」

目を細めて見てくる入江くんににっこりと笑顔を振りまく。

「そ、それより入江くん、明日に備えてもう寝なきゃ!あたしは夜勤だから明後日までゆっくり会えないね。
あ、そういえば旅行の前日って入江くんのシフトどうなってたっけ。もしかして当直?それならあたしが入江くんの荷物もちゃーんと用意して集合場所まで持って行くから――」

「・・・休みだからそんな心配いらないよ」

「そ、そう?
 あ、でもそれなら旅行前日は二人ともわりと余裕を持って過ごせるね!」

あたしは夜勤明けだから帰宅後は少し眠るだろうけど、その後はフリーだ。
いつも旅行の荷造りにはついつい時間が掛かってしまうタイプなので、これはとても助かる。
旅行には何を着ていこうかなぁ?
そうだ、こないだ買ったモノトーンのドットのワンピにしようかしら。
あ、でもバスに長時間乗るからジーンズとかの方がいいのかな。

「・・・なんか色々考えているようだけど、電気消していいか?」

「あ、うん。
 お休み~~。明日もまた頑張ろうね!」

「はいはい。お休み」

入江くんが部屋の明かりを常夜灯に切り替える。
薄暗くなった室内で、あたしの頭の中はまだあれこれと段取りを決めるのに忙しい。
そうだ。水着選びは明日いつもより早めに家を出て、夜勤入りする前に選んでしまおう。
一人で選ぶのはやっぱりちょっと不安だけど、まぁなんとかなるよね・・・・・。





・・・スゥ、スゥ・・・。

「ったく、ほんと寝入りの早いヤツ」

それからあたしはどうやらあっという間に眠りについたらしい。
実はちょっと暑いと感じていた身体がスッと涼しくなる。

「ったく、こんな被ってたら逆に寝汗で風邪引いちまうぞ」

入江くんの呆れた声が聞こえたような気がする。
額にかかった髪が除けられ、柔らかいものが触れたような感覚を覚えながら、あたしはその夜は幸せな夢を見た。



『その水着、似合っているよ琴子』

『ほ、本当?入江くん』

『ああ。なんて可愛いんだ。思わず食べたくなりそうだよ』

『やだ~~入江くんッたら。ウフフ・・・・・』



夢の中の入江くんはとっても優しくって、あたしに甘い言葉をこれでもかというほど掛けてくれる。






後が怖いね、琴子ちゃん・・・と、そっと肩を叩いてあげたくなります(笑)




テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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拍手コメントありがとうございました

> ミイナ様

こんばんは、ミイナさん^^お久しぶりです!
いえいえ、時々でもコメント下さるととっても嬉しいです♪それに私のほうこそこんな遅いお返事で・・・申し訳ありません(>_<)

フフ、本当に琴子ちゃん可愛いですよね^^
私も入江くんと金ちゃんが居なかったら、もっと琴子ちゃんはあからさまにモテていたと思いますよ☆
あの二人は違うベクトルですが琴子ちゃんを他の男から遠ざけていましたよね~~。
今回も密かに琴子ちゃんの白肌を見られると密かに楽しみにしていた輩はそこそこいたと思います(笑)
その辺りを妄想するとまた新たに番外が書けるような気がしますww

そしてそんなんですよ。このスキマのやり取りがあって、琴子ちゃんはあの色気のない水着を着るはめになります(^m^)もうご想像はついていると思いますが、どうぞ次回以降もお付き合い下さいね♪
本当、琴子ちゃんにはいつか思う存分好きな水着を着て、入江くんを嫉妬させてやってほしいです~~(^m^)

コメントありがとうございました

> あやみくママ様

こんばんは。お久しぶりです!先日はコメントありがとうございます^^
ですのにお返事が少し遅くなってしまいましたこと、申し訳ありません!

もういっそ・・・ほんとその通りですよね~~ウフフ♪さすがあやみくママさん、目の付け所がいいです^^
で、日焼けの事!まったくどんな変態直樹!!(≧m≦)けど見てみたい!

続き、また頑張って書きますね。どうぞお付き合い下さい♪

コメントありがとうございました

> みゆっち様

こんばんは。先日はコメントありがとうございました!なのにお返事が遅くなり大変申し訳ありません(>_<)

そしてもう一つ申し上げますと、私もみゆっちさんにコメント残したいと思いつつ・・・、なかなか出来ずにいます。また今度させて下さいね!

あら、琴子の肩を叩く私、見えちゃいました?ww
あのお庭の薄笑いしてる顔ですかね?プププ・・・

ええ、ええ。入江くんはつけるよりつけるのが好きなんです!それが入江くんなんです!!
(何故か力説)
最後までそんな勝手な入江くんでいきたいと思います♪どうぞお付き合い下さいね^^

コメントありがとうございました

> トトロン様

こんばんは。先日はコメントありがとうございました。
ですのにお返事が遅くなってしまい大変申し訳ありません(>_<)

とっても面白いと思って頂けて嬉しいです!次回が楽しみと思って頂けると、頑張らなきゃ~~と思います!
もう少しお待ち下さいね^^

コメントありがとうございました

> もりくま様

こんばんは。先日はコメントありがとうございました!
お返事が遅くなってしまい大変申し訳ありません・・・(>_<)

あら、もりくまさんのPCもそのように変換されたんですね?ww
まったくその通りですよ。入江くんはすでに嫉妬・牽制の嵐です(笑)
ある意味入江くんにエール・・・ふふふ、なんだか物凄く納得!ですよ♪
どんな作戦でくるのか・・・、もうご想像がついていると思いますが、「やっぱりね!」とにんまりしながら読んで下さると嬉しいです☆
その為にもがんばって続き書きますね^^

コメントありがとうございました

> 茉莉花様

こんばんは。お久しぶりです。コメントありがとうございます!
それなのにお返事が大変遅くなってしまい申し訳ありません(>_<)

すみません、ネタバレという訳ではないんですが、フーコたちは今回は出て来ないんですよ(汗)
こちらのお話は、あくまで原作で琴子ちゃんが気合いを入れて水着選びをしていた筈なのに、どうしてイマイチ色気のない水着を選ぶ羽目になってしまったのかを勝手な妄想で書いておりまして(^_^;)
それでも他のナース達が惨敗した様子は別のお話「二日酔い」というタイトルで書いておりますので、良かったらご覧下さいね。

引越しのお気遣いありがとうございました!もうすっかり慣れましたよ♪
ただ、どうも身体の疲れは歳の所為かとれていないので(苦笑)、のんびり回復していきたいです。

コメントありがとうございました

> YKママ様

こんばんは。先日は2度目もコメントを下さってありがとうございます!
しかも高校生編から再度読み返してくださったなんて、すごく嬉しいです。
・・・それなのにこんなに遅いお返事になってしまったこと、大変申し訳ありません(>_<)

そうなんですね。台湾版にそんなシーンがあるんですか~~。
小さいPCから動画は色々観た事があるのですが、しっかり鑑賞はした事がなくて・・・。いつかDVD全部借りてみようと思うのですが、何せ膨大なので二の足を踏んでいます。
いつか観始めたら、どこかな?と思いながら探してみますね^^

ふうん、というお言葉にYKママさんが今後の展開がお見通しの様子が窺えて思わずクスッと笑ってしまいました^^そうですよ~~。かわいそうに琴子ちゃん、やっぱり・・・ですね(笑)
これからどんなやり取りがあるのか、またどうぞお付き合いくださいね♪

コメントありがとうございました!

> 紀子ママ様

こんにちは。お返事がすっかり遅くなってしまい大変申し訳ありません!
あは~~笑って頂けてよかったです!でもそっか、入江くんてばこの時に太腿に・・・とは考えていませんでしたよ(≧▽≦)このネタ、美味しく頂戴させていただきます♪

琴子ちゃん、スイムスーツを着なきゃならないくらい入江くんに痕残されまくっているのに(爆!)病院の皆に気付かれていると思わないってとんだ天然ちゃんですよね(笑)
ピンクのドットの水着は間違いなく25歳でも似合っています!ただ入江くんが「あれは俺だけが見ていいんだ」って今でも思ってるんですww困った男だわ!
そして私も間違いなく全身をくまなく覆いたい体型ですww
というか、水着なんてもうこれから先着たくないと心から思っています(^▽^;)

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No title

ぴくもんさん、こんばんは(^^)

>そっと肩を叩いてあげたくなります(笑)

琴子の肩をそっと叩くぴくもんさんが見えました(笑)
入江くんが入江くんで(書いてて意味不明ですがww)すっごくいいです!
つけられるよりつける方が好きとか( ´艸`)ムププ
入江くん、キターって思いましたよww

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