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::Fireworks of that summerⅡ
・・・・・・・・・・・・





琴子が離れに入ると、もう直樹は湯から上って縁側で涼んでいた。
その後ろ姿を見た琴子は思わずはしゃいだ声をあげる。

「入江君!浴衣着てくれたんだ!!」

そう、この旅行に出かける準備の際、琴子は旅先で揃いで着られるようにと直樹の浴衣も用意して来ていた。
しかし、旅の行き先はまさかの紀子の実家であり、この2週間直樹がそれに袖を通す事もなく、琴子自身も一度着ただけになっていたのであった。

「せっかくお前が用意した物だし、一度くらいは、な」
直樹は縁側に顔を向けたまま答える。

「うぅ~。嬉しいよ~入江君!」


琴子は直樹の腕にしがみついた…が、直樹に振り払われた。

「ったく、風呂上がりで熱籠って暑いんだよ!」

「ひ、ひどい~、そんな言い方しなくたって」

「…ほら、それよりもこれ、やるんだろ?」

直樹は自分の隣を指差す。
そこには従妹からもらった花火の袋が置かれていた。


「あ、そうだった~。浴衣に花火!うん、まさに夏の風物詩よね♪」

あっという間に立ち直った琴子は嬉々として袋を取り上げ、鼻歌交じりに中身を開ける。そして、

「入江く~ん!ほら、蝋燭もバケツも準備出来たよ~♪」
と直樹を花火に誘った。


***

夜の闇の中、小さな光が瞬いている――



「花火ってね、綺麗だけど儚いよね…。人の一生みたい…」

セットになった花火も最後の線香花火を残すのみとなり、二人縁側に腰掛けながら黙ってその小さな炎を見つめている時、琴子が呟いた。

「…へえ。お前でもしんみりした事言うんだな」

「し、失礼ね!私だって、感傷的になる事だってあるのよっ。…でも、本当にそう思うんだ。命って、打ち上げ花火みたいにパァっと華やかに咲く命もあれば、この線香花火のように、儚く咲いて散っていく命もあるんだよね…。でもこの世に生まれてきた事、そして消えていくという事は必ず全てに平等で…。だからね、生まれたからには、一生懸命生きなきゃね。生を与えてくれた、ご先祖様の為にも…」

「…ああ、そうだな…」

先程の祖父の話を思い出していたらしい事に直樹は気付く。一時はどうなる事かと思ったが、やはりここに連れてきて良かったと思い、顔が綻ぶ。



「…琴子、空見てみろよ」

「空?打ち上げ花火は未だだよね…?」

言いながら空を見上げた琴子はその絶景に一瞬言葉を失う。
空にあるのは、今にも落ちてきそうなほどの満点の星空。

「凄い…。こんなに夜空に星があるなんて…」

「空気が澄んでいるから遠くまで良く見えるんだよ。さっきの話、…例えば花火が命だとして、それが燃え尽きた後、それは星になるのかもな…」

確かにそう思わせるほどの無数の星たち。皆に良く知られた星、名もなき星、様々であるが、そこに存在しているという一点において等しいという事は、生きとし生ける全ての存在と同意に感じられる。

「そうだね…。そして、こうして私たちの事を見守ってくれているのかもね」

二人は暫く無言で夜空を見上げる。

「ねえ、入江君。あの他の星より青白っぽく光ってる星は何て名前?」

「琴座のベガ」

「じゃあ、その左下にある、ベガより少し暗いのは?」

「はくちょう座のデネブ。ついでに右下にあるのがわし座のアルタイル。これで夏の大三角」

「すごい!!やっぱり入江君は天才だね!」

「中学で習うレベルだ!!ったく、授業中何を聞いてたのか教えてもらいたいもんだ」

「エヘヘ…」

琴子が誤魔化した時、ドン!と音が轟き、打ち上げ花火が上った。満天だが寡黙であった夜空が、途端に彩られる。

「わ~綺麗!!やっぱり打ち上げ花火は見ていてワクワクするね!!星たちも、すっかり霞んで見えちゃうねー」


この辺り一番と言うだけあり、花火が絶え間なく上り、夜空に華を添える。琴子は立ち上がって空を仰いだ。ドンと音がするたびに身体を少しビクッとさせ、パラパラと花開くと目を輝かせる。

***


「…さすがにずっと上に向いていたら首が痛くなるね~」
いつまでも飽く事なく夜空を眺めていたが、さすがに疲れてそう言って首をグルっとさせようとした時、琴子は背後から直樹に抱きしめられた。

「入江君・・・///」

「・・・疲れたんだろ?だからちょっと、癒してやろうかなって」

「癒されるというより・・・ドキドキする・・・」

「…そう?俺はてっきりこうしてもらいたいものだと」

「え、そ、それは・・・その…そうなんだけど・・・///」

「それは良かった」



花火は絶え間なく打ちあがる。
二人は静かに重なり合うように、暫く夜空を見上げた。


「…ねえ、入江君。ここから見える花火はこんなに絶景なのに、どうして皆出かけたの?」
ふと疑問に思った琴子は直樹に尋ねる。

「そりゃ、花火以外に屋台とかも出るし、皆あの祭っていう雰囲気が好きだからな。」

「あ~、そう言われてみればそうよね。私も屋台でカキ氷とかりんご飴とか食べながら、入江君と手、繋ぎたかったな。でも・・・こういうのも、いいね」

「そうだな。俺は人ごみとか好きじゃないし、寧ろこっちの方が助かる。…それに、この離れは他の従兄弟達は使えないしな」

「え、何で?」

「ここは、じいちゃんが大切にしている部屋でね。基本的には親族でもこの部屋には入れない」

「そ、そうだったんだ。ねえ、入江君は今まで入ったことあったの?」

「ああ。俺は初孫だしじいちゃんに可愛がられていたから、田舎に帰ってきたときは必ずここに連れて来てもらっていたな・・・。でも今回ここに入るのは、今日が初めて」

「そうなんだ・・・」

「…分かる?琴子、お前もじいちゃんに認められたって事だぜ?」

「あ・・・」

琴子は思わず身をよじって直樹を振り返る。
直樹は優しく微笑って頷いて見せた。

「嬉しい・・・おじいちゃん、私を入江君のお嫁さんとして認めてくれたんだね」

「そうだな…。良かったな、奥さん。まぁお前なら、必ず認めさせるとは思っていたけどね」

二人は目を合わせクスッと微笑む。

「なんだか私、今凄く幸せだよ。入江君…」

少し俯き加減に何とも言えない表情を見せる琴子に、直樹は堪らず彼女の頬に手を添え、視線の合うように向かせた。

二人の視線が絡み合う―。やがて二人は自然と瞳を閉じ、互いの唇を合わせた。





え、ええっと…。終わりませんでした(+_+)
【あの夏の花火】という名前を付けているのだから、花火に触れなければ…と書いていたらまたまたダラダラと…

やっとLOVEの入り口に入りました。頑張るぞー

12巻スキマ  コメント(5)  △ page top


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::拍手コメントありがとうございます!
まあち様

こんばんは♪
じいちゃんに認めてもらった時、琴子は勿論入江君も嬉しそうな顔していましたよね~。琴子の事抱きしめていましたしww
これからの時間はどっちの方がお楽しみにしているんでしょうね?って、どちらも同じくらい楽しみにしてるんでしょうが、2人のベクトルがちょっと違うんですよね…^_^;
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::拍手コメントありがとうございます!
るんるん様

こんばんは♪
そういえば、満点の星空の下、良いムードの2人を従弟ががっつり邪魔していましたよねw
あの時、涼しい顔していたけれど、直樹の本心ってどうだったんでしょうね?お話に取り込めば良かったな(>_<)もうUP終わってしまいました…
とりあえず、このIFの話ではリベンジ出来た、か、な…?(笑)
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::拍手&コメントありがとうございます!
maro様  
こんにちは♪
田舎で、勝手も分からない所で琴子、本当に良く頑張りましたもんね。
おじいちゃんも、アケビの件がなくても認めざるを得なかったのではないでしょうか(^-^)
そして…こんな時だけは好反応な直樹。なんとムッツリな奴!自分で書いててなんですが、こんなキャラにしてしまってごめんって感じです!!(*_*)
星座にも反応下さって…♪はい、琴座です♪あえて漢字表記にしました!もっと掘り下げようかとも思いましたが、ちょっと大変そうなので却下しました(苦笑)

なおき&まーママ様
やっぱり思いますよね?前回をUPする時に、「なんで皆家出見ないんだ…?」と自分ツッコミが激しく入ってました(^_^;)なので、今回そのあたりを(無理矢理)補完しました。
琴子のLOVE想定はプラトニックな気がしますよね~。でも、直樹は…(笑)てか、むしろ私が(爆)
と言う事で、次回は直樹(私)の想定するLOVE展開でいきます(*^_^*)
…勿論パス設定で(笑)

繭様
子供の頃にした花火って、不思議と記憶に残ってますよね!
大人になってからも、煙の匂いとかで記憶が蘇って懐かしいなぁって感じます。
直樹と琴子にもそんな思い出をプレゼントできたかなぁ?そうだといいな(^-^)
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::
こんばんは^^)

1,2話一気に読ませていただきました。
おじいちゃんに認められて、特別な部屋の出入りを許された琴子。うれしそうでよかったです。なんたってあのおじいちゃんですから。
それにしてもおじいちゃんがそう提案したときの直樹の即答・・思わずにやり。
・・・下ゴゴロあってのことなんですよね!?そうなんだろ、直樹!?(むしろ願望)もしそうでなくとも直樹は、もうそんなふうにしか見えないキャラになってます!!w(脳内で)
琴座のベガ・・・少し感激ですね←なにがだっ
少し暴走した文で失礼しました。
続き楽しみにまっています^^)
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