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It understands from・・・

「は~、たったの2週間の事だったのに、すごい事になってるなぁ・・・」

今日は土曜日。
私は今、寝室で教育実習の為に集めた本や資料の整理をしている。

一応文学部に在籍している私は、実習生として中学1年の現代文及び古典を担当する事になり、現役(今も現役なんだけど)の時ですら殆ど開いた事のない教科書や辞書、副教本の他に、自分で集めた本や資料のコピーを必死で読みこんだ。
最後の公開授業はA組だったからすっごく不安だったけど、自分でも驚いちゃうくらい上手く出来たと思うの。
だって、裕樹の質問をピタリと予想出来たんだもの!!
他の生徒たちの質問は、さっぱり分からなかったけど…あんな質問の答え、どこかに書いているのかしら?
裕樹は間髪入れずに答えていたのよね…。
生意気だけど、流石は入江君の弟って感じよね。

それにしてもすごい量。目を通していない物も結構あるわね…(寧ろ殆どがそう)
あ…こんなのも用意していたのねぇ。どれどれ…わ、うそ。こんな本に裕樹の答えていた事が書かれている!!

ガチャ

「こんなに散らかして…。何やってるんだよ」
入江君が部屋に入ってくるなりうんざりしたような声を出す。まぁ、呆れられても仕方のない散らかりようだけど。

「あのね、実習で使った資料の整理をしていたの。ほら、こんなに色々集めたんだよ!」

「…殆ど役立たずに終わったみたいだけど」

「そ、そんなことないもん!」

「で、今お前が見てるのは?それも資料なのか?」

「う、うん。一応…。い、今ね、読み返していたの!惜しかったなー、これが頭に入っていれば、私もっとかっこいい先生になれていたと思うの」

「それを読んで…、か?」

私の持っている本…それは『まんが百人一首辞典』。

「あ~。入江君、マンガだからって今、馬鹿にしたでしょ?でもね、ほら…見てみて!!結構すごいのよ、この本。
歌の意味がマンガで分かりやすく書いているのは勿論なんだけど、この端っことかに豆知識みたいなのがいっぱいかいてあってね、そこに1年A組の生徒に質問されたような重箱の隅をつつくような事が書かれているのよ!」

私は入江君の目の前に本を広げて見せる。

「へ~…。確かに馬鹿に出来ない内容だな。でもお前、本当にこれ読んだの?」

入江君がパラパラとページを捲りながらイジワル気に聞いてくる。やっぱりお見通しだったみたい。

「そ、それは…ちょっと買ったことも忘れていて…」

「ま、そんな事だろうと思ったよ」

「えへへ・・・」

私はあっさり負けを認めて入江君の横にぺたんと座り、一緒に本を眺める。


「ねえ、ここに載ってる人達って、色々人間関係が繋がっていたんだねぇ。なんだか面白いね、ライバルだったり、恋人だったり…。今の時代とあんまり変わらないんだね」

「そりゃ、時代が違えど同じ人間だし。それに1人の選者が時系列順に全部選んだからな」

「そうなんだ…。どの人?」

「権中納言定家。この97番の歌の作者で、新古今和歌集の選者でもある。この歌は心象表現が上手い歌だな」

「しんしょう表現?」

「人の気持ちを風景などに託して描くことだよ。ほら、この歌も火の中で燃えて身を焦がす海藻の姿と恋人を待ちこがれる少女の姿を重ねて上手く表現している」

「ふ~ん…なかなか振り向いてくれない恋人を思う歌なのね…。まるで少し前の私の事だ」

「ぷっ。まぁそうなるかな」

「もう!そこはもうちょっと『そんな事ないよ、前からお前の事が好きだったんだ~』とか言ってくれたらいいのに…」
最後の方はどんどん小さな声になる。だって、そんな大それた事、いくら私でも言えないわ。入江君が私を好きになってくれたなんて、今でもちょっと信じられなくなるんだもの…。

「なに」

「////なんでもない…」

「……。あ、そう」

入江君はあっさりと私の言葉を流してパラパラとページをめくり続ける。

「お前の気持ちがこの歌なら、俺の気持ちはそうだな…。これかな」

「え、入江君と同じような気持ちを詠んだ歌なんてあるの?どれどれ!?」

「権中納言敦忠の歌。意味は自分で調べろよ」

「ごんちゅうなごん…何だっけ?」

「2度は言わねえよ」
そう言って入江君は本を閉じてベッドの上に投げてしまった。

「入江君のケチ!教えてくれたっていいじゃない!!」

「いいよ」
ニヤリと笑って入江君が私の方へ体をジリジリと近づけて来る。

「な、なに…?」
私はその雰囲気に何かを感じ取って思わず立ち上がり、後ろに下がる。

「言葉よりも態度で示した方が早いだろ?この場合」

「意味分かんないよ。どんな歌かも分からないし」

「ふ~ん。でも、今の雰囲気には何か感づいてるみたいだけど」

「そ、それは////」

「分かってるんだろ?」

そう言って入江君が本棚まで追いつめられた私をさらに両腕で閉じ込めて出口を無くす。
入江君のおでこが私のおでこにくっ付く。焦点の合わない位入江君の目が近くなっている。
入江君の瞳の中に、困った顔した私がいる。困っている…でも、何かを期待しているような変な顔。

「////」
私は不意に目を瞑る。私の瞼に入江君の唇が降ってきたから。

私はそうっと目を開く。今度はちゃんと入江君の表情が分かる距離に顔があった。

私の事を優しく見下ろすその瞳に、私は何度だって恋に落ちる。

――本当に綺麗な人だなぁ・・・・

見惚れて頭はぼぅっとしてくる。
見つめられただけですっかり虜にされる、入江君の瞳。

ずっとずっと、入江君が好きだったけど、この瞳を向けられるようになって、私の心はもっと入江君に囚われていったの。
…片思いの頃の気持ちが、ほんの些細な想いであったみたいに。入江君を想う気持ちには底がなくて、私はどんどん落ちていく―――

入江君の大きな掌が私の頬を優しく撫でる。
私の手はいつの間にか入江君のTシャツを掴んでいた。
暫く見つめ合っていた私たちはどちらからともなく瞳を閉じ、唇を重ねる。

初めは互いの柔らかさを愉しむ様に。そしてそれは少しずつ溢れだす気持ちと比例して激しさを増して・・・

「…いい?」
入江君が聞いてくる。…分かってるくせに、もう私が抵抗出来なくなっている事なんて……

「部屋、散らかってるけど…」
少しだけ抵抗してみる。

「ふっ どうせこれからもっと散らかるし、いいんじゃない?」
入江君がまたイジワルく笑ってベッドに腰掛けると、さっきベッドに投げた本を床に落とす。
私は手を引っ張られて、入江君の膝に乗せられた。

ほぼ同じ目線になった私を入江君はまた覗きこんできて、私の頭をそっと支えてもう一度キスをする。
こうなったら私ももう一切の抵抗をやめて入江君に全てを委ねる。

キスの中、私は薄眼を開けて入江君を見つめる。
長い睫……やっぱり綺麗だなぁ…

…ふとさっきの本が視界に入った。ページが開いていて、でも何が書いているかは良く分からない。

そう言えば、入江君の言っていた歌は何だったんだろう…


あとで聞いたら教えてくれるかな…?
期待しながら、私は再びしっかりと、瞳を閉じた―――


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【参考】

*権中納言定家の和歌*

【来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや 藻塩(もしほ)の 身もこがれつつ】

訳:松帆の浦の夕なぎの時に焼いている藻塩のように、私の身は来てはくれない人を想って、恋い焦がれているのです


*権中納言敦忠の和歌*

【逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり】

訳:恋しい人とついに逢瀬を遂げてみた後の恋しい気持ちに比べたら、昔の想いなど、無いに等しいほどのものであった





まんが百人一首辞典、子供の頃大好きで隅々まで読んだ記憶があります。
内容は…忘れました^_^;

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secret

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comment

コメントありがとうございます!

わさこ様

早速遊びに来て下さってありがとうございますm(__)m
わぁ、経験があるのですね!でも、流石にマンガは資料にしないですよね^_^;
なんだかヘンテコな話に萌えを感じて下さってありがとうございます!わたしもまた遊びに行かせて頂きますね♪

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拍手コメントありがとうございます!

chan-BB様
こんばんは~♪頭痛治りました(^^)フッカーツ☆
私どんだけ丈夫なんだろう…(笑)
いえいえ、全然知識ありません!短大出身の阿呆ですよ^_^;
百人一首は小学校の時マイブームでして…(笑)本当に読み込みました(当時は。今は私も忘却の彼方です…)。まんが百人一首辞典、高校入試位までは役立ちました。この本に載っているエピソードが模試に出て、国語の偏差値が78なんてとんでもない数値をたたき出した事がありました。懐かしい…
英語はテキトーです。多分鼻で嗤っておられる方が沢山いると思います^_^;
そうか~、simple is bestなんですかね(^^)ありがとうございます♪
そして、私信…え~、消しちゃうんですか!?残しておいてほしいです(>_<)私は好きですよ!絶対読者の皆様そうだと思いますっ!!
どうしても消されるのなら、私もプリントアウトしておこうかな^m^

コメントありがとうございます!

最近連続で変なお話ばかり上げてしまってすいません(>_<)
いや、いつもが良いって訳ではないんですが、それにしてもここ何日かは・・・

この話も変なテンションで書いてました。ハードワーク(ここを読んで下さってる方なら、これで分かりますよね?^m^)ですっかり目が冴えてしまい、寝られないし何か書こう…と思ったらこんな事に!!

言い訳がましいですね^_^;

それでは、コメント下さった方へのお礼です♪



なおき&まーママ様
こんばんは♪
あはは、着火点!!ぷっ!!
むしろ、部屋入ってくる前からですよ、ここの直樹はそんな奴です(笑)本当に、直樹のイメージをとんでもない方向に持って行ってしまってる気がします(T_T)なんか、いっつも発情してますよね…(汗)直樹、好きなのにごめんね!!こんな事にしてしまって…orzなおき&まーママ様にもごめんなさい!!こんなお話ばっかり書いてしまって…でも、修正方法が分からないんです(+_+)


藤夏様
こんばんは♪
と、とんでもないです。お勉強なんて…!
なんでも~にも書きましたが、フランス語は翻訳サイトそのままですから!!百人一首もなんだか無理矢理こじつけで!!昨晩、本当に変なてんしょんだったんです(>_<)結局睡眠も4時間位で、今頭イタイ…。
ラストのお約束も、なんだか申し訳なくて!いつもこっち方向に進めてしまってorz…
青臭いのと発情してるののループでなんとか修正したいです~(T_T)

繭様
こんばんは♪
百人一首、暗記されたんですね!
私も小学生の頃に暗記したんです。もう忘れてしまいましたか^_^;
そして、こんな適当な記憶で話を書いてしまって、不安になって、仕事帰りに本屋でまんが百人一首辞典を買い直してきました!!うわぁ~、本当ですね、定家の歌、めっちゃ恨み節だ…。こじつけ感ありまくり。琴子はこんな子じゃないわ…(>_<)
今回のお話、メインは敦忠の歌だったので見逃して下さい!!仰る通り、後朝の歌です。この歌、直樹の気持ちのスタイルを取りながら、琴子の気持ちを追ったつもり、なんです…。ずっと好きだったけど、直樹に愛されるようになって、更に好きになった、みたいな感じで。勿論、直樹の気持ちでもあります。てか、自分の書いた話に注釈つけるな!!ですね。ほんと、すいません(T_T)
あ、それと直樹が教えてあげなかったのは、全部の意味が込められていると思います(笑)

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