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::あらためて君を知る
ちょっと思いついて書いた突発ショートネタです。
少しでもほっこりしてもらえればいいなぁ。

・・・・・・・・・・・・・・・










「ママ、ママ!これ書いて!」
ある何の変哲も無い日の夕方。
そう言いながら、満面の笑みを浮かべて琴美が差し出したのは一枚のにぎやかな紙切れだった。

「え?これをママが?」

反射的に差し出されたものを受け取った琴子は少し驚いた顔で琴美に尋ねる。
琴美が渡してきたもの――、それが何であるかは知っていた。というのも、そもそも先日琴美にこれを買い与えたのは琴子なのだから。
琴美が琴子に書いて欲しいとせがんできたのは、いわゆるプロフ帳だった。
用途は勿論、琴美が友達同士で交換する為である。
もうすぐ幼稚園も卒園するので、思い出になればいいと思ったのだ。

琴美は「うん!」と無邪気に大きく頷いた。

「あのね、みーちゃんママにも書いてもらいたいの。
 だってママ、これくれた時に言ったでしょ?
 『だいすきな人みんなに書いてもらおうね』って。
 あ、だからパパが帰ってきたらパパにもおねがいするんだ~♪
 そのあとはおじいちゃんたちとおばあちゃん、それからゆうきおにいちゃんにも!」

つまりまずは家族全員に書いてもらいたいと言うのである。
正直家族が今さらこのようなものをと思わないでもないが、そこは可愛い我が子、孫、姪のたっての願い。誰が嫌な顔などするだろうか。無論琴子も相好を崩し頷いた。

「分かった!じゃああとで書くね。ママ、これから晩御飯作らないといけないから」

「うん!あのね、しつもんたくさんあってたいへんだと思うけど、がんばって書いてね」

「ふふっ そうなんだ。じゃあママ、頑張っちゃう♪」

そして渡された紙をひとまず空いた棚の上に置くと、エプロンをつけて台所に入ったのだった。






その後数時間経ち、夜が更けた頃。
琴子は寝室のデスクに座ると明かりをつけ、例の紙と向き合った。

あれから夕食後、本当はすぐに書いてやりたかったが、主婦というのは夕方以降何かとやらねばならない事が多いもの。
特に不器用な琴子はさらに人一倍時間が掛かるので、結局余裕が出来たのはこんな時間だった。
当然琴美はとうに夢の中だ。

「明日の朝にはちゃんと渡してあげなきゃ」

さらにカラフルに可愛らしく仕上げて喜ばせたいというのはまさに親心。
琴子はまずピンクのペンのキャップを外すと、どれどれと項目を確認していく。


「まずは名前、住所ね。えーっと、これってひらがなで書いたほうがいいのかな?」

いきなり迷ってしまうが、漢字で書くことにした。
書くのはまだ少し難しいが、見慣れている漢字についてはいつのまにか読めている事が多い琴美である。
そのあたり、さすが直樹の血だと琴子は自身の幼少の頃と比べて思わず唸ってしまう。

次に携帯番号とアドレスが項目にあるのはこの時代ならではといえるだろう。
さらにブログと書かれているのには驚いた。
恐らく琴美よりもう少し年上の子供向けのプロフ帳を選んでしまったようだが(うっかり者の琴子は、単純にデザインだけでそれを選んだのだ)、それでも対象年齢は小学生のはず。

「今の子ってすごいなぁ・・・」

つい年寄り臭い感想を呟いてしまう琴子は、仕方なく『ナシ』と書いて、その横に洋ナシのイラストを描いてみたりする。


そこから先はいわゆるお決まりの質問が並んでいた。
ニックネームや誕生日、星座、血液型。この辺りはサラサラと書き込む事が出来る。
好きな色とか食べ物とかは、大人になればなるほど一つ上げるのが難しい気がした。
趣味も意外と難しい。

「ここは迷わず入江くんと琴美だよね♪」

ようやく迷わず書けたのは「たからもの」の項目だった。
直樹と琴美の顔を思い浮かべ、自然と優しい顔になる琴子。
その後も質問の答え続け全てが埋まった頃、寝室の扉が開く。


「ただいま。琴子、まだ起きてたのか」

「あ、入江くん。おかえりなさい!」

直樹の帰宅に琴子の顔がパァッと輝く。

「お疲れ様。あのね、今、これ書いてたの」

「・・・あぁ、前に琴美に買ってやったって言ってたやつね。でも何でそれをお前が書いてるんだ?」

「あたしが『大好きな人に書いてもらうんだよ』って言ったから。
 みーちゃん、まずは家族皆に書いてほしいんだって」

「へぇ。そうなんだ」

着替えをする横で子犬のようにまとわりついて話す琴子に、直樹は少し目を細め優しい相槌をうつ。
琴美が生まれてから、こういう表情を直樹はよく見せるようになった。


「で、書けたのか?」

やがて着替えを終え、クローゼットの扉を閉めながら直樹が尋ねてきた。

「うん。なんとか」琴子は頷くと書き上げたばかりのプロフを今一度見直し苦笑いする。

「でも意外と苦労しちゃった。質問は好きな本とか食べ物とかすごくシンプルなのに、あらためて聞かれるとすぐに答えられないものが多くて。だって沢山あるんだもん」

「そういうものかもな。けどまぁ、幸せな悩みだよな」

「ふふっ きっと入江くんも明日の朝渡されるよ」

そう言いながら、直樹はどんな回答をするのだろう?とふと思う。
というのは、好きなもの以外にもこのプロフは面白い質問が色々あったから。

とその時、目の前に大きな手が影が出来た。

「・・・へ?」思わず間抜けな声を出す琴子。
続いて手にしていた紙が奪われる。

「参考がてら、先にどんな質問があるのか見せてくれよ」

「あ!ダ ダメッ!」

慌てて手を伸ばしたがもう遅かった。直樹は琴子の手が届かないよう紙を高い位置で翳しながら内容を確認していく。

「何を今さら照れてんだよ」

「だ だって!こういうのを身近な相手に読まれるってなんかすごく恥ずかしいんだよ?!」

「ふぅん?そう言われると尚更知りたくなるね」

琴子の慌てぶりに直樹はニヤリと口角を上げた。
こんな表情を見せた時、いくら抵抗しても無駄な事をもう十分に知っている琴子は顔を真赤にしながらも観念せざるを得ない。

直樹はまず表ページの内容に目を通しはじめた。

「ぷっ お前、好きな本とテレビの欄、『色々』ってなんだよ?すげー適当じゃん」

「う゛っ し、しょうがないでしょ。一つに絞れなかったんだよ」

「趣味はお菓子作り・・・ねぇ。じゃあ最近一番の出来だったレシピは何だったか教えてくれよ?」

「もう、いいでしょっ!特技と趣味は別物なんだから!」

「なるほどね。確かにそうだ」

いちいち必死に説明してくる琴子についからかうのを止められない。

そうして前半が終わり、紙をひっくり返した。裏もいくつかのカテゴリーで質問が構成されている。

生まれ変わるなら?透明人間になれたら?
思いつく可愛い人。やさしい人。かしこい人。
そこにはいかにも琴子らしい答えが色とりどりのペンで書かれている。


「・・・お前って、相変わらずだな」

それに目を通した直樹は思わず苦笑した。

「だね。あたしも見直してちょっと笑っちゃった」

すると琴子もクスッと微笑う。

「みーちゃんにも呆れられちゃうかな?」

「どうだろうな?でも琴美の事だから、大方予想はついてるんじゃねーの?」

「ふふ、そうかもしれないね」


― 生まれ変わるとしたら? 
  「また入江くんのお嫁さん!」

― 透明人間になれたら?
  「入江くんの側にずっと一緒にいる」

― デートするならどこへ行きたい? 
  「井の頭公園でお花見♪ボートにも乗りたいな」

― かわいい人 
  「琴美」

― やさしい人 
  「入江くん」

― かしこい人  
  「入江くん」

― 大好きな人  
  「入江くんと琴美」

自他共に認めるシンプルな頭の中は、直樹には勿論、小さな琴美にもきっとすっかり見透かされている気がする。

「あ、ねぇそれじゃあ」琴子はポンと手を叩くと身を乗り出すように直樹の手をとった。

「入江くんはどんな答えを書くか決まった?」

「そうだな。大体決まったかな」

「本当?じゃあ教えて――」

「いいじゃん。そんなの今さらだろ?」

「えっ ずるーい!入江くんはあたしの見たのに」

「おれが知りたかったのはあくまでどんな質問があるかで、お前の回答じゃないからね」

むくれる琴子に直樹は悪びれもせず綺麗な微笑みを浮かべ、「風呂入ってくる」と部屋を後にする。

そして戻って来た時、まだ諦めていなかった琴子を組み敷くともう何も質問できない状態に仕立ててしまう。
翌朝、直樹は琴子に代わって琴美にプロフを渡してやったのだった。



ちなみに後日、直樹は琴美に手渡されたプロフ帳を書き上げた後、「これはパパと琴美二人の秘密な」と言って返したという。
そして大きく頷いて約束した琴美は、直樹のプロフと琴子のプロフを見比べてキャッキャと喜んだのだった。


「ふふっ やっぱりパパとママは最高の仲良しさんだね♪」






すごく淡々とした話でした^^;
なんでこんな話を?というと、昨晩、娘に「プロフ、ママも書いて!」と頼まれたんです(笑)
で、そっちを書くより先にイリコトの妄想をしてたというww
いや、意外とこういうの書くのって迷うなーと思いまして。私だけですかね?

原作以降の妄想  コメント(8)  △ page top


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::コメントありがとうございました
> みゆっち様

こんにちは♪今日は昨日に引き続き少し寒いですよね~。
今回もコメントありがとうございます^^

嬉しいです、みゆっちさんにもほっこりして頂けて♪
ふふふ、私と娘のやり取りも垣間見て下さいましたか(^m^)
先日から娘も春休みに入り、日中は親子でのんびりと過ごしています。
娘が友達と遊んでない時は、無駄にベタベタとしながら遊んでいたりしますww
嫌がらずに遊んでくれる間にやっておかなきゃと思いまして(笑)

入江くんのプロフ、やはり見たいですよね!また一票頂けてなんだか嬉しいです♪
みーちゃんと入江くんjの秘密だけど・・・覗いてみたいですよね(≧m≦)

それからみゆっちさん、みーちゃんって呼ばれていらっしゃった(いらっしゃるww)ですね!
じゃあ今度お会いしたら渡し、みゆっちさんの事「みーちゃん」と呼ばせていただこうかしら♪
編集 △ page top
::コメントありがとうございました
> たまち様

こんにちは。今日は早朝よりコメントありがとうございました!

本当ですか?嬉しいです^^朝からほっこりして頂けて♪
たまちさんのお嬢さんもやはり交換されていたんですね^^
そうかぁ、質問に対する答えも年々捻りが出てくるんですね!確かにそういうのって成長を具に感じますよね。
そして大人になると、逆に色々考えさせられてなかなか書けなかったりするのかもしれませんよね^^;

琴子の答えはやはりこんな感じですよね!
ええ、ええ。直樹は間違いなく嬉しいはずですよね(笑)
直樹の答え、やはり気になりますよね(^m^)私もこの父娘の秘密を覗き見してみたいです♪
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::コメントありがとうございました
> ema様

こんにちは。昨晩はコメントありがとうございました!
嬉しいです。カワイイと仰って頂けて^^
そうですよね。やはり琴子、こんな答えになってそうですよね(笑)
一生懸命書く姿もすごく想像が着きますよねぇ(^m^)

ところでemaさん、今、お怪我で大変そうですよね>_<
足はもちろんですが、その後もまた・・・と書かれているのを拝読して心配しております。
早く治る事祈っております。
お嬢さんがお手伝いしてくれているんですね。頼りになりますね~!
emaさんのコメントに、私も一年前を思い出しました^^
昨年お会いしてもう一年経ったんだなぁ、ともまだ一年しか経っていないのかぁとも感じます。
そうですね。大きくなってますよ^^
emaさんのお嬢様も大きくなられてるんでしょうね♪
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::コメントありがとうございました
> kurutarou様

こんにちは。昨日は更新して早いうちにご反応くださりありがとうございました!
「可愛いお話(✿◡‿◡ฺ)」と書いてくださったタイトルの、顔文字がすっごく可愛くてほっこりしました♪
このお花みたいなマークはどうすれば出てくるんでしょう??

お褒め頂いてありがとうございます♪
日常のささいな出来事からあれこれ妄想するのは、実は頻繁にやってるんですが(笑)、瞬発力が足りないのでそのまま放置してすっかり頭から消え去る事が多いんですよ^^;
こうして喜んで頂けるのなら、また何か思いついた時に書いてみたいなと思います☆

琴子がこんな感じとご賛同頂けてよかったですww
入江くんのプロフ、私も見てみたいです^^

確かに琴子、こっそり見ようとしそうですよね!
でも入江くんに見つかって、お仕置きされてそうな気がします・・・(爆)
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::可愛いお話(✿◡‿◡ฺ)
お子様の頼まれ事から、ちょっと思いついて書いたなんて、、、、
ぴくもんさん本当に流石です、、、、、
素晴らしい~~e-266

あまりにも琴子らしくて、、、、
あーー絶対琴子ってこんな感じ----って思っちゃいました。
入江くんのプロフも見たいなーーー

きっと、琴子は琴美ちゃんが寝静まった後なんかに、、、
そーっと覗くんじゃないかと、、、
あ~~~想像しちゃいます。
可愛琴子大好きです!!!
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