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プレゼント大作戦!? ②

私にしては珍しい早い更新~。


・・・・・・・・・・



「じゃあね、入江くん。行ってきます」

斗南祭の翌日、授業が2時間目からでまだ眠っている入江くんをベッドに残し、あたしは朝食や身支度を終えるといつもより少し早い時間に家を出た。
最寄駅に着くとその一角に置かれた求人情報のフリーペーパーを引き抜き無造作に鞄に押し込む。
知ってる人が居ないか少しだけ辺りを見回した。良かった、誰も居ない。
つくづく今日が一人登校する日で良かったって思う。
入江くんが横に居たら、「一体何を考えてるんだ」って怒られちゃうのは目に見えてたから。


そして今。

「ちょっと琴子、まさかこの時期にあんたバイトなんてする気!?」

「ったくお前は・・・、冗談も休み休みにしろよ」

「琴子さん、何かそんなお金が必要な理由があるの?」

あたしはやはり看護科の仲間達に口々に似たような詰問を受けている。うん、そりゃそうよね。
ただでさえ落ち零れのあたしが看護実習を1週間前に控えた今、こんな事をしてる場合じゃないって事はあたしが一番知っている。
でも、そうだとしても譲れない時もある。

怖い顔した皆に少したじろぎながらもあたしは「実は」口を開いた。

「実は・・・、5日後の11月12日、入江くんの誕生日なの」

「あら、そんなの入江直樹ファンクラブ会長のあたしが知らないわけじゃない」

すると間髪入れずに答えるモトちゃん。真里奈も智子もウンウンと頷く。

「そ、そっか。じゃあ話は早いかな。
 入江くんの誕生日なのに実はあたし、プレゼントを買うには予算不足で。だからどうしてもバイトしなくちゃ」

そう、もう直ぐやってくる入江くんの誕生日に備えバイトしなくちゃいけないって事を、あたしはほんの数週間前まではちゃんと覚えていた筈だった。
けど、大学祭で今年からはミスター斗南が選出される事を知り、入江くんが選ばれるのが確実と思ったあたしはすっかりそちらの事で頭がいっぱいになってしまったの。
そうしてかろうじて時間が取れそうな貴重なこの時期を、あたしは入江くんと二人してミスター&ミス斗南になる為奔走してしまったのだった。自分がミセスだって事も忘れて。我ながらほんとバカ。
でも、入江くんはきっと気付いて居た筈なのにね。
教えてくれないなんて、相変わらずほんとイジワルなんだから。


「でも・・・、それなら出来る範囲ですればいいんじゃないかしら?」

するとあたしの言葉にまずそう言って小首を傾げたのは智子だった。

「うん、それはそんなんだけど・・・」

「ていうか琴子、いい歳なんだからもう少し計画的にお小遣いくらい使いなさいよ。恥ずかしいわねぇ」

真里奈は呆れたと言わんばかりの顔をする。

「ち、ちがうもん!」あたしは少しムッとして言い返す。

「お小遣いはちゃんとあるよ。でもそれはあたしが自分で稼いだお金じゃないもの」

「ふぅん。つまり今まで入江さんにプレゼントするものは自分のバイト代で選んできたのね?」

「そうなの。だけど看護科に転科してからはそんな余裕なんて全く無くて。で、とうとう底ついてしまったんだよね・・・」

モトちゃんの言葉にあたしはシュンと頭を垂れる。
たしか最後に働いたのは、あたしが将来看護師になりたいって決める為に入江家を離れ修行したあの定食屋さん。
普段よくしょうもない物ばかり買ってと言われるあたしだけど、ここにはなるべく手を付けないようにしてきてたの。
とはいえ、少しずつでも使えば失くなるのは自然の道理。

「成程ねぇ~。確かにあんたは看護科に来てからはバイトしてる余裕なんて微塵もなかったものね。
 ま、あたしだってレギュラーで入らないといけないようなバイトは出来ないもの」

モトちゃんがそう言って腕を組む。

「そうよね。あたしは入学して早々に先輩からシフト自己申告制のバイト紹介してもらったのよね」と言うのは真里奈。

「俺は土日短期とかで効率よくやってるかな」

「私も」啓太の声に智子が続く。

「そうなんだぁ・・・」

あたしは思わず呟かずにはいられなかった。やっぱりみんな苦労&工夫してたんだぁ。
そして一縷の希望に掛けるように智子に手を合わせる。

「ねぇ智子、良かったらそのバイト先、紹介してくれないかな?実はあたしもド短期で即日払いってのを探してるんだけど、でも今こうして情報誌見ててもなかなか見つからなくって」

でもそこで智子が答える前に「無理ね」とピシャリと言ったのはモトちゃんだった。

「ど、どうして?」あたしはつい強い語気で訊ねてしまう。

「あのね、琴子。そういうバイトだって始めは登録に行かなくちゃいけないのよ?紹介は普通それから少し経ってから。つまり入江さんの誕生日には間に合わないわ」

「そうだな。幹の言う通りだ」モトちゃんに同調する啓太。

「琴子さん、ごめんなさい。力になれなくて」

智子も申し訳無さそうに眉を下げる。つまりこれはイジワルとかじゃなく事実ってこと。

「そ、そんなぁ~~!」あたしの情けない声が教室に響く。

「ま、諦める事ね」

「琴子さん、入江さんはきっとその気持ちだけで十分って思ってくれるはずよ」

「「「「そうそう」」」」

いつの間にか話を聞きつけていたクラスメイト達にあたしは声を揃えて慰められていた。

「そ、そうかなぁ・・・?」

あたしは曖昧に答えるしかない。

だけど・・・だけど。

うぅ、やっぱり諦めるしかないのかなぁ――?





******




それから午前中の授業が終わりランチタイム。

「ぎゃはははは、信じらんないわあんたのそのセンス!!」

食堂であたしの向かいに座ったモトちゃんは、テーブルをバンバン叩きまさにお腹の皮が捩れるって感じで笑った。

「もーっ、やっぱり笑うんじゃない!だから話したくなかったのよぉ~~」

一方、あたしはそう言って思い切り口を尖らせてしまう。

「だってぇ、まさか初めて入江さんにプレゼントしたものが低周波治療器なんて、いくらなんでも想定外よ~~。しかも渡した時、高校生だったなんて・・・、あんたってほんとどんなセンス・・・・ぷぷっ」

「まったくよねぇ~~クククッ」

「あ~~、それ貰った瞬間の入江の反応、見てみたかったなぁ~~ぶぶぶっ」

「う、うるさいわね~~!ほっといてよぉ!」

ええ、そうよ。『ジジくせ』の一言だったわよーー!
啓太にまで笑われてあたしはすっかりむくれてしまう。

「で、でもちゃんと『ありがとう』って言ってくれた物も幾つかあったもん!」

「“幾つか”って・・・」

「一体何をあげてきたのよ・・・?」

あたしの言葉に更に肩を震わせるモトちゃん達。

「まぁまぁ皆、もうこれくらいにしてきましょうよ。それよりバイトしなくてもあげられるプレゼント、皆で考えてあげましょうよ」

そこで智子が皆を嗜めてくれた。あぁ智子が天使に見えるよ~~!

「はーいはい。分かったわよ~~。そうなるとやっぱり定番は手作りの何かかしらねぇ」

モトちゃんが目尻にたまった涙を拭きながら答える。

「あたしは琴子がいやらしい下着着てベッドで誘えばそれでオッケーだと思うけどぉ?」

すると続いて真里奈がニンマリ笑った。

「「な、な・・・///!!」」

ギョッとしたあたしと啓太の声がはもる。

「そ、そうだ琴子。これからどんどん寒くなってくる季節だし、何か編んでみたらどうだ?たとえばマフラーとか手袋とかさ」

「あっ、そ、それいいね啓太!」

あたし達はお互いドギマギした口調で引きつった笑顔を見せ合う。

「でも琴子さん、間に合う?というか編み物出来る?」

心配顔で何気に失礼な事を聞いてくる智子。(あれ?さっきは天使に見えたのに)

「だ、大丈夫よ!これでもあたし、マフラーは一度編んだことあるんだからっ」

「へぇ~~。それって入江さんに?」眉を弓なりに上げて訊ねてくるモトちゃん。

「そ、そうよ。勿論」

「でも入江さんが手作りっぽいマフラー巻いてるのって見たことないわよね~」

「そ、それはちょっと・・・色々事情があったのよ」

それを言われるとあたしはもごもごと口篭るしかない。
だって、あの入江くんの為に編んだマフラーの顛末といったら・・・、思い出しただけで情けないやら悲しいやら――。

とその時。

「ぎゃーーーっ!!!」

あたしの斜め前に座ってた真里奈がけたたましい悲鳴を上げる。

「ど、どうしたの?真里奈」

「・・・オ、オタ・・・・」青ざめた顔でガタガタと体を震わせながら答える真里奈。

「琴子・・・、う、後ろ」

すると真里奈に代わってモトちゃんがあたしの向こうにあるものを見ながら指差した。
もう、二人とも一体急にどうしちゃったの?
とりあえずあたしはお箸を置き、背後を振り返る。


「―――ギャッ!!」

そしてあたしはもれなく真里奈と同じように顔を歪め悲鳴を上げたのだった。

「な、なんであんた達がここに・・・」

そこに居たのはそう、もう金輪際関わりを持ちたくなかったあのオタク部の面々。

「なんだよ冷たいなぁ~~。おたくらとウチらって、昨日まで映画のキャストのモデルと製作者っていうかた~い絆で結ばれてたんじゃないのぉ~~?」

「き、絆なんて最初から今まで一度だって存在した事ないわよ!」

「そうよそうよ!!」

グフフと気持ち悪い笑みを漏らすオタク達にあたしと真里奈は猛然と首を振って反論する。

「ふーーん、マナリンはともかくとしてコトリンはそんな事言っていいのかな~~?」

するとオタク部達はさらにいやらしい笑い方をして互いの肘を突き合った。
あーー、気持ち悪っ!!

とはいえ気になる言い方をされたあたしはついついオタク部達に問いかけてしまう。

「あ、あたしが一体どうしたっていうのよ?」

「あっ、気になる?気になっちゃう?コトリン」

「もうコトリンって呼ばないで!それよりもったいぶらないで早く話しなさいよっ」

「も~~、コトリンは気が短いんだよなぁ。まぁ仕方ないか。昨日までの舞台挨拶の協力に免じて話してあげるよ」

オタク部達はそう言うと目配せした。そして青木が脂でギトギトの眼鏡をくいと持ち上げあたしに気持ち悪い笑みを向ける。

「コトリン、今バイト探してるんだよね?」

「・・・な、何で知ってるのよ?」あたしは驚きで目を瞬かせながらもまた訊ねるしかない。

するとオタク部達はその質問には答えず、そして“してやったり”というような表情を浮かべながら、声を揃え言ったのだった。

「「「だったらコトリン、ウチらがとっておきのバイトを紹介してあげてもいいよ?」」」




次回に続く。
私にしては珍しいオタク部登場~~。

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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comment

コメントありがとうございました

> みゆっち様

おはようございます。お返事が遅くなってしまい申し訳ありません!

はは!入江くんの声が背後から聞こえてきましたかwwついでにジャニさんまで!
いやでも、私もそれでいいんだYO!と琴子ちゃんに言ってあげたいですわww

プレゼント選ぶ過程も楽しい。分かります^^みゆっちさんの作品にはそれが伝わってくるお話が色々ありますよね♪
> 琴子は入江君がどんな風に思ってくれるか想像してる時間も幸せなんだ
その通りだと思います^^

が、出てきましたオタク部!(笑)
こうなるとしっとりとした展開にはいかないですよね。
わくわくして頂けて嬉しいです。また続きがんばりまーす^^

コメントありがとうございました

> 紀子ママ様

おはようございます。コメントのお返事がすっかりおそくなってしまい申し訳ありません!

ふふっ笑って頂けて嬉しいです~♪オタク部の登場を喜んで頂けて^^
そうそう、きっとロクなバイト紹介しませんよね(笑)もうどんな展開が待っているかはお約束ですが、それでも部員は楽しいとおっしゃって頂けると創作するパワー頂けます♪

しかし入江くんの反応やいかに・・・。怖い怖い!ww

コメントありがとうございました

> YKママ様

再びコメントありがとうございました♪
かわいい~~と仰って頂けて嬉しいです~^^
ほんとのところは色々策を練ってでも頂いちゃいたいとこだったでしょうね。でもそれでは琴子の為にならないし^^;一応ここでは自制したようです(笑)

それにしても脳内鼻血ノックダウンの入江くん・・・!ブブッ 私も思わず想像してしまいましたww
描いてみたいリストがまた一つ増えてしまいました(^m^)

コメントありがとうございました

> たまち様

おはようございます。お返事がすっかり遅くなってしまい申し訳ありません!

そうなんですよね。ただでさえ要領の悪い琴子ちゃんは、看護科に入ってからはバイトする余裕なんてなかったと思います。それでも入江くんにプレゼントする時はずっと自分で稼いできた琴子ちゃん。無謀といくら周りに言われても突き進んでしまうんですよね~^^;
さて、見つかったら入江くんの雷が落ちるのは目に見えてますが、それに加えて登場してきたのがオタク部・・・(笑)さらなる暗雲が立ち込めていますよね。

マフラーといえば青木。さすがたまちさん、瞬時に思い出されたんですね♪
パンダイの恩人・・・あ~~そういえばそうだったとたまちさんのコメントを読んでやっと思い出した私ですw

存分にいぢめてOKですか?ふふふ、なるべく頑張ってみますね~♪

コメントありがとうございました

> YKママ様

おはようございます。すっかり遅いお返事になってしまって申し訳ありません!

ありがとうございました~~新連載喜んでくださって♪
って、すっかり横道逸れちゃってましたけど(^^;)
でも私をそうさせたのはYKママさんをはじめとする皆様のコメントのせいですからww
そうそう、真里奈の言う通りなんですよね。
そしてアニマルパンツでもOKというYKママさんのご意見に私も一票です!^^

琴子ちゃんは入江くんにプレゼントする時、自分でちゃんと働いてるんですよね。
今回ばかりは働かなくても・・・という状況なのですが、思い込んだらこう、な琴子ちゃんです。
そしてオタク部登場・・・(笑)ふふっ私も入江くんの眉間の皺が見える気がしますww

やっと一区切りついたのでそろそろこっちに戻ってこようと思います(笑)

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