::一番星
クリスマスも終わりいよいよ年の瀬となりましたね。
そんな忙しない時期ですが、本日で当ブログは4周年を迎えました。
このような時期にもふらりとお越しくださった皆様、本当にありがとうございます。

色々ご挨拶もしたいところなのですが、今回はまず先日お知らせした通り、4周年を迎えるにあたって頂いていたプレゼントを皆様にご紹介したいと思います。
実はお二方から頂いております!

まずはお話をみゆっちさんから頂きました。

みゆっちさん、と聞いて「誰だろう?」と思われた方、「え?もしかして?」と思われた方それぞれいらっしゃると思います。
実はみゆっちさんは普段は別ジャンルでご活躍されている創作家さんなのですが、昨年ひょんな事がきっかけで親しくなり、何度か一緒に食事させて頂いたりしました。
その折にみゆっちさんが私がブログ4周年を迎える時にイタキスでお話を書いてくれると仰って下さって♪
(なんと初イタキス創作!)
リクエストもうけて下さるというので、この季節にぴったりなほんわかしたイリコトの日常を書いて下さいとお願いしました。

・・・って、今思えばなんてざっくりしたリクなのか・・・>_<

しかしみゆっちさんはこんな難しいお願いに答えて素敵なお話を書いて早めに送って下さいました!さすが!

そんなわけで数日前のクリスマスの記事にご案内させて頂いたのですが、すると今度はnarackさんからご連絡があり、お祝いイラストを描いて下さるというではありませんか!
ほんとになんて幸せ者の私・・・(≧m≦)

みゆっちさんのお話が頭にあった私は、これまたリクを受けて下さると言う太っ腹なnarackさんにすぐさま返信してそのワンシーンみたいなリクをさせて頂きました。
そしてどんな神業!という早さで描いて送って下さったイラストに驚愕・・・!!
だって、リクに事情はまったく話していなかったのに、みゆっちさんが書いて下さったお話とぴったりリンクするイリコトが描かれていたんですよ~~♪
イメージ通りすぎてもう本当にびっくりだったんです!

興奮した私は完全に暴走馬となってお二人にコンタクトをとり、ご一緒に作品を紹介させて頂いて良いかお願いしてしまいました。
(余談ですが、お二人はお知り合い同士で仲良くされています)
そしてさらに厚かましい話ですが、自分もその中に加わって創作をして良いかと頼んでしまったのです・・・!
というのは、みゆっちさんが書かれたお話が琴子目線のお話だったんですね。
なので私は直樹目線で書いたらバランス良くなるかなぁ、なんて(ほんとに厚かましいな)


今思い返すと本当に厚かましすぎる行為だったと思うのですが、このどうしようもないバースデー主の頼みをお二人は快くお許しして下さいました。
そんな訳で3人の共作としてご紹介させて頂きます!(やっと説明できた!)

・・・と、長々と下手な説明を連ね失礼いたしましたm(__)m
なにぶん合作なのでけっこう長いですが、どうぞお付き合い下さいませ!



・・・・・・・・・・・・・


一番星




~琴子side (byみゆっちさん)~



季節は夏から秋になり、気がつけば冬が来ていた。
白い息に、あたしはいつの間にか季節が駆け抜けていったことを実感する。


「今日は寒いからお鍋にしましょうか?」

お義母さんの提案に、あたしは言った。

「お買い物、あたしが行って来ます」

「あら?琴子ちゃん、私も行くわ」

「いえ、お義母さん、今日はものすごく寒いんですから、あたしが行って来ますよ。お義母さんはお家でいろいろやることがあるから、あたしに任せてください!」

胸をドンっと叩いてあたしは任せてくださいとお義母さんに笑ってみせた。

「そう?お鍋だし、重いわよ、白菜とか・・・」

「大丈夫です!あたし、力持ちなんですよ」

季節が夏から冬になったように、入江くんのおばさんと呼んでいた人は、あたしのお義母さんになっていた。

お義母さんに書いてもらったメモを持って、スーパー、商店街を回ってたくさんの荷物のあたしは、交差点の信号待ちで荷物をおろして行きかう人たちを眺めていた。

クリスマスは終わったけど、イルミネーションはきれいに輝いていた。

夕暮れから夜に変わる瞬間。
あたしの頭上にはきれいな星が輝いていた。

夏のあの日。

パンダイの社長代理として忙しかった入江くんにスタミナつけてもらうために焼肉をしようと思ってお買い物をしていた時、あたしの目の前を入江くんが歩いていた。
背中がなんだか淋しそうで、あたしは大急ぎで追いかけた。
荷物を持ってくれた入江くんに、あたしはものすごくうれしくて、いつまでも隣を歩いていけたらいいな・・・なんて心の中で小さな願いを思っていた。

2人で歩く道がずっと続きますように・・・
あたしは空に輝く星にお願いをした。
誰にも秘密のあたしだけのお願いを。

あれからすぐに、あたしはどれだけの涙を流したんだろう?
自分の体からたくさんの涙が流れたのに、それでも止まることはなかった。
大好きな人は、手の届かないところへ行ってしまう。
一番遠く、あたしが手を伸ばしても届かないところへ。

あたしの小さな願いは神様は聞いてくれないのかな?
好きな人のそばにいたかった。
たとえ、あたしのことを好きでいてくれなくても、隣にいさせてほしかった。


「青だけど」

ぶっきらぼうな声がして振り返ると入江くんがいた。

「入江くん!」

「何やってるんだよ?これ、おまえの荷物だろ?」

足元に置いていたスーパーの袋を不機嫌そうに入江くんが指差した。

「え?ああ、そうなの。たくさんお買い物したら、重くてね。ちょっと休憩してたとこ」

「こんなところに置くなよ。それより、おまえ1人?」

「うん、そう」

「こんなにたくさん買い物あるのに・・・」

「ううん、違うの。お義母さんは一緒にって言ってくれたんだけどね、あたしが1人で行くって言ったの」

あたしの言葉に入江くんは小さくため息をついた。

「寒いし、1人でこんな荷物があるなら、電話でもしろよ」

「お義母さんに?」

「・・・」

「年末だし、お義母さんはいろいろと忙しいんだよ?それに、あたしがお手伝いをすると倍の労力をかけそうで・・・だから、お買い物ぐらいはしたいじゃない?」

あたしがそう言うと入江くんは何も言わずに荷物を持って言った。

「帰るぞ」

あたしを置いてスタスタと歩いて行くのは相変わらず。
同じ家に帰ることも、変わらないこと。

だけど、1つだけ違うことがあるんだ。

「待ってよ~。置いて行かないでよ~」

「早くしろよ。こんな寒い中、ボーっと突っ立って風邪ひいても知らないぞ」

「へ??もしかして、見てたの?」

「ボケっとした女がいるって思ったら琴子だった」

「ひどい!!そんな言い方しなくたっていいじゃない。愛する妻だ!ぐらい言ってよ」

あたしは入江くんの奥さんになれたんだ。

これからもずっとあたしの隣には入江くんがいてくれる。

夏の夜空に見えた一番星に願ったことが叶った。
神様はあたしに微笑んでくれた。

いっぱい喧嘩しても、不安になっても、あたしの隣には入江くんがいてくれる。

「ほら、人にぶつかるだろ?」

あの夏の日と違うこと。
それは、あたしの右手をスッととって手を繋いでくれたこと。

「冷たい手だな。一体どれだけボケっとしてたんだよ?」

「入江くんの手はあったかいね」

交差点であたしは何だかせつない気持ちになっていたから繋いだ手の暖かさがうれしくて、苦しい涙を流したことは流れていった。

「今日はね、みぞれ鍋なんだって。大根おろしはあたしに任せて」

「おまえ、そういうことだけは得意そうだもんな」

「もう!失礼な言い方しないでよ」

冷たそうな言い方だけど、本当は入江くんは優しい。
その優しさはあたしだけのものだって思えることを今実感している。

「あのね・・・手を繋いでくれてありがとう」

「急に何?」

「お買い物して歩いてたら思い出したの。入江くんが社長代理をしてた時、お買い物帰りに今日は焼肉だよって言ったでしょ?あれからいろんなことがあったなって思ったらね・・・急にいろんな気持ちがこみ上げてきちゃってね・・・」

急激な変化にまだ慣れないあたしは戸惑うこともあって、幸せなことがふと不安に思えて来たのだった。

これは夢なのかもしれない・・・そう思う時もある。
だから、こうやって目に見える形の手を繋いでくれるってことがうれしかった。
不安なあたしの心をちゃんと繋ぎとめてくれているようで、どこにも行くなって言ってくれてるみたいで、不安な気持ちが消えていくようだった。

泣いちゃいそうな気持ちを押し隠すように、息を吸うと真っ白な息に冬だと改めて思った。

夏から冬になり、あたしたちは結婚して、初めての年を越す。
あたしは空を見上げた。
冬の空に輝く星はいつにも増してはっきりと星が輝いている。

「だからね、ありがとう。いっぱいありがとうを言っても足りないぐらいだけど。あたしと一緒にいてくれてありがとう」

あたしの言葉を黙って聞いてくれていた入江くんがうっすら口を開く。

「変なヤツ」

「えへへ・・・だよね」

でも急激な変化にまだどこか慣れなれないあたしは、時折こんな風になることがある。
さっきも急に不安が押し寄せてきて、交差点でまるで迷子のような気持ちになったんだ。

そんな気持ちを入江くんが捕まえてくれた。
あたしの居場所は入江くんの隣だよって、手を繋いでくれるのはあたしだよって言ってくれてるみたいで、すごく幸せなんだよ。

あたしの言葉に入江くんは何も言ってくれなかったけど、あたしの手をギュッと握り返してくれた。
指先から伝わる暖かさに、また泣きそうになった。

涙がこぼれないように、また空を見上げた。
冬の空は空気が澄んでいて、星がいつにも増してきれいに輝いていた。

今のあたしは入江くんと手を繋いで同じ家に帰ることが出来る。

空に輝く星に願ったことはこの先も永遠に叶えられていく。
あたしの隣には大好きであたしの一番大切な人。

「寒いっ!風邪ひいたらおまえのせいだからな」

「何でよ?」

「寒い中、わざわざこの俺が迎えに来てやったんだ」

「えっ?えええっ?そうなの?」

「だから、ちゃんとあっためてもらわないとな」

意地悪そうな顔をした入江くんが超至近距離でニヤッと笑った。

「あっためる・・・?」

「意味わかってる?」

「・・・えっと・・・」

「わかってるみたいだし、まぁ、いいか」

入江くんは楽しそうに笑いながら足早にあたしを引っ張るように家へと歩いて行く。

きっと、これからもあたしはこうやって入江くん1つずつ知って行くんだと思う。

もうすぐ、今年が終わる。
新しい年もその先もずっとずっと、あたしたちは一緒にいられる。

いつまでも入江くんと一緒にいられますように・・・

あたしはまた空を見上げて、輝く星にお願いした。









~直樹side(byぴくもん)~




時刻が夕刻だと気付いたのは、デスクライトだけでは手元が暗いと感じたからだった。
もうどれくらい同じ姿勢でいたのだろうか。壁時計に目をやり確認すると軽く4時間は経過していた。貪るように読み耽っていた医学書から一旦閉じ軽く伸びをする。
目や首に疲労を覚えるが、それはどこか心地良い気もした。
自分の進みたい道の為に時間を費やせる幸福を、今俺は痛切している。


集中する為に籠っていた書斎を出てリビングに向ったのは、コーヒーが飲みたくなったからだ。
琴子の淹れるコーヒーが飲みたい。
そしてその先にはもう一つの欲求が潜んでいる―。

だがドアを開けたとき、そこには人の気配がなかった。
足を踏み入れてその先も窺うがダイニングにもキッチンにも琴子は居ない。お袋の姿もなかった。

「夕飯の買出しに行ったか・・・」

テーブルにはカセットコンロが出されていた。すると今日の夕飯の予定は自ずと絞られた。重い食材ばかりなので二人で出掛けることにしたのだろう。
喉を潤したかったので、俺は戸棚から紙フィルターを取り出してコーヒーメーカーにセットすることにした。
機械的に計量スプーンで粉を掬っては入れを何度か繰り返し、タンクに水を注ぐ。スイッチを入れれば辺りには忽ち慣れ親しんだ香りが広がる。

出来上がったコーヒーをマグに注いで一口口に含んだその時だった。

「あら、お兄ちゃん。やっと部屋から出てきたの?」

背後から聞こえた声に俺は怪訝に振り返った。

「お袋。買い物に行ったんじゃなかったのか?」

「いいえ、私はお風呂を洗っていたのよ。お買い物は琴子ちゃんが行ってくれるって言うからお願いしたのよ」

腕まくりしていた袖を下ろしながらお袋が答える。

「今日はものすごく寒いし、お義母さんは色々やることがあるからなんて言ってくれてね~~。あ~なんて優しいお嫁さんなのかしら。ねぇ?お兄ちゃん~~」

「はいはい、そーだな」

「でもやっぱり一人じゃ大変だと思うのよね~。ほら、今晩はお鍋だから野菜もお肉も沢山買い込まなくちゃいけないから。あの細腕に全部抱えられるかしら~?」

「あれで意外と力持ちだよ」

そう言うと

「ちょっとお兄ちゃん、あなたそれでも夫なの!?愛する妻がこの寒空の中・・・――」

と目を吊り上げてけんけんと吼えてくるので思わず眉間に皺が寄る。

「あぁもう分かった。行けばいーんだろ、行けば!」

「言われなくても全力疾走で妻を追いかけなさいな!」

「誰が町内を全力疾走するか!」

こちらにコートを押し付け、背中を押さんばかりに急かすお袋に俺はもはや追い出されるようにして家を出たのだった。

「さむっ!」

キンと冷える空気に身震いをしながら俺はコートを羽織りすでに閉まった玄関を睨んだ。

「誰も行かないなんて言ってねーだろ。ったく」

ポケットに手を突っ込み大股で歩を進めだす。時間が時間なのできっとスーパーや商店は人で賑わっていることだろう。
夜に取って代わる直前の空は赤と青が入り混じった複雑な色をしていた。
その中に一つ、白い星灯りが瞬いているのが見えた。




目的地に到着するまでもなく琴子の姿は見つかった。

信号待ちの交差点。俺の対岸に琴子は佇んでいた。
その視線はどこか空を見つめていて俺には気付いていない様子。
信号が青に変わり一斉に歩行者や自転車が動き始めても歩き出そうとする気配も見えない。
渡りきった信号で、俺はそのまま一旦琴子の横を通り過ぎてみた。それでもまだぼぅっと空を見つめている。
一体何を思い、そうしているのだろうか。

俺は腕を組みその後姿を眺めることにした。
縦に並ぶ俺たちに時折不思議そうな視線を投げかけられるが、琴子はその事にも全く気付かない。


「青だけど」

いよいよ信号が点滅しそうだったので声を掛けた。

「入江くん!」

「何やってるんだよ?これ、おまえの荷物だろ?」

やっとこちらの存在に気付き、驚いたように目を丸める琴子に俺は肩を竦めつつ答えると、地面に置かれた重そうな袋を拾いあげた。

「え?ああ、そうなの。たくさんお買い物したら、重くてね。ちょっと休憩してたとこ」

「こんなところに置くなよ。それより、おまえ1人?」

さも偶然見かけたように装って訊ねると「うん、そう」と頷いた。

「こんなにたくさん買い物あるのに・・・」

ずっしりと重みを感じる袋に思わず呟くと、琴子はすぐさま自分が一人で行くと言ったのだと首を振った。

「お義母さんは一緒に行ってくれると言ってくれたんだけど」とお袋を庇う。

「1人でこんな荷物になったなら、電話でもしろよ」

思わず溜息を一つ零した俺に不思議そうに首を傾げた。

「え?お義母さんに?」

「・・・。」

絶句した俺にさらに「お義母さんはこの時期何かと忙しいし」とか「自分が出来るのはこれくらいだから」などと並べ連ねると恥ずかしそうに笑った。
いつも一生懸命な琴子。
出来る事は少ないかもしれないが、取り組む気持ちはいつも真直ぐ真剣で、その姿勢が俺を少しずつ変化させた。

でもこういう事はもっと巻き込んでくれてもいいのにと思う。
たとえ俺が医者になるための勉強の遅れた分を取り戻すのにやっきになっているとしても・・・。


「帰るぞ」

俺はそう言って琴子を促し歩き始めた。
横断歩道を渡り切る為早足で歩くと琴子が後ろから「待ってよ~。置いて行かないでよ~」とパタパタ走ってきた。

「早くしろよ。こんな寒い中、ボーっと突っ立って風邪ひいても知らないぞ」

「へ??もしかして、見てたの?」

「ボケっとした女がいるって思ったら琴子だった」

「ひどい!!そんな言い方しなくたっていいじゃない。愛する妻だ!ぐらい言ってよ」

プーッと頬を膨らませて抗議してくる姿に首を竦める。
本当にそんな科白言ったら絶対顔を真っ赤にして固まるくせに。ま、どうにしたって言うわないけど。

「そんな事、誰が言うかよ」

俺は鼻であしらうように答えた後、琴子の手を取った。

「ほら、人にぶつかるだろ?」

「あ、うん」

「冷たい手だな。一体どれだけボケっとしてたんだよ?」

「入江くんの手はあったかいね」

他愛のない会話をしながら歩く。
掌の中にすっぽりと納まった悴んだ手が、俺の体温が混じって少しずつ温もりを取り戻す。
するとこちらまでさっきよりずっと温かくなる気がした。日はもう殆ど暮れているというのに、陽だまりの中にいるような気持ちになる。
歩道には色んな人の色んな会話が溢れていてなんだか賑やかである。


不意に琴子が口を開いた。

「入江くん、あのね・・・手を繋いでくれてありがとう」

「急に何?」

「お買い物して歩いてたら思い出したの。入江くんが社長代理をしてた時、お買い物帰りに今日は焼肉だよって言ったでしょ?あれからいろんなことがあったなって思ったらね・・・急にいろんな気持ちがこみ上げてきちゃってね・・・」

とつとつと説明する琴子に、さっき交差点でぼんやりとしていた訳を遅ればせながら知る。


――夏の盛りの頃だった。

どっさり焼肉の用意を買い込んだ袋を手に俺を追いかけてきた琴子の服装は、ノースリーブのワンピースだった。
一方、社長代理を務めていた俺の格好はといえば、かっちりとしたスーツ姿。
しかし、あの頃の俺にはあまり暑いとかいう感覚がなかったように思う。
ただ額にうっすら汗を浮かべながら、スタミナをつけなきゃだの、色々話し掛けてくる琴子にその日はとても暑い一日だったんだと認識したのだった。
あと、西日が顔にさして真赤に映る琴子を何だか見ていられなくて、重そうなビニール袋を引き受けるといち早く背を向け歩いた。
数日後、俺は持ちかけられた縁談を受ける旨を琴子のいる前でしたのである――。


あれから本当に色んな事があった。夏、秋、冬。たった3つの季節を過ぎただけだというのに。
今、俺が琴子の手を取った事。
それは振り返れば俺にとっては必然的な結果だったといえる。
だが、琴子にとってはまだどうにも気もちがついていかない事もあるのかもしれない。

「だからね、ありがとう。いっぱいありがとうを言っても足りないぐらいだけど。あたしと一緒にいてくれてありがとう」

ばかだな。俺はお前とじゃないと一緒に居られないからこうしているだけなのに。

「変なやつ」

俺はそう言葉では口にしながら、しかしどこか頼りなく感じる掌の中にあるものを少し強く握りなおした。
これからだ。
俺達はこれから何度も手を繋ぎ、歩き、そして新しい年を重ねていく。



あたりはもうすっかり暗くなっていた。
落陽後の空気は一段と冷えが増したようで、俺たちは同時にブルッとひとつ身震いする。


「寒いっ!風邪ひいたらおまえのせいだからな」

「何でよ?」

「寒い中、わざわざこの俺が迎えに来てやったんだ」

なんとなく真相を言ってもいいかという気分になってそう答えた。

すると「えっ?えええっ?そうなの?」と極端に驚く琴子。
琴子にとって俺はまだまだ冷たくてイジワルな存在らしい。
そんな琴子を見ていると、少しだけ面白くない気持ちと同時に、俺の中にはまたひとつ別の感情が芽生える。

「そう。だから、ちゃんとあっためてもらわないとな」

俺は琴子の顔にじりりと顔を近づけ、ニヤッと笑った。

「あっためる・・・?」

一瞬キョトンとする琴子。

「意味わかってる?」

「・・・えっと・・・」

「わかってるみたいだし、まぁ、いいか」

ニコッと笑ってからすっと顔を引き、何事もなかったように前を向いた。
寒さで鼻の頭がやや赤くなっていて琴子だったが、今やもう顔全体が真っ赤だった。
そういえば俺は、出会った頃から琴子のこの表情を観るのを気に入っていたように思う。

「ほら、ぼさっとしてないで歩くぞ」

俺は琴子に知れないようにクスリと笑うと、そう言って右手を軽く揺らしたのだった。
やや早足に家路を歩く俺たちの頭上では、新しい星達がひとつ、ふたつと輝きはじめていた。



(イラスト by narackさん)


一番星








お付き合い頂きありがとうございました。
そしてこんな素敵なお話をイラストをプレゼントして下さったみゆっちさんとnarackさん、あらためて御礼申し上げます。

いかがでしたか?この寒い&慌しい時期にほんわかと温かい気持ちになっていただけたのではないでしょうか?
え、それはたしかだけど、ぴくもんの書いたところいらないって?ええもう、それは自分が一番分かっております・・・^^;
でもこうして時間を割いて下さったお二人にどうにか感謝の気持ちをお伝えしたかったのです。

さて、冒頭で申し上げましたが、この4周年を迎えるにあたってきちんとご挨拶を申し上げたいと思うのですが、さすがにこの記事はすごく長くなってしまったため、それについては改めて別記事を上げさせて頂きますね。

その際には宜しければまたどうぞお付き合い下さいませ。
頂き物  コメント(16)  △ page top


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::拍手 コメントありがとうございました
>Sarah様

先程別記事にも返礼書かせて頂きましたが、返礼が遅くなり大変申し訳ありませんでした!
ハァ~という溜息、とても嬉しかったです^^イリコト両サイドのお話とイラスト、連携とれて素晴らしいと評して頂けて感激です♪ ありがとうございました!

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::拍手コメントありがとうございました
> ねーさん様

更新して早々のコメントありがとうございました。御礼が遅くなって大変失礼しました。申し訳ありません!
そうですね。時期的にはちょうどその頃でしょうか。今の季節とちょうど合ったお話が読みたくてお話&イラストリクエストさせて頂きました。
人との繋がりって温かいですよね。体温の温もりは心もあたためてくれるもの。お話とイラストでそれを感じて頂けて嬉しいです^^
鍋、この時期ついつい食べたくなりますよね~。準備が楽なのもあり、つい週1はやってしまうメニューです(笑)


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::コメントありがとうございました
> みゆっち様

こんばんは。あらためてこの度は素敵な作品をプレゼントしてくださってありがとうございました!
そんな、リコメ不要だなんて出来るわけがないじゃないですか!ということで返礼いたします~♪

本当に初めてとは思えないイタキスの世界観でした♪さすがみゆっちさん、私なんかよりずっと二次の先輩だけあります^^
琴子が健気で可愛くて。そして入江くんの抑制のきいた愛情表現がまたもろにツボで♪おかげであっという間に彼sideのお話も想像できましたよ~(^m^)
交差点でしずかに琴子を見つめるの、いいですよね!ふふふ、やはりこのあたりの好みも似てますよねw
繰り返しますが、みゆっちさんのお話あっての作品となりました。そしてnarackさんんおイラストがさらに彩を与えて下さいました。お二方には心からお礼申し上げます!

いつも励ましてくださって褒め殺しで気にのぼらせて下さって感謝です♪
はい、これからも私なりの活動させて頂きますね^^v
編集 △ page top
::コメントありがとうございました
> 千夜夢様

こんばんは。あらためてこの度は4周年の御祝いありがとうございました!
私信と繰り返しになる返礼となりそうですがご容赦くださいませ^^;

お忙しい中、当日何度も記事のUPを確認して下さりありがとうございました。そうなんですよ、この日は夕方のUPだったんです^^;
みゆっちさんからもnarackさんからも何日か前に作品をお渡し頂いていたのに、私が直樹目線を書き出したのが前夜でして・・・(苦笑)
かつ、ちょっとみゆっちさんにご確認したい事があって、そのお返事待ちをしていたので遅くなってしまいました。たしか更新は出先からスマホで行ないました。
年末は仕事もプライベートもカツカツでやってたので・・・。お互い忙しいですよね^^;いえ、千夜夢さんほどではないですが。

年末――、本当にブログ立ち上げた当時は年末の忙しさなんてなんのそので活動していましたよね(笑)
とにかく想像すること、それを文章にする事が楽しかった・・・そんなだった気がします。
環境も気持ちもその時々で変化してきて、それでもやはりイタキスが好きって気持ちだけはぶれません。そして好きな系統もどこか変わっていないように思います。
千夜夢さんもそんな風に感じます^^今回のお話も好きって仰って頂けて嬉しいです♪
そうそう、みゆっちさんのお話って情緒豊かですよね。なんだかこう、温かいミルクティーが似合う感じで^^
そんな作品を受けての入江くん目線でしたが、そちらもまたいい!と感じて頂けて良かった~♪
両方の視点があるからこそさらにそこにある風景や感情が広がるんですよね。まさに相乗効果!(自分でも言った!笑)
narackさんのイラストも本当に優しくてほっこりしますよね~。narackさんのお人柄が滲み出てる感じ・・・すごーく分かります!

こうして合作できた事、本当に幸せなことと思います。この場で素敵な出会いを沢山得たと思います^^
千夜夢との出会いも勿論そうです!
4周年の記事にもコメントありがとうございました。そちらはまた後ほど返礼させて頂きますね。
編集 △ page top
::コメントありがとうございました
> marimari様

こんばんは。昨年は暮れの慌しい中足跡を残して下さりありがとうございました。
並びに返礼がこんなに遅くなってしまい申し訳ありません!

私の方こそ、4周年御祝いして下さり感謝です♪お忙しい中していただくコメントにどれだけ癒されたことか。
今回もコラボに切なくなったりほっこりして頂き嬉しいです。
日常のワンシーンでもそんな気持ちになれるのもイタキスの良さだったりしますよね^^
イリコトの幸せそうな2ショットも何度見ても見飽きる事はないです。このたびのnarackさんのイラストも本当にそう♪

いえいえ、『ずっと』と仰って頂けるのはとてもありがたい事です。そういうお声を頂ける限りはなるべく続けたいなと思います!
どうぞ本年もよろしくお願い致します♪ご訪問お待ち致しております!
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::コメントありがとうございました
> ぴろりお様

このたびは4周年にお祝いのお言葉下さってありがとうございました。
いえいえ、遅れただなんて・・・!私の方こそとんでもなく遅い返礼で失礼してしまって申し訳ありませんでした!

4周年にはみゆっちさんとnarackさんから御祝いをとありがたいお言葉を頂き、リクも受けてくださるというのに甘えてコラボを実現させて頂きました^^三位一体なんて評して頂けて光栄です。ありがとうございます♪

ああ、ぴろりおさんまで私の書く琴子と入江くんを褒めていただけるなんて!
しかし!私の書く琴子はどうも可愛くないです~(笑)入江くんは自分的にもいい塩梅です(笑)とにかく私は直樹贔屓ですw

ぴろりおさんの琴子と直樹は、お話によって変幻自在ですよね~!すぐひきこまれちゃう♪
実は昨日も御宅の「The Reason」を通勤時間&帰宅後もスマホで最初から最後まで読ませていただきました。もうツボってツボって仕方なかったです!
でも・・・、多分変な箇所に異常反応してると思います・・・(笑)あ、今思い出したらまた笑いが込み上げてきました~~(^m^)

全然違いますが今こちらで書いている高校IF、ぴろりおさんに楽しんで頂いてるなんて嬉しいです。続きがんばらなきゃ、うん!

本当に、今年こそはお会いしたいですよね。千夜夢さんやみゆっちさんとお会いした時、いつも「ぴろりおさんに会いたい~っ」と話題になります^^
いえいえ、私、全然女子力高くないですよ~。どちらかというと主婦系オタク科の干物です(笑)
そんな奴ですが、今年もどうぞよろしくお願いいたします♪

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::コメントありがとうございました
> narack様

この度はお祝いもコメントも下さってありがとうございました♪
そんな、どつくなんて(笑)とんでもないですよ~。
それどころか綺麗な青空を夜空に変更してほしいというお願いを直ぐに叶えて下さってとにかく頭があがらない思いでいっぱいでした!

そうですね。さすがみゆっちさん、初めてのイタキス創作とは思えないしっとりとして綺麗なお話を書いて下さいました^^
みゆっちさんのお書きになる女の子はとにかく純粋でかわいらしさが詰っていると思います。

そしてそんな琴子目線に合わせた私の入江くん目線も好きと仰って下さって嬉しいです♪
え、私の書く入江くん好きだなんて嬉しいです~っ。あ、でも自分でも結構好きです。だって、一番愛を持って書いているキャラですもん(笑)

あ、コーヒーのほかに欲してるもの、そちらで捉えられましたか?(^m^)これは誤解をまねきそうだなぁ~と思いながらだったですよ^^;
今回は一応「琴子の顔がみたい」という欲求です。みゆっちさんのお話が綺麗だったので、直樹もピュアモードだったんですよww
いつも私が発情している入江くんばっか書いてるからですね~。反省反省!(←オイ全然してないだろ!とそれこそつっこみが聞こえてきそうです笑)

イラスト雑だなんて、そんなこと絶対無いですよ~。というか、本当は琴子ちゃんにスーパーの袋もたせるつもりだったなんて!ほんとにめちゃくちゃリンクしてたんですねっ。すこい!まさにミラクル!

こちらこそ年末に素敵な贈り物を頂けて本当に幸せでした。ありがとうございました!
今年もまた色々と楽しみましょうね♪
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::コメントありがとうございました
> たまち様

この度は4周年の記事、全てにご丁寧に御祝いのお言葉をお寄せ下さり本当にありがとうございました。
すごく遅いお返事で申し訳ありませんでした。でも大切に読ませて頂いておりました。

そうですね~。この結婚エピは本当に9回裏逆転満塁打というところでしたよね。
いつもは明るい琴子でも、時々現実とは思えない瞬間があるはずですよね。黄昏時なんてまさにそんな気持ちになる瞬間なのかもしれません。
入江くんは結婚して自己完結・・・なんですかね?(笑)そこまで浅はかとは思いませんが、まあまあそれはさておき。
やはり言葉で伝えるのは得意じゃないからか、でもこうして手を繋ぐ事は琴子の気持ちをきっと安心させるものなのだと思います。勿論入江くん自身も^^
新婚だけど付き合い始めのような二人にほっこりして頂けて良かったです♪
みゆっちさんのお話もnarackさんのイラストも本当に素敵でしたよね~。一緒に喜んで頂けて嬉しかったです。
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::コメントありがとうございました
> ひろりん様

この度は4周年の記事があがるのを待って、すぐにコメントを下さいましてありがとうございました。
もう半月もお返事を待たせてしまい申し訳ありません。・・・って、こちらに気付いて下さっていると良いのですが^^;

みゆっちさんとnarackさんと3人合わせてのコラボ、しっくり重なり織り合わさったと評して頂き光栄です。
言葉の魔術師だなんて、そんなすごいものでは全くありませんが、私なりに一生懸命書いています。行間からまで何かを感じてくださるのはひろりんさんの感受性の鋭さがあってこそですので、こちらこそ本当に感謝します。

テンプレートは、実は私がこのブログを開設した当初に設定していたものなんです。これをご存知なのはまだまだ駆け出しの頃から足を運んで下さっている方だけでして。若干読みにくい気がするので普段は好んで使用はしないのですが、この時期だけは初心に戻ることを意識して使用しています。が、今回は確かにお話にちょうど合っていたかもしれないです^^

いえいえ、鍵コメということはどうぞ気になさらないで下さいね。暮れ、そして色々と大変な合間を縫って足跡残して下さってありがとうございました。
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