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見た事のない顔 1/2

最近個人的に無性にみたくなったシチュがあって、色々なパターンを考えた結果高校時代を採用しました。
まだそこには辿り着いていないですが、前半をお届け。
お付き合いくださる方は続きをどうぞ☆



・・・・・・・









ある天気のよい晴れた日の午後。
俺は入江と珍しく学校帰りにファミレスによっていた。

「ご注文は以上でお揃いでしょうかぁ?」

大学生だろうか。わりと綺麗な少し年上っぽいウェイトレスさんが注文したメニューを運んできてマニュアル通りの接客をする。
が、男の俺から見ても超絶イケメンの目の前の友人を大いに意識しているのは間違いなく、その視線はそわそわと入江の顔を盗み見る。

「はい、大丈夫です」と俺が答えても会釈の向きは完全に入江の方。
「それではごゆっくりどうぞ~」と妙に媚びた声でそう言うと、ちょっと名残惜しそうな様子でテーブルから離れていった。


「はい、入江」

俺はそんなウェイトレスさんの背中を見送ったあと、籠からナイフとフォークを取り出し入江に手渡した。
こんな事は入江と行動を共にしてるとよくある光景なので、もう特に何か感じる事もない。
敢えて言うならば、同じくごく自然なで「ありがとう」と俺からそれらを受け取る入江に感心してしまう、ってことか。
だってそうだろう?
嬉しいとか照れるなんて様子が皆無なのは勿論のこと、煩わしいとか苛々するとかいう雰囲気さえ無いんだ。
完全なる無関心。まさにそんな感じ。


気心しれた関係、そして元来の口数の少なさから俺達は少しの間運ばれた食事を黙々と食べた。
そこそこ腹が満たされたところで漸く口を開く。

「あ~、やっぱ体動かした後は腹が減ってがっつり食べちゃうな~」

「ふっ そうだな」

「なんだよ、その含み笑い。もしかして俺に言いたい事ある?」

「いや?でもあの3ポイントはなかったよな」

「あ、ひでーっ。やっぱさっきの試合の事思い出してたんじゃないか」

「渡辺が体動かした後とか言い出すからだよ」

不貞腐れたように抗議の声をあげる俺に入江は意地悪そうに口端を僅かに引き上げた。
それは俺の反応がポーズだって事を熟知しているってこと。

でもまぁ実際、さっきの俺のプレイは酷かったんだ。
(どういうプレイだったのかはとりあえずそっとしておいてほしい)
というのは今日、学校では春の恒例行事で半日かけて球技大会が行なわれたのである。
朝から昼過ぎまでクラス対抗で様々な競技が繰り広げられるそれは、A組にとっては正直あまり歓迎しない行事。
そんな時間があれば勉強に充てたいというのがその理由であるが、ぶっちゃけA組の大半の人間は運動はあまり得意ではないのも大きな要因だったりする(俺も含めて)。
なんだかんだでA組はプライドの高い奴らの集団だったりするから。
運動なんてくだらない、って顔しながら負けるのはやっぱりいい気がしないのが本音。

球技大会では男女それぞれバレー、バスケ、サッカー、ハンドボールと全4種目あるで、ひとり1ないし2種目エントリーしなければならない。
クラスメイトたちがなるべく個人の責任が目立たない(※個人の思い込み)大人数の競技に出たがる中、穏便・協和がモットーの俺は得意ではないけれどバレーボールを希望した。ただし1種目のみ出場の条件で。
が、土壇場で欠席した奴の穴埋めとしてバスケも出る事となったのである。よりにもよって4つの中で一番苦手なのに・・・。俺ってついてない。
一方、入江は元よりバレーとバスケの2種目出場だった。
もっとも入江の場合は何をやらせてもパーフェクトなので、2種目出てもらうのを条件に誰よりも先に本人に好きな種目を選んでもらったのだ。そしたら出来れば選んでほしい2種目を選択してくれたので、A組のメンバーが益々尊敬の眼差しで入江を見たのは言うまでもない。
ちなみに当の入江がこれらの競技を選んだのは、体育館で行なわれるからという分かるような分からないような理由だった。
だって、それって重要な基準なんだろうか?
訊ねると入江は『体育館なら少なくとも学校関係者以外立ち入り禁止だから』と答えた。
ストーカーでもいるの?と目を丸く俺に『違うよ。母親』と肩をすくめる。
『相原が家に来てから、やたらと俺たちの2ショットを狙ってカメラ構えてるんだよ。ったく、冗談じゃない』

俺は入江の言い分に内心ひそかにつっこんだ。

(入江、それって相原琴子ちゃんとお前が2ショットになる事が前提にあるんだけど、分かってる・・・?)

確かに入江がサッカーかハンドボールに出場するなら、彼女は応援の為にグラウンドに現れるだろう。
だが、入江自身がそちらに向わない限りその広い場所で2ショットが撮れる瞬間なんてまずないだろうに。
でもこんな入江が面白いから俺は決して余計な事は言わないことにした。


とにかくそんな経緯でこの日を迎えたのだが、この2種目にエントリーして良かったなって思える事がひとつあった。

「まぁ俺のプレーはさておき、今日はこの3年間のうちで一番面白い球技大会だったなぁ」

俺はそう言うとにっこり笑った。

「相変わらず面白い子だよね。入江の家に一緒に住んでるさ・・・、えっと相原琴子ちゃんだっけ?」

わざと勿体ぶった訊ね方をすると、入江が途端に眉間に皺を寄せる。

「こっちは相手チームなのに、入江がアタック決めたりシュート入れたりする度、『きゃ~~っ!入江く~~ん!!』だもんなぁ。で、その度にハッと真っ赤な顔してさ。またそれが可愛いのなんのって」

「ふん、何が可愛いんだか。学習能力が無いただのバカだろ」

「まったく口悪いよなぁ、入江って。可愛いじゃん、彼女。あ、でも相当球技苦手だよね。飛んできたバレーボール全てあさっての方向にレシーブしてたし」

「・・・顔面で受けなくなっただけでもマシだろうけど」

「え?何の話?」

入江の科白の意味が分からず聞き返すと「いや、別に」とかわされてしまった。
でも何か思い出したようにプッと小さく噴出している。
なんにせよこうして入江のポーカーフェイスを崩してしまう彼女はやはり特別な存在だと思う。
そう言ったら間違いなく即否定されるだろうから、やっぱり口に出す気はないんだけどね。



そうこうして食事を終える頃。

「あ、そうだ」俺は最後の一口を口に運びながら言った。

「入江は次なに飲む?」

この店に入り注文後すぐ取りにいったドリンクバーのコップは、お互いとっくにからっぽになっていた。
食事中は一緒にもってきた水の方が合うからそのままおかわりせずにいたけど、そろそろ何か飲みたい。

「ああ、悪いな。じゃあホットコーヒー頼む」
まだもう少し食事が残っている入江が答える。

「ん、オッケー」

俺は笑って請け負うと席を立った。ドリンクコーナーは俺たちが座っている席からレジをすり抜けて反対側のフロアにあるので少し遠い。
しかし改めて店内を見ると中途半端な時間にも関わらず店内は盛況していた。斗南の生徒も何組か居る。
大人数で来ている下級生らしい子達はおおかた球技大会の打ち上げって感じでワイワイ騒いでいた。
2、3人のグループは俺と同じで塾までの時間調整ってところか。
入江は当然通っていないがこうして付き合ってくれている。
予習で分からないところがあったら教えてくれるしマジで助かる。

スイッチひとつで本格的なコーヒーを淹れると俺は元来た道を辿り席に戻ろうとした。
するとレジのあたりに見覚えのある綺麗な栗色の髪をした後ろ姿を見つける。

「申し訳ございませんがただいま満席でして・・・」

「あ、そうなんだ・・・」

「どうする?他行く?」

「えーっ でも今日はドニーズのパンケーキの口にもうなっちゃってるよ~~」

「じゃあ待つ?あの、すみません。待ち時間ってどれ位になりますか?」

「そうですね~・・・」

案内のウェイトレスさんはネームに研修中のシールを貼っていてまだ案内に不慣れのようだった。
判断しかねるようでフロアを振り返りながら言葉を濁してしまう。



「あの・・・、相原さんだよね?」気付けば俺は琴子ちゃんに声を掛けていた。

「俺、渡辺っていうんだけど」

「あ・・・、入江くんとよく一緒にいる・・・――」
琴子ちゃんは突然声を掛けられて驚きながらも俺の顔を覚えてくれていた。
あ~、なんかそれだけでテンションあがる!

気をよくした俺はにっこり笑って頷くと、さらに舌を滑らかにして言ってしまったのだった。

「もし相席で良かったら、こっちの席来る?俺たちの席、二人なのに広いシートなんだよね」

「入江くんのお友達が二人で来店・・・」

「ってことはつまり・・・――」

「え・・・いいの?」

琴子ちゃんとお友達二人は皆揃って「いいの!?」というような顔をした。

「うん、困った時はお互いさまでしょ」

入江の反応は想像がつくけれど、俺はなんてことないように答えた。
まぁ、なんとかなるだろ。
だってここには特別な存在がいるのだから―。





というわけで久々の渡辺くん目線です。
球技大会、理加ちゃんのエピで回想としてあるんですよね。
だから3年もあったはず!と使ってみました。
自分の学生時代の経験から多分6月位?と1巻スキマに設定。
後編もなるべく早目に更新しますね。


しかし密恋の反動もあって、まだ何も始まっていない高校生のなんと新鮮なことか(笑)
あちらはもう少しお待ちくださいね。多分春休み中は更新難しいです^_^;

・・・って、別に誰も待ってないか~>_<
ぼちぼちやりますよ。ええ。

テーマ:二次創作
ジャンル:小説・文学

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拍手コメントありがとうございました

>ちょこましゅまろ様

続き楽しみニしてくださりありがとうございます♪
後編UPしましたので、お時間ある時にまたお付き合い戴けたら嬉しいです。

Re:紀子ママ様

そうなんですよね。
入江くんって無関心だと徹底的に無視するタイプなんですよね。
でも琴子にはそうしないあたりがとっくに特別であることを物語ってるんですよね(^m^)
興味ない口ぶりでもいつも傍にいる渡辺くんにはすっかりお見通しなんだと思いますw
だからこそその表情が崩れる時嬉しいし面白いんでしょうね♪
後編、多分そんな姿が展開されてると思いますのでまたお時間ある時にお付き合いください♪

Re:たまち様

こちらこそコメントありがとうございます。
たまちさんも待っているとお心遣いありがとうございます!そう言って戴けると本当に嬉しいです。

そうですね。入江くんってどうも寄り道するイメージがあまりないですよね(笑)
今回は球技大会でお腹空いてたのと渡辺くんに付き合ってあげたということで。

あはは、このテーブルについたウェイトレスさんは権利を勝ち取ったのかww
でもこの手のタイプは入江くん完全に無視ですから、ご愁傷様です^^;
ドニーズの女の子達の反応、たまちさんのコメント拝読して、彼女たちの視点で書くとこのお話もまた違うのかもと思いました。
が、今回はさらーっとしか登場させられませんでした・・・。楽しみにして下さったのに申し訳ないです!

その代わり渡辺くんの視点ではテーブルでの様子色々書かせて頂きました。
後編のあとがきにも書きましたが、高校のしかもはじめの頃とあって入江くんはあまり話に入ってきませんが、要所でしっかり琴子が特別になってるように仕上げたつもりです(^m^)
渡辺くんからしたらそんな姿にびっくりしたり面白かったりなんでしょうね。

ママに関してもたまちさんのコメントを読んで、本当は存在出すつもりなかったんですがそういう訳にはいかないと少しだけ影をちらつかせておきました♪
またお暇な時にでも後編読んでやって下さいませ☆

Re:ねーさん様

そうなんですね♪渡辺くんが好きと仰る方は多いですがねーさんさんもですか^^
はい、昔の作品で何度か彼の目線は書かせて頂いております。大好きと言ってくださり嬉しいです。ありがとうございます!

球技大会のお話、書かれておりましたか!すみません、読んでなかったようで知りませんでした。申し訳ありません>_<
なるほど、北海道ではそんな感じで行事が行なわれるのですね。
本州でもきっと色々タイミングは変わってくるのでしょうが、北海道は更に違いそうなのでたしかに悩まれそうですね。

はい、御察しのとおり見た事のない顔とは入江くんの顔であります。
ワクワクして頂けるのはありがたいですが、はたしてその価値があるかどうかは・・・^^;
どうぞお手柔らかに読んでやって下さい。

密恋についてもお心遣いありがとうございます。
色々思うところあるので続きはいつになるか分かりませんが、待ち続けて下さる方のためには頑張って書きたいと思っています。

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