::キミ、メグル、ボク



琴子ちゃん、ハピバ!!

今年も無事祝う事が出来てとても嬉しいです(^m^)
毎年色んなスキマで書いているのでそろそろネタが・・・なんて思っておりましたが、ちゃんと降ってきてくれてよかった~~(笑)

きっと今日は各イタキス二次サイト様がお祝い記事出されてると思うので、読者の方々も大変だと思いますが、良ければウチのもお付き合い下さい♪

ちょっと長いですが一話で出させて頂きますね。
ではでは、続きからお願いします!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









「・・・おい、いい加減それやめろよ」

9月29日。午前9時を過ぎたロイヤルホテル1287号室――。
朝食中のテーブルで、視界にチラチラと入ってくる左手を上に翳す仕草にとうとう俺は眉をひそめた。

「え~、だって何度見ても信じられなくて~」

すると琴子は声も表情も全く緊張が緩んだ様子で返事をする。

「入江くんがあたしに、こんなプレゼント用意してくれてたなんて・・・。こんなサファイアの指輪なんて、すごく高そうなの・・・」

「ふん、昨日は『好きって言ってほしいな』なんて無欲な事言ってたのに。ゲンキンな奴」

「ち、違うもん!あれは本当の気持ちだったよ。で、でもそういうのとは別に入江くんがあたしの為に時間割いてプレゼントを選んでくれてた事が嬉しいんだもん。しかもこんな可愛らしいハートの・・・。恥ずかしかったんじゃない?」

「別に、お前の好みに合わせて選んだだけだから。すぐに決まったしな」

「へ~~そうなんだぁ。あたしの好み・・・。ふふっ。入江くん、ちゃーんと分かってくれてるんだねっ」

「・・・。いいからもうさっさと朝食食べろって。チェックアウトの時間もあるんだから」

「はぁい。・・・うふふ、ほんと可愛い」

「ったく」

結局浮かれ顔が治まりそうもない琴子に肩をすくめ視線を他に移すことにする。
少し高い場所に居るからだろうか。大きな窓から見える空はいつもより少しだけ近く感じられた。
雲ひとつないという形容がぴったりの清々しい青。


「綺麗だね。もう少し此処に居て、この景色を見つめていられたらいいのにな」

いつの間にか同じ空を見つめていた琴子が少し愁いの色を含んだ声で呟く。

「そうだな」そう答え俺は少し冷めたコーヒーを口に含んだ。

たしかにもう少しこうしていたいような気もする。
考えてみれば俺たち、こんな風に二人きりで誕生日の翌朝を迎える事も今まで殆どなかったし。
もう少し、この景色もお前の横顔も見つめていたうような気もするよ。


「なんて、我がまま言っちゃダメだよね。それにこうして入江くんと二人きりで過ごすために色々協力してくれたお義母さんやモトちゃん、真里奈にもお礼早く言いたいし。あ、船津くんにも」

けれどそうやって俺を現実に引き戻すのがやっぱり琴子なんだよな。

「あんまり余計な事ペラペラ喋ったりするなよ」

「え?余計な事ってなに?」

「・・・それくらい自分で考えろ。あと、分かってると思うけど指輪は仕事の時には外せよ」

「もう、それくらい分かってるよぉ」

「つーかお前すぐ失くしそうだから、もうずっと仕舞っておいた方がいいんじゃない?」

「そ、それじゃせっかくのプレゼントなのに台無しじゃない!大丈夫だよ。絶対失くさないよ」

ちょっとした意地悪心で言った俺の言葉に憤慨し、唇を尖らせる琴子。
相変わらずコロコロ変わる表情はやっぱり俺を飽きさせない。

「・・・まさにカラーチェンジサファイア」

「ん?なんて言ったの?入江くん」

「・・・いやなにも。ま、お前のものだし好きにすればいいよ。せいぜい失くさないよう気をつけろよ」

「うん!任せて!」

誤魔化した俺の返事に琴子はいつものように何の疑いもなく子供のように頷く。








それから少ししてチェックアウト間近の時刻だった。

「・・・あ、うそっ。どうしよう」

新聞に目を通しながら身支度する琴子を待っていると、少し離れた場所から慌てた声が聞こえてくる。

「どうした?」訊ねるとひょこひょこと琴子が変な足取りでこちらに近付いてきた。

「あの・・・ね、昨日は気付かなかったんだけどこれ、こんな事になってて」

そう言ってこちらに靴のヒール部が見えるよう右足をクイッと曲げる。

「あー・・・、それはちょっとそのまま履いて帰れそうにないな」

俺は一瞥するなり判定を下した。
昨日ホテルに駆け込んできた時、冷静じゃなかったにしてもこの状態に気付かなかったとは琴子も俺も相当動転していたんだと改めて痛感する。
ドレスアップした服に合わせて履いていた琴子の靴はヒールが高く走るに適したものではなかった。
渋滞につかまったタクシーを降りてからホテルまで、どれくらい全力疾走したのか定かでないが相当なものだったのは想像するに易しかった。

「うぅ、どうしよう。アロンアルファでくっつけたらなんとかなるかな」

「さぁな。体重移動の負荷考えると難しいんじゃねーか」

「そ、そんな人を重いみたいに」

「そうゆう意味じゃなくて。応急処置してもまた折れたりしたら、足挫く可能性だってあるってこと。それに下手に接着剤なんか使ったら修理にも出しにくくなるぞ」

「そ、そうだね・・・。そうだとしたらどこかで買い直さなきゃ。えーっと、此処から近いお店ってどこがあったかな」

「・・・。」

ぶつぶつ呟きながら思案する琴子を見ながら俺はふとある事を思いつき、立ち上がった。

「とりあえずチェックアウトするぞ。ほら、ここ持って」

「あ、ありがとう」

「もっとしっかり掴まれって」

おずおずと腕に手を添えてくる琴子の手をとりなおし、きつく握らせた。








チェックアウト後、ぎこちない歩き方をする琴子を連れタクシー乗り場に向った。
幸い空車がありすぐ乗車できた。俺は渋谷方面へと行き先を告げる。
その後降車してさらに目的地に向って迷わず歩みを進めた。
辿り着くと琴子が俺に捕まりながら「入江くん、此処って――」とこちらを見上げてくる。

「ちょっと懐かしいよな。って、あの時は無理矢理お袋に命令されてついて行かされて、正直面倒なだけだったけど」

「・・・でもここに一緒に来た事覚えてて、それで連れてきてくれたの?」

「まぁな。靴を買うって目的は同じな訳だし」

今俺たちが居る場所――、それはとあるファッションビルのレディスのシューズフロアだった。
まだ俺たちが高校3年の頃、琴子の誕生日にブーツを選んだのが此処だった。
(※ Swinging Heart創作カテゴリ 2巻スキマ【身長】参照)

「あの時は履き慣れない高いヒールの所為で歩けなくなって、履き替えたんだったよな」

「・・・うん。入江くんが『等身大』って言って選んでくれた。嬉しかったな」

琴子もきちんと覚えていたようで懐かしそうな目をする。

「あれからもう10年近くか」

「そうだよね。ちょっとびっくり」

「ヒールもすっかり履きなれたのはいいとして、走って潰すってお前らしいよ」

「だ だって、昨日は“入江くん帰らないで!”って気持ちでいっぱいで、無我夢中で走ったんだもんっ」

恥ずかしそうに剥れる琴子に思わず小さな笑みが零れてしまう。

「知ってるよ」軽く頭を撫で気になるものを探すように促す。

「さて、今年はどんなのがご希望ですか?奥さん」

ややおどけて尋ねると琴子ははにかんだ顔をした。

「あ、あの、しっかり選びたいから退屈させちゃったらごめんね」

「別に急いでる訳でもないし。気が済むまでどうぞ」

「あ、この靴なんていいかも。あ、でもこっちも気になる」

色々目移りをし始めた様子を見て俺は少し後ろに下がってその姿を眺める。


「入江くん、これとこれ、どっちがいいかなぁ」

「まず試してみれば?」

手の空いた店員をみつけ俺は片手をあげた。
琴子の持っている靴を指し、琴子のサイズを用意してほしいと依頼する。

「どうぞこちらにお掛けになってお待ち下さいませ」

店員が在庫の確認をして下がっていくのを見送ると、琴子は嬉しそうに顔を綻ばせてスツールにちょこんと座った。

「なんだかこういうのって、嬉しいけど緊張しちゃう」

「そうか?」

「うん。なんでかな?もう何年も一緒に居るのにね、あの頃とまったく同じように心臓がドキドキしてるの。へへ、おかしいよね」

落ち着かないというように「あ、あっち靴もちょっと見てみようかな~」と勢い良く立ち上がる。

ミシッ・・・
途端、足元で鈍い音がした。

「ひゃあっ」

「・・のバカッ、そんな勢い良く立ったらヒール完全に折れるぞ」

慌てて腕を差し出し体勢を崩しかけた琴子を受け止める。

「ご、ごめん」

「ああ、ちょうど持ってきてくれたみたいだぜ」

ちょうど今のやり取りを目撃したらしい店員が、琴子のヒールに気付き急ぎ足で戻ってきた。

「お客様、お怪我はございませんでしたか?」

「は はい、大丈夫です。すみません」

「あの、同フロアにリペアコーナーもございますので宜しければどうぞご利用下さいませ」

そう言って再度琴子をスツールに座るよう促し、頼んだ靴を2足琴子の傍に並べる。
俺はその一方をさらに琴子の足元に寄せた。

「お優しい旦那様ですね~」

「えっ!?だ、だんな様!?」

店員のお愛想に目を丸め素っ頓狂な声をあげる琴子。

「あ、申し訳ございません。違ってましたでしょうか」

「い、いえ。合ってます!合ってますけど、そういう風に言われたことがその、殆どなくて・・・///」

「・・・。」

慌ててしどろもどろになりながら答える琴子に思わず眉を顰めてしまう。
ったく、たしかにいつもは逆の反応をされる事が多いのは認めるが、もう結婚して何年にもなるのにその反応ってどうなんだよ?

我ながらムスッとした表情をしていることだろうと思いつつ、俺は床に跪き琴子の足からヒールがブラブラしている靴を脱がせた。

「え、あ、あのっ!?」

「ほら、試しに歩いてみろよ」

素早く一足目を足に入れ、琴子を見上げる。

「わぁ・・・、あんな事する男の人初めて見た~」

「しかもすごい格好良いよ」

「「「「「いいなぁ・・・」」」」」

いつのまにか衆目を集めていたようで俺たちの周りではヒソヒソとそんな声が聞こえてくる。
琴子は益々ド緊張したようだけど知った事じゃない。
いい加減初心過ぎる反応をするお前に、これくらいのリハビリしてやったってバチは当たらないだろう?

「へぇー、器用な歩き方だな。ほら、ちょっとその辺歩いてみろよ」

ガチガチと古いロボットのようにぎこちなく一歩一歩踏み出す琴子に俺はニヤリと笑ってやる。



と、そんなここんなで琴子は漸く一足の靴に決めた。
日本製だがどこかヨーロッパの雰囲気漂うシンプルなミドルヒールのポインテッドは値段的にもやや高めの設定で、以前の琴子なら選択のうちにも入らなかったものだろう。

「へへ、あたしもいつの間にかこういうの履いてもちぐはぐな感じじゃなくなったんだね」

「そりゃもうアラサーだもんな」

「そ、そこは強調しないでよっ。もう意地悪なんだから」

琴子は剥れるけど意地悪言ったつもりはまるでないけどな。



「ではお会計させて頂きます」と電卓を取り出す店員。

「はい、お願いします」

そう言って俺が財布を取り出そうとすると琴子は「ま、待って!」と慌てて俺を制した。

「なんだよ?」

「だ、ダメだよ!だってあたしの靴なんだから」

「そんなの分かってるよ。いいじゃん、誕生日なんだし」

「そ、それなら尚更!だってもうプレゼント貰ったよ」

そう言って俺の眼前に自分の左手を翳して見せる。
その時、琴子が選んだ靴がこのサファイアと同じ深い青色だという事にふと気付いた。

有無を言わせない雰囲気で支払いを済ませ、店員が傍から離れると琴子は徐に口を開いた。

「・・・ごめんね。せっかく入江くんが買ってくれるって言ったのに」

「いや、別にいいけど――」

「あのね、上手く言えないけどそんな沢山甘やかされたらあたし、どうしていいか分からなくなっちゃう。それになんだかこの靴は自分で買いたいって思ったの。その、なんていうか自分が成長したと思えた証に・・・」

「成長した証・・・?」

訊ねると少し照れ笑いしてコクリと頷く。

「昨日ね、あたし交通事故にあった人の応急処置したって言ったでしょ?まぁちょっとばかり荒っぽいとは言われちゃったんだけど」

荒っぽい処置・・・か。なんとなくその時の様子が想像できて俺は内心苦笑する。

「でもテンパってもおかしくない現場でよく出来たと思うよ」

そう言うと琴子がパッと顔を輝かせた。

「そう、そうなのっ。あたし、まだまだ未熟なのは承知してるけど、それでも少しは成長出来てたのかなって。ずっと思い描いてた、入江くんの力になれる看護師さんに近付けてるのかなって思ったらすごく嬉しくて誇らしかった。だから、その記念にと思って――」

なるほど、そういう理由だったのか。
たしかにここまで出来るようになったのかと思うと感慨深いものがある。

はじめは俺が医者になりたいと思っているのを知って、漠然と看護師になる事を夢見てた琴子。
でも自分が命に関わる仕事に就くなんてと躊躇って散々回り道したよな。
そうだ、家出騒動まで起こったっけ・・・。
漸く看護科に転科する事を決めて、試験受けて晴れてその一歩を踏み出して――。それからはもっと苦難の連続だった。
しょっちゅう躓き転びながらもその都度立ち上がり、乗り越える姿を何度目にしたかしれない。

「そうだな。いいと思うよ」

けっして安くはない、けれど大切に履き込むほどに馴染み、底を交換する頃にはさらに自分の足に馴染むだろうその靴は今琴子が選ぶのに相応しい一足の気がした。


「お待たせいたしました。ありがとうございました。どうぞまたお越しくださいませ」

「ふふっ 今度は新しい靴が欲しい時には入江くんにおねだりしようかな~」

「勝手に言ってれば」

折れたヒールの靴はリペアを依頼し、軽口を叩きあいながら売り場をあとにする。

「どう?可愛いかな」

足をひょいと上げて俺に見せてくる琴子がいつもより綺麗で俺は少し微笑んだのだった。








*********






― それから一年後。




病室を開けると琴子はすっかり退院の支度が出来上がっていた。

「あ、入江くん!今日はお仕事お休みだったんだよね。ありがとう、迎えにきてくれて」

「なに言ってるんだ、迎えにくるに決まってるだろ」

「えへへ、そうは言ってもなんだか嬉しくて」

すっかり緩んだ笑顔で答える姿はとても母親には見えない。
が、スッと視線を隣に移すとどこか凛としたものに変わるのだから不思議なものだ。

「琴美はよく眠ってるみたいだな」

「うん。少し前に授乳したところだからお腹一杯になったのかも」

数日前から母子同室になっていた琴美も、今日はもう出産後ずっと着ていた病院の新生児服ではなく真っ白なベビードレスを身につけていた。
お袋と琴子が数ヶ月前から嬉嬉として選んていたそれは、あとで着る機会は何度あるかというものなのにやたら立派なものである。
が、その裾からほんの少しだけ見え隠れするファーストシューズはドレスに比べて心許ない代物だ。

「あ・・・、が 頑張って作ったんだけどね。ちょっと失敗って思ったらその度縫い直しもしたし。でもやっぱり不器用には違いないから・・・」

俺の視線の先を読み取って恥ずかしそうに説明する琴子。
そんな事言わなくたって知ってるよ。
型紙からおこして頑張って琴美の為に準備していたお前のこと、ちゃんと見てたんだから。

「いいじゃん。可愛く出来てる。琴美もきっと喜んでるさ。なぁ、琴美?」

「そ、そうかなぁ?」

「うん。さぁ、それじゃそろそろ行こうか。家でお袋たちが今か今かと首を長くして待ってるだろうから。本当は一緒に迎えに行くって言い張るのを嗜めて留守番させたからな」

「ふふっ なんだか想像つくよ」

「また一段と騒がしい日々のはじまりだな」

そう、これからは新しい家族が増えて我が家はさらに賑やかになるだろう。
昔は煩わしいと思うことが多かったそれが、ひとつの幸せの形に思えるようになったのは何時の頃からだったか。
そう思わせてくれたのは間違いなく、琴子の存在があったからこそだ―。


荷物は俺が持ち、琴子が琴美を抱っこする事にして、いよいよ部屋を出ていこうとする。

その時琴子がふと俺の手元をみて「あれ?」と言った。

「ん?どうした?」

「うん、あの・・・、その入江くんが持ってる袋って何かなと思って。此処にあったのじゃないよね?」

首を傾げられ、「あ・・・いけね」と呟く。
持っていた荷物を一旦置きなおし、琴子にもベッドに腰掛けるよう促した。

「此処に来て一番に渡すつもりだったのに、琴美の寝顔を見たり琴子と話してるうちについ忘れてたわ」

「へぇ~、入江くんが忘れるなんて珍しいね?」

「・・・どうかな。そうでもないよ」

実は去年も同じように忘れてしまってたからな。
俺もなかなか学ばない奴なのかもしれないと思い、少し笑えてくる。



「琴美抱いてるから、俺が代わりに開けるな」

袋から取り出した箱を琴子に見せつつ、俺はその箱に掛かったリボンを解いた。続いて包装紙を剥ぐ。
上箱をとり、琴子に中が見えるよう差し出すと琴子は大きな目をさらに広げてぱちくりと瞬きをした。

「入江くん、これって――」

「去年からのお前のリクエスト。これでどうかな?」

箱の中にはネイビーのバレリーナシューズが入っている。
これから琴美を抱っこして歩く機会が増えるだろうからと選んだものだった。

「入江くん・・・、覚えていてくれたの・・・・・?」

そう訊ねてくる琴子の声はすっかり涙まじりだ。

「当たり前だろ。奥さんの誕生日忘れるはずがない」

「で、でもでも、琴美の退院もあったし――」

「琴美はほんとに親孝行だよな。退院祝いとママの誕生日祝い両方出来るように生まれてきてくれるんだから」

「・・・っ。入江くん~~・・・っ」

とうとう堪えきれずにボロボロと大粒の涙を零し始める琴子。

「ったく、お前がそんなに泣いたら琴美がびっくりして泣き出しちゃうぞ」

「で、でも止まらないよぉ~~ひっく」

「しょうがない奴だな」

苦笑して琴子の頬に伝った涙を指で掬う。

「履いてみて」

琴子の足元に靴を置き促すと琴子はコクリと頷き、そっと足を入れた。
琴美を抱いてそのままゆっくりと立ち上がる。

「すごい・・・。びっくりするくらいフィットしてる」

その言葉に安堵する。

「琴子、誕生日おめでとう」

琴美越しにそっと唇を合わせるだけのキスをする。

「ありがとう・・・入江くん。こんなにいっぱいの幸せをありがとう」

「それはこっちの台詞」

またびっくりしたような顔をする琴子に思わず苦笑する。

まったく、いつも俺の気持ちを先に言ってしまうんだから困った奴だと思う。

琴子が居たから俺は色々変わる事ができた。
俺に今日のような幸せがあるのは間違いなく琴子のお蔭だ。


琴子、今までたくさんの幸せを教えてくれてありがとう。
俺たちの子供を産んでくれてありがとう。
そして、生まれてきてくれてありがとう。
これからも一緒に生きていこうな―。


「さぁ、行こう」

そう言って琴子に微笑みかける。



新しい一歩を俺達は、またここからはじめる――。






ここまで読んで下さった皆様、長いお話にお付き合いありがとうございました。
今回のバースデーストーリーは、琴子の成長を描いたものであり、入江くんの成長を描いたものであり、な感じになりました。
自分の創作のネタを拾いまくって書いたので、こちらへの訪問歴が少ない方には分からないくだりも多かったと思われます。すみません^^;

一応軽く説明以下に書きますね。

冒頭は22巻スキマ、【その夜、プレゼントを貰ったのは・・・】の後日話っぽく進めたこのお話。
イリコトの会話や直樹の語りの中で、はじめて投稿サイト様で書いた【Présent de la surprise】をはじめ、まだブログ開設1年目の頃に書いた【身長】のネタを拾わせて頂きました。
終盤、琴美ちゃんが生まれてからの部分は、最近書いた【evergreen】の後日話っぽく書いてあります。

もし全部分かる!という方が居たら最高です!ありがとうございます。
一つでも分かる作品がある!という方も嬉しいです♪
忘れてる、もしくは読んだ事ないからあとで目を通してみようかなと思って下さった方もいらしたらいいな(^^)

と、そんなお話だったのですが、一番書きたかったのは終盤の入江くんの「生まれてきてくれてありがとう」という言葉。
父親になったからこそ改めて感じる入江くんの琴子への思いを書きたいと思って書かせて頂きました。

因みに、タイトルは今話題沸騰中の日キスではなく2008年放送のアニキスの主題歌より頂きました。
こちらは入江くんの気持ちを歌った曲なんですってね。
たしかに聞き入ってみるとそう感じられます。そして今回のお話にしっくりくるかもしれない、なんて(自分でいうな)

・・・って、なんで琴子ちゃんのハピバ企画に私こんな語ってるんだ?すみません!(^_^;)
でもせっかく書いたので消去はしません(笑)

さぁ、という訳でこれからいよいよイタキス期間です!
微力ながら私も少しでも皆様と一緒に盛り上げていけるよう頑張りたいと思っておりますので宜しくお願い致します!

つきましてはまずは今日の夜23:00にもうひとつのオマケの琴子ちゃんハピバ記事をUPさせて頂きます^^
よろしければそちらもお付き合い下さいね♪



スキマ未設定(短編)  コメント(21)  △ page top


<<prevhomenext>>
::Re: たかこ様
はじめまして。水玉さんのブログから来て下さったんですね。ありがとうございます!
通勤電車の中で・・・!それはすみませんでしたっ。でもそう仰って下さって感激です♪
はい、また思い出したときにご訪問くだされば嬉しいです^^
編集 △ page top
::
初めまして❗日々草子から飛んできました。凄く素敵なお話で、通勤電車で泣きそうになりました。
また、お邪魔させてください
編集 △ page top
::Re:Yun様
こちらこそ心温まるコメントをありがとうございました^^
わ~!Yunさんも隙間話覚えて下さっててすごく嬉しいです。
しかもまた読み直そうなんて・・・なんてありがたいお言葉・・・。感謝します!

琴子ちゃんに傅くようにして靴を履かせる入江くん、はい、私も萌えます(笑)
はじめこちらもイラスト描きたい~って思ってたんですよ。でもちょっと時間なくてあきらめました。
また機会があれば描きたいです♪

琴美ちゃんの誕生日については、琴子の誕生日が受胎日だったらいいな~って思っちゃいますよね(^m^)
でも一般的なインフルエンザの流行時期は・・・と考えたらこんな流れなのかな、という考えも確かにあって、私はこちらを採用させて頂いております。
(ちなみに受胎日を暗に示すお話も書いてます^^)
すると琴子ちゃんの誕生日と近い時期に琴美ちゃんが生まれる設定に自ずとなって――、全く同じ誕生日も素敵だな~と思いながら、ちょっと早目に生まれるように書かせて頂きました。
って、勝手に裏設定語ってしまって失礼しました・・・!

話を戻して、今回靴を通して二人の積み重ねてきた時間を書かせて頂いたのですがぐっときたなんて本当に嬉しすぎるお言葉頂けて感激です!
なんだか私も琴子ちゃんおめでとう!って言いたくなりました♪
あらためてそんな風に思える機会を与えてくれるイタキス期間、ほんとに万歳です!
編集 △ page top
::Re:ねーさん様
こちらこそ先日は少しの間でしたがチャットさせて頂きありがとうございました^^
あはは、そうなんです。密かに書き上げてましたよ!
毎年大抵この時ばかりは奮起する私です(笑)
ねーさんさんもただでさえ沢山毎日更新されているのにさらに書き上げられて・・・お疲れ様でした!

そうですね。私の創作は基本的には原作を軸に流れが一連になっているのが特徴かな、と思います。
なのでついつい過去のエピソードを当然のように組み込んでしまうのですが、よほど記憶力がいいか私の作品を好きな方でなければ何の話?となりかねないといつも思っています(苦笑)
ねーさんさんはきっと全部分かって下さるかな、と密かに期待してましたが、寧ろ期待以上です!
たしかに【girl's talk】も【新しい年 新しい朝】も繋がってますよね。
そして私、実は最近気付きました。計算、確かに違ってるんですよね^^;
そうは思いながらも原作設定を壊さないようちょっとぼかして『10年近く』と入江くんに言わせたりしてました。こんな私の苦し紛れの配慮もねーさんさんにはお見通しといったかんじでしょうか(笑)

とまあそんなカミングアウトはさておき、長い年月を経て愛を育んだ二人を感じて頂けてとても幸せです。
期間中、やりたいことが色々ありすぎてパンクしちゃいそうですが、形にできるものからコツコツをモットーに頑張ります♪
ねーさんさんにも期待しています(*^_^*)
編集 △ page top
::Re:narack様
素敵すぎるなんて本当にありがとうございます!
入江くんの愛情の深さにウルウルして頂けたなんて感激です。
お互いがお互いを思いあうような関係に成長して、本当にこの二人は出合うべき運命だったんだと私も思います。
余談ですがこのお話のタイトルにもさせて頂いた「キミ、メグル、ボク」の♪イタズラに絡まる運命 僕らきっと探してたんだ♪って歌詞がすごく好きです。まさにイリコトの事だって思えるので^^

過去作、全部分かって下さって、しかも瞬時に出てくるとかもう!narackさんハグしたい気持ち!(え?やめてって?w)
読み込んで下さって本当に感謝します。ありがとうございます。

靴を履かせるいりえくんに砂糖吐くとか(≧m≦)それでもバケツ片手に最後まで見届けるとか爆笑!
でも私もきっと同じですww

本当にこんなに長きに渡って読者に愛されて、自分達のようにお話を想像してしまうようなイタキスって作品は偉大と私も思います。
そして私の方こそイタキスを通してnarackさんに出会えたことを嬉しく思います。
わぁぁ~~今回こんな嬉しい言葉を複数の方に言って頂けて本当に幸せでなりません!
これからもどうぞよろしくお願いいたします!
編集 △ page top
::Re:みゆっち様
先日はお疲れ様でした♪
出遅れなんてとんでもないですよ~。今回も読んで下さりありがとうございました!

もう~、『やられた。』って本当に最高の褒め言葉です!
今回は仰るように靴を通して二人の10年の軌跡とさらに新たな出発を表現さえて頂いたんですが、この発想の起点はみゆっちさんのコメントからでしたから!マジでナイストス頂けて助かりました。ラブ!

本当に泣いてるなんて・・・もうその言葉に私までうるっとしちゃいました。

私こそ二人の足跡・幸せの形を伴走して見守って下さり、同じ気持ちを共有できるみゆっちさんい出会えた事に感謝です。
編集 △ page top
::Re: るんるん様
こちらこそ誕生日のお話にお付き合い頂きありがとうございます^^

誕生日の翌日のエピソード、そして琴美ちゃんが生まれてからの幸せの形も最高と思って頂きすごく嬉しいです。
入江くんの「生まれてきてくれてありがとう」、こちらはあとがきにも書かせて頂きましたが、本当に一番伝えたかった部分なので胸を熱くして頂けて私こそ最高の気持ちです♪
編集 △ page top
::Re:紀子ママ様
こちらこそ心温まるコメントをありがとうございます^^

読み進めながら二人の関係の軌跡に思いを馳せて頂けてとても嬉しいです。
そうですね。琴子は勉強、スポーツなど亀の歩みでしたが、直樹は直樹で人としての感情がとても未熟で、琴子と出会って亀の歩みのように成長していったんですよね。
このお話でピックアップしたエピソードの中からもその成長の過程を感じて頂けましたか(^m^)
本当、どんなあしらいを受けてもまっすぐ自分に向かってきてくれた琴子がいたからこそ変われたんですよね。

二人の成長を今回靴を通して描いてみたのですが、それを良いと思って頂けて、頑張って書いた甲斐があったな~と思えました。
時にはヤマをはってもらうこともあったけど、大事な部分は直樹に甘えず根性で乗り越えてきた琴子は本当に立派です。
その姿が直樹のポリシーにも変化を与えたんでしょうね。
やはりこの二人は無敵。最高最強のカップルだと思います♪

編集 △ page top
::Re: ちょこましゅまろ様
本当に成長物語~と仰って頂き嬉しいです^^

わ~そうだったんですね!ヒール靴選ぶところで来年は履けないって予想して頂いてたとは!素晴らしい着眼点です。
余談ですが一応琴子ちゃんが買った靴、入江くんが選んできた靴両方ともイメージしているブランドがありまして(^m^)一人書き進めながらニマニマしてました(笑)

そうなんです。ヒールの高さ一つとっても夫婦から家族へと変化していく様を表せているんですよね。
気付いて頂けて感激しました。

イタキス期間、これからどんなことをしようか少し方向性が決まってきたのでまたあらためてお知らせさせて頂きますね。
編集 △ page top
::Re:たまち様
先日はチャットでお会いできて嬉しかったです^^
でもなんだか不思議な感じでした。もう既にお話したことがあるような感覚があったので(笑)

タイトル見てアニメの映像が流れましたか?私も流れますよ~。
色々つっこみどころは多かったものの、リピートしまくって観てたんで(^m^)

今回も丁寧にお話拾って下さりありがとうございます。
ヒールが壊れるのってアニメでは実際あったシーンなんですよね。あちらは完全に折れてましたが。
私も折れた経験あって(しかも朝の通勤電車の中!)、本当にあれは危険ですよね。
2巻の隙間思い出して下さいましたか。そうそう、要らないひと言をこの頃はよく言ってた入江くんです。
10年近くの年月を経て本当に変わりましたよね。
こんな入江くんが見られたのは自分の誕生日を犠牲にして人を救ったのもあるでしょうが、琴子ちゃんのこれまでのそういう生き方が入江くんを変化させたに他ならないと思います^^

退院の時はそうですね。あらためてあのママをよく家で待たせたなと思いました(笑)
琴子のお腹が大きくなっていくさま、そして生まれた琴美ちゃんを目の当たりにして入江くんの姿はもう本当に別人のようですよね。
琴子の為にプレゼントを用意する入江くんを描きたくて今回このようなお話にしたのもあるのですが、すごくステキと思って頂けてよかったです♪
夜だったら強いお酒・・・(爆)どうぞどうぞw

これまでの作品のタイトルで内容思い浮かべて下さって感激です。ありがとうございます♪
こちらこそコメントに幸せな気持ちにさせて頂きました。
編集 △ page top
::Re:こっこ(*^^*)様
そうですね。お互いが相手を思いやれてステキな夫婦に成長しましたよね~。
入江くんがすごい優しいって目が点な顔文字が・・・(笑)
この日くらいはキャラ崩壊も許してあげて下さいね。
編集 △ page top
::Re:ぴろりお様
ぴろりお様

こちらこそ記念すべき琴子ちゃんの誕生日にぴろりおさんに一番乗りして頂いたなんてめっちゃ嬉しくて感動です。ありがとうございます!
直樹、本当に成長しましたよね~。私も書きながらしみじみ思ってました(笑)
これまでの隙間が此処に来て生きたなぁ、なんて。自分で言ってどうする!って感じですが^^ゞ
でもぴろりおさんに過去作思い出されるって言って頂けてもうほんとに幸せで幸せで。

それで、もうっ何を仰るんですか!午前0時過ぎたと共にあんな熱い時間をすごす二人を見られてすごくすごく幸せでしたよ~~!
長期連載も本当にめちゃくちゃ感動したのに、いえ、だからこそなんでしょうか。どうやって気持ちをお伝えしたらいいのか分からなくてタイミングを逃してしまって申し訳ありません(涙)
それでもひと言、もうひとつの直樹の成長の軌跡の物語を読めてとても幸せでした。ありがとうございました。

壁ドンイラストもモノクロver.見て下さってたんですね~。嬉しい^^
色付けした感じはいかかでしたか?気に入って頂けてたらいいな♪
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
::管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
編集 △ page top
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

| home |
Copyright © 2017 Swinging Heart , All rights reserved.