::相似の向日葵
クリスタをダウンロード後、久々に描いた前回のイリコト。
その後プロフ絵にしているものと、さらにもう一枚立て続けに描いてみました。
どんどん完全な自分絵でイリコトのいの字もない感じになっています。すみません(苦笑)


3枚目に描いたのはこちらです。


日キスday


そして今回はこれに合わせてひとつお話を書き下ろしてみました。続きから置いております。
よろしければお付き合い下さい♪









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




一日を終え眠りにつく時、出来ることならば幸せな気持ちで瞼を閉じたいと思うのは皆きっとそうだと思う。
今日の嬉しかった事を振り返ってあったかい気持ちなったり。
また明日もまた頑張ろう!と自分に気合いを入れたり。

けど・・・今のあたしはちょっと凹み気味。
おかしいな。今朝目覚めた時はとてもウキウキした気持ちだったのに。
今日はきっと素敵な一日になるはずと思っていたのに――。


****



今日大学が終わったあと、あたしは入江くんとご飯を食べに行く約束をしていた。
今晩、お義母さんをはじめ家族皆が用事があるのでそういう事になったのだ。
けれどそれは表向きの話で――、実際はお義母さんがそうなるよう首尾を整えてくれたのだったりする。
つまりはわざと其々の予定が重なるようにしてくれたってこと。

なぜそんな事をしたかといえば、今年の冬から大学に復学してからというもの、毎日かなりの時間をお医者さまになるための勉強に費やしている入江くんと、あたしが一緒に過ごせる時間がとても少なかったからだ。
やっと夢に向って歩み始めた入江くんを応援したいと思う反面、寂しさが分かりやすく表に出てしまっていたらしいあたしを見かねて強硬手段に出てくれたのだった。
たまにはあたしたちもカップルらしくディナーでもしてくるようにと入江くんに強く主張してくれたお義母さん。

『まったく、お兄ちゃんはもっと琴子ちゃんの事も考えておやりなさい!新婚なのに妻を放ってばかりいて。このままじゃ琴子ちゃんに愛想つかされるわよっ』

『ふ~ん。愛想をつかす、ねぇ。琴子が。へぇ~見てみたいもんだ』

『んまぁ、なんて不遜な態度なの!私だったらこんな男こっちから願い下げだわ。夫、いいえ男失格よ!』

『自分の息子に何言ってるんだか』

この家に住むようになってから、入江くんとお義母さんのこんな感じのやりとりは何度となく見てきたけど、歯に衣着せぬ物言いは間違いなく二人の血の繋がりを感じてしまうもの。
なんて、今回も含めてその殆どがあたし絡みで繰り広げられているものなのだから、なんとも複雑な思いなんだけど。
それにしてもあたしって、結婚してもなおこうして援護射撃してもらわないといけないんだからなんだか情けないなぁ。
入江くんて、結婚しようって言ってくれたけど、一体あたしのどんなとこを好きになってくれたんだろう――。


とはいえその後、渋々ながらも外食を了承してくれた入江くん。

『― 分かったよ。けど講義が終わっても研究とかで何時になるか約束はできないからな』

『・・・ううんっ そんなの全然構わないよ!何時までだって待ってるから。朝までだって待つよ!』

『それじゃ夕飯食えないだろうが』

肩を竦められてしまったけど、だってこれが本心なんだもん!
さっき頭を掠めたグズグズした気持ちなんかすっかり消えてあたしはもう元気100倍!!

入江くんと2人っきりのディナー。ああ、想像しただけでなんて素敵なの?
オシャレな店内で、「美味しいね」って何度も言いながら色んなお話をするの。
満腹になったら散歩しながら家路につこう。
ほろ酔い気味のあたしがふらつかないよう、入江くんは手を繋いでくれる。
肩を抱いてくれるのもいいかも。人にぶつかりそうになった時にクイッて自分の方に引き寄せてくれちゃったりして。
お家に着いたらそれからは――。
ああもうダメ。これ以上想像したら・・・・ウフフフフフ・・・・。

『あらあら、琴子ちゃんたらもう楽しい想像してるのね・・・』

『・・・ったく』

さっきなでいがみ合ってたお義母さんと入江くんが、やはり親子と思わせるそっくりな視線でこちらを眺めていることなんかつゆ知らず、あたしは当日までニマニマと頬を緩めて過ごしたのだった。



****


そして今日。とてもとても長く感じられた講義を全て終え放課後。
入江くんを待つ間、あたしが足を向けたのはテニスコートだった。

「あ、こんにちは~琴子せんぱーい」

「おつかれさまで~す」

「おつかれさま~。今日もよろしくね」会釈してくる後輩たちににこやかに返事をする。

斗南大学ではだいたいどこの部活も引退時期が似ていて、早いとこだと3年の12月には、遅くとも4年になると運営の先導は下級生に譲られる。(ウチは須藤さんが居たので特殊だったけれど)
なのでこの時期はOB・OG扱いでたまに気が向いたとき顔を見せる程度となっていた。
が、あたしは比較的時間に余裕があるためけっこうな頻度で顔を出している。
つまり今やここで一番年上のセンパイとなっているわけで。

「さて、それじゃあまずはサーブの練習でもしようかなー」

「あ、それじゃ私、レシーブ入ります」

「本当?ありがとう」

思えば須藤さんにこき使われるのがずっと当たり前だったこの3年間。
筋トレや球拾いじゃなく、堂々とコートに入ってラケットを振ることが出来るこの充実感といったら!そう思うと歳を重ねるのも悪いものじゃないわね。

「まったく、下手でも先輩だから優遇しないといけないですもんね~」

嫌味たっぷりの台詞を遠慮なくぶつけてくるのは今年から主将になった松本妹・綾子ちゃん。
けど、そんな事言われたって落ち込むようなあたしじゃないわ。
なにせあなたのお姉さんはもっと強烈だったからね!

「いつになったら引退するんですか?就職活動もせずにほんと暢気なものですよね」

「そうね~。でもちゃんと嫁修行してますからー。ご心配なく」

「あら、それなら帰って夕飯の支度しないといけないんじゃありません?きっと失敗ばかりで時間かかるでしょう?」

「それがね、実は今日は入江くんと二人でディナーに行く予定なの~。だからそれまでの間ここで練習させてほしいの。お願いね?」

余裕の笑みでやり返したあたしに松本綾子は眉を顰めると、
「あーはいはい、分かりましたよ。どうぞお幸せに」と首をすくめ離れていった。

「そーお?どうもありがと♪」

あたしは鼻歌まじりにボールをカゴからひとつ取ると空に向って頬り、ラケットを振り下ろした。


それから暫くして、一旦休憩タイムに入った。
ベンチに座りスポドリを飲んでいると後輩の女の子達が何人かこちらへやってきた。

「聞きましたよ~琴子センパイ。今日、この後入江センパイとディナーなんでしょう?」

「あ~うん、そうなの」

「いーなぁー。ラブラブじゃないですかぁ」

「ラブラブなんてそんな、恥ずかしいじゃな~い」

「またまたー。だって入江センパイって医学部に復学してからすごく忙しいはずでしょ。その合間を縫って琴子センパイとの時間も作るって愛以外のなにものでもないじゃないですか」

「それはえ~っと・・・そうね。確かに忙しい中時間作ってくれてはいるわね――」

・・・実際は半ば無理矢理って感じだったような気もするけど・・・、今結果として見えているものが全てよね?
ウフフ、入江くんの愛なんてあらためて言われるとすごくくすぐったい気持ち。

とその時、
「けどなんだか今でもちょっと信じられないよね。まさか琴子センパイが入江センパイのハートをゲットするなんて」

・・・ん?今なんだかちょっと引っ掛かる発言が耳に入ってきたような・・・・・。

「それはうん、確かに。ぶっちゃけ入江センパイの趣味って謎だよね」

さらに聞き捨てならない発言が飛び出す。

「だよね~。だってこれだけ沢山いる女子の中から琴子センパイを選ぶなんて~。絶対選びたい放題だったのに」

「そうそう。身近なとこでも松本裕子センパイとか」

「あの2人が並んでるとすごく絵になってたよねぇ」

「おまけにテニスの腕も同格。頭も天才。」

「なのにそれを押し退けての~」

「「「“まさかの琴子センパイ”なんだもんね~~っ」」」

見事に声をはもらせてキャッキャとはしゃいでいるけど、あの~・・・あたしの存在覚えてますかーー?
多分悪気はないんだろうけども・・・それでも失礼しちゃうわ。
“まさかの琴子センパイ”って随分な言い草じゃないの―――!?


・・・けど、この子たちの言い分は正直分からないでもなかったりする。
入江くんって、なんで沢山の女の子達の中からあたしを選んでくれたんだろう?
あたしの魅力ってどんなとこ?考えてもこれって胸張っていえるものは自分では分からない。
てゆーか、入江くんに具体的なあたしの好きな所って教えてもらったことないような・・・・。

・・・よーし、決めた!
今日こそは入江くんにそのあたりをばっちり言葉にしてもらうわっ。
それからそれから――

「・・・今日こそ入江くんに『好きだよ』って言わせてみせるんだから~~!」
(※あの雨の日以降言ってもらった記憶がない)

「え、琴子センパイなにを今さら・・・」

「好きだから結婚したに決まってるでしょうに・・・」

猪になったあたしにはもはや、後輩たちの唖然とする様子など目に入ってはいないのだった。




****


さて、どうしたら入江くんからあたしの好きなところを聞きだせるだろうか?
“好きだよ”って言葉を引き出せるだろうか?
入江くんが唐突に訊いて素直に答えてくれるような性格でないことは重々承知している。
が、上手く話題をそういう流れに持っていけたところではぐらかされるのも薄々予感している。
そもそもあたしにそういう会話のスキルなんてないんだ。
一体どうしたら・・・どうしたら・・・――。


「―おい、おい琴子」

「・・・・え、あ、なに入江くん?どうかした?」

「どうかした、じゃねーよ。それは寧ろこっちの台詞だ。いつまでそうやってメニュー表眺めてるつもり?食いたいもの決まんねーの?」

「あ、ご ごめんなさい。ちょっとボーっとしててメニュー見てなかった。えっとどうしようかな――」

しまったー。考え事に夢中でメニューを開いたままその内容はまったく視界に入っていなかった。ふぅ、と小さく息を吐き出す入江くん。眉間にも少し皺がよっている。
当たり前だ。入江くんが医学部でやることを一区切りつけてあたしを迎えにやってきたのは19時頃だった。いつも帰宅する時刻を考えれば、それはあたしとの時間を頑張って捻出してくれたものだと容易に分かるものだった。
どこか行きたいところはあるかと訊かれ、理美から教えてもらった美味しくて且つデートにも最適なイタリアンのレストランの名前を答える。最近良くんと行ってかなりのヒットだったのだそう。
予約した方がベターだと聞いていたけど、先日のいきさつがあったので飛び込みで店に向かった。
案の定店にはウェイティングができていたが、待っていればなんとか案内はしてくれるとのことだったので待つことにした。そんなこんなで2人ともお腹ペコペコの状態だった。

「じゃあ・・・コースはこの『スペシャルコース』っていうのでいい?」

「ああそうだな。それぐらいがちょうどいいんじゃない」

「そしたらあたしは・・・これとこれとこれで。食後の飲み物はホットのカフェオレにしようかな」

数種類あるコースの中からフルコースより少し軽めのものを選んで、さらにその中から好きなお料理をチョイスする。入江くんは頷くと傍を通りかかったウェイターに向って手を挙げた。あたしが選んだものと自分の分と淀みなくオーダーしていく。
注文を確認したウェイターが去るとグラスを手にとり一口水を口にした。

「あー腹減ったな。早く食いてー」

「あの、今さらだけどごめんね。コースだから少しずつしか出てこないよね。もっとさっと食べられるお店にした方が良かったかな」

「ほんと今さらだな」

「う、ごめ・・・」

「謝らなくていいよ。こうなるのは分かってたし、来たかったんだろ」

「それは・・・うん」

「じゃあそれでいいじゃん」

ああ、淡々としながらも落ち着く低い声。顔はややムスッとしてる気もするけど、あたしにはどこか優しく見える。・・・なんて、妻の欲目かしら?

「なんだよ。気持ちわりーな。ニマニマ緩んだ顔で見てくんなよ」

「・・・・。」

えっとこの発言はヌキにして。
うーん・・・、ここから今日のあたしのミッション(?)を遂行するのはなかなか至難の業かもしれない。
けど、諦めたりなんてしないんだから!必ず、必ず入江くんに好きって言ってもらうわよーーっ。


理美の情報通り、このお店のメニューはどれもとても美味しかった。コースの出てくるタイミングも多分絶妙だと思う。
メインを食べ終えるる頃にはお腹はほどよく満腹になっていた。あとはデザートだけ。そうもうデザートだけ・・・――。

「― それでね、その時笠松さんと中村さんがね・・・・」

「琴子」

今日、部活に出ていたときの事を話していた時だ。
これまでずっと短い相槌に終始していた入江くんがあたしの名前を呼んだ。

「あ、ごめん。なんかあたしばっかペラペラ喋ってて」

「それはいつもの事だけど」

「あ、はは・・・。そう言われたら確かにその通りだね。けどつまらなかったよね――」

「ていうか、俺の気になるのはお前のテンション」

「え?」

「何か言いたい事があるのに、上滑りな話ばっかしてる印象を受ける」

「・・・・・。」
つい直ぐに言葉が出てこなかった。あまりに的確な指摘。

「そういやメニューを決める時も、いや、ここに来るまでの間から既になんか変だったよな、お前。
言いたいことがあるならはっきり言えよ。らしくもない」

反論の余地はなかった。入江くんの言う通りだった。
今日、あたしは入江くんにあたしのどこに惹かれてくれたのかをずっと聞き出したくて。
どうしたら“好きだよ”って言葉を引き出せるかを考えてばかりでずっと上滑りな話し方をしていた。

「あの、ごめんなさい・・・。実は、今日ね――」

結局最初に予感してたように、部活で後輩たちとした会話を正直に伝えることとなった。

「―― つまりお前は、俺がどうして頭も良くて美人でスポーツもできる、松本みたいな万能なタイプじゃなくて、ごくごく普通の容姿でバカの、スポーツもからきしなお前みたいのを選んだのか知りたいと?」

う゛、要約されるとあらためて凹む気がするわ・・・。そしてなんだか幼稚な願い。

「う、うん。平たく言うとそういうことになる・・・かな。だってあまりに皆にバカにされてるようで悔しくて・・・・」

「くだらない」歯切れ悪い返事をするあたしに、入江くんは吐き捨てるようにピシャリと断じた。

「く、くだらないまで言わなくたって!」

「いや、言うね。つーか言うしかないだろ。比べること自体が不毛だ」

「―――!!」

その言い様にあたしもさすがにカチンとくる。

「なによその言い方。そこまで言わなくたっていいじゃないっ」

たしかにあたしと松本姉じゃスペックが違いすぎて比べる意味もないでしょうよ!
けど、

「あたしはただ、入江くんにあたしのいい所を教えてほしいって思っただけなのに」

「それならそうとせめてお前らしく真直ぐに言えばまだマシだったのにな。まぁそれでも易々と答える気もないけど」

・・・ムッカーー!!
なによ、それ!結局は何をどうしようと同じなんじゃない!?

「も、もういいっ!訊いたあたしが馬鹿だったわ」

啖呵を切ったところで最後のデザートとカフェオレが運ばれてきた。
あたしはフォークを掴むように手に取ると、もしゃもしゃとひたすら咀嚼してそれらをお腹の中に流し込んだのだった。
入江くんは入江くんで知らん顔してコーヒーを口につける。
やがて食事を全て終え店をあとにする時も帰宅する道すがらも、あたしたちはどちらもまともに目も合わさず、言葉も交わさず、ただ嫌な空気だけが回りには流れていた。



****



そして、今―。


帰宅しても家にはまだ誰も帰ってなかった。
きっとこれもお義母さんの計らいなんだろうけど・・・、すみません、全くご期待に沿えそうもありません。

家に帰るなり入江くんは、また勉強するからとすぐ書斎に籠ってしまい、あたしはむしゃくしゃした気持ちを洗い流すようにお風呂に入った。
どうせまた放置されるんだろうから、さっさと眠ってしまおうと思いベッドに身体を横たえる。
けど眠気は全然眠りは訪れてくれなくて、さっきから右へ左へ寝返りを繰り返すばかり。

おかしいな。今朝目覚めた時はとてもウキウキした気持ちだったのに。
今日はきっと素敵な一日になるはずと思っていたのに――。


「ったく、まだ不貞腐れてるのか」

その時背後から呆れたような入江くんの声が聞こえた。

「・・・!!」

思わずちょっと心臓がはねるあたし。まさかこんなすぐ寝室に入ってくるとは思わなかった。

「べ 勉強は?もう終わったの?」

訊ねた声が少し引っくり返ってしまってなんだか恥ずかしい。

「ああ。だからこれから風呂に入ろうと思って、着替えをとりにきたとこ」

一方、入江くんはいつもながらの飄々とした態度。

「そ、そう。じゃあ、上がってくるときにはあたしはもう寝ちゃってるかもしれないけど」

まだまだ眠れる気がしないけど、背を向けたまま入江くんに告げる。
あたしばっか悶々としたりドキドキしたり、いつものことなんだけどすごく悔しい!
もう、着替えとったら早く出て行ってよ――。


「冷たいのな。俺が戻ってくるまで待ってはくれねーの?」

不意にマットレスがぐいっと沈む感覚。
それと共に入江くんの声が耳直ぐ傍に流れてくる。

「ひゃっ・・・」

「お前のいい所、答えなかったのがそんなに不満?」

「・・・だって、いつもあたしばっか好きって言ってて。たまにはあたしのお願いも聞いてほしいよ」

ほら、今だって背中越しに入江くんを感じるだけであたしは顔が熱くなっていくのを感じてるのに。
入江くんはどこまでも余裕って感じ。
入江くんはフゥ、と小さく嘆息すると徐にあたしの頭の下に腕を滑らしてきた。

「じゃあ先に、琴子が思う俺のいい所、言ってみてよ」

「な、なんで・・・。今はあたしは聞いてるのに」

「お前が答えたら俺も答えるから」

有無を言わせない様子で告げられる。
い、いいわよ。あたしはいつも入江くんのこと大好きって言ってるし、入江くんのいい所なんて幾らでも言えちゃうんだから――

「まずは・・・天才なところ」

「ふぅん」

「かっこいい。スポーツ万能。」

「それから?」

「・・・天才でも努力を惜しまない」

「光栄だね。あとは?」

「え、えーと・・・イジワルだけど時々優しい」

「それっていいところ?」

「わ、わかんない」

「他にはないの?」

入江くんの執拗な質問は終わる気配を見せない。あたしはだんだん困惑してきた。

「なーんだ。琴子の言う俺のいい所って、なんかわりと浅いんだなぁ」

「ちょ ちょっと・・・!!」

さすがにあたしも堪忍袋の緒が切れそう!

「だって、あらためて入江くんのいい所を言えなんて、そんなの難しいよ!でもあたしが入江くんをすっごくすっごく好きなのは確かよ!
あたしは・・・上手く言えないけど、入江くんはあたしにとって太陽みたいなものなの!その存在だけで幾らだって元気が湧き出てくる、そんな感じなの!!だから冗談でも浅いなんて絶対に言わないで!」

言い切るとハーハーと息が乱れる。じわっと目頭が熱くなってくる。
う~~なんか・・・もう本当に悔しいっ。

「― そうか。今日やっとはじめてお前と意見が合ったわ」

と、入江くんの柔らかい声とともにもう片方の手があたしの首元に伸びてくる。

「・・・っ。あたしと同じ意見――?」

「あらためていい所を言うのは難しい。けど“その存在だけで元気が湧き出てくる”。
 お前の感覚と完全に一致とは言わないけど、俺のお前に対する気持ちもそれと一緒だよ」

「・・・あ・・・――」

今にも零れそうになっていた涙が伝ってシーツを濡らした。けどその理由はほんの一瞬前とは全然違うもの。


一日を終え眠りにつく時、出来ることならば幸せな気持ちで瞼を閉じたいと思うのは皆きっとそうだと思う。
今日の嬉しかった事を振り返ってあったかい気持ちなったり。
また明日もまた頑張ろう!と自分に気合いを入れたり。

その全ての源となる入江くんは、あたしにとって太陽みたいなもの。
ねぇ入江くん。
入江くんにとってのあたしも、少しでもそんなものだと思っていい――?


「ごめんね、入江くん」

今思えば今日のデートだって、入江くんの気持ちは其処此処に感じられるものだったよね。
ああ、もっと素直に楽しめばよかったね。
あたしって、ほんとバカだよね。


「それから・・・ありがとう。あたし、もっともっと入江くんの元気の源になるよう、頑張る」

「ふっ 今でも十分だけど・・・・頼もしいお前っていいよ」

ちょっぴり鼻声のあたしの言葉に入江くんはそう言うとそっと髪に口付けてくれた。
するとそこから、あたしの中にまたふんわりと何かが溢れきた。




お付き合い下さりありがとうございました。
好きって言葉は入江くんはなかなか言わない気がしてこんな感じの結末に。

はじめに思いついたのは最後の部分だけだったんですが、起承転結風に構築していくとちょっと長くなってしまいました(^_^;)
なんだか蛇足だらけになったかもしれませんが、そのわりに詰めがあっさりし過ぎてる気がしますが・・・深く考えないことにしよう(笑)

とりあえず、タイトルだけはなんとなく気に入っております(*^_^*)

12巻スキマ  コメント(11)  △ page top


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::Re: なおちゃん様
>なおちゃん様

コメントありがとうございました。
そうですね、入江くんと琴子は互いが互いのパワーの源になっているんだと思います^^
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::承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
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::Re:由香さま
>由香さま

こんばんは。拍手コメントありがとうございます。
入江くんに堕ちたって嬉しいです~♪けど、睡眠のお邪魔しちゃってすみません・笑
はーい、また更新した際にはお付き合い下さいね!
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::Re: ねーさんさま
> ねーさんさま

こんばんは。いえいえ、出遅れたなんて。久しぶりの更新に気付いて下さりありがとうございます。

わ~琴子ちゃんに感情移入して下さいましたか!
直樹のバカー!!って(笑)いやもう、この人は天才なのに言葉足らずなんですよね。
比べる事が不毛だと一蹴するその真意にもっと言葉をつくせ!と思うのですが(^^:)でもこれが入江くんなので仕方がない・・・。

ねーさんさんのコメント読ませていただいてあらためて気付いたのですが、たしかに琴子って誰にどんな事を言われて不安になっても、それをぶつける先がきちんと直樹本人に向ってなんですよね。
これって実はとても勇気が要って難しいこと。琴子ちゃんのすごいところですよね。
これが琴子だって思って頂けて光栄です^^

この後の入江くんはどうなったんでしょうね・・・?ご想像にお任せします・笑

あちらのブログも見て下さってありがとうございます。体調はもう大丈夫です!こうしてブログ更新してるくらいですから♪
ねーさんさんもお体お大事になさって下さいね。
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::Re: たまちさま
> たまちさま

こんばんは。久しぶりの更新に気付いて下さりありがとうございます。

時期の考察から丁寧にして下さって。そうそう、この時期の直樹さんって好きな女を慌てて自分の元に取り戻して、釣った魚に餌は与えないとばかりに(?)自分のことに目を向けているころですよね(たまちさんはもっとオブラートに包んだ表現をしてくださってたのに・・・おもいっきり引っぺがした表現しちゃいました・笑)。
いやほんと、喉元通り過ぎればなんとやら・・・ってそんなの体現してる場合じゃないですよね!
とにかく今回は紀子ママにどやされて応じただけでもよしとしてあげましょう(笑)
なんだかんだ琴子の存在は日増しに大きくなっていってる筈だからしっかり時間も作ったんでしょうしね(^m^)

それにしてもやはりいつも自分の気持ちを言わないですよね、この人は。
はっきりいいなよ!ってええ、ええ、私も思います!でも入江くんはこれだからいいのよ~~って思う私もいて・笑
イタキス好きな人たちってきっと皆さんそうなんですよね♪

とりあえず今はこれで丸く収まりましたが、こうした入江くんの言葉少なさがその後の夫婦の危機を招くんですよね~。
って言ってたら早くベビードールの後編書かないと!って思ってきました(笑)
コメントありがとうございました。
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::Re: 紀子ママさま
> 紀子ママさま

こんばんは。久々の更新に気付いて下さりありがとうございます!
しかもタイトルからもう・・・ほんとに嬉しかったです≧m≦

まずはお話のお返事から、好きな人が自分のことをどう思っているのか知りたい・聞きたいっていう恋する女の子なら誰でも願う事を軸に進めたまさに王道の今回のストーリー。
自分に自信をもつことはなかなかできなくても、入江くんを思う気持ちだけは誰にも負けないって言い切れるってものすごくパワーがあって輝いていて、まさに太陽な気がします^^ほんと可愛いお嫁ちゃんです♪

今回自分で書いていて思ったのですが、入江くん 紀子ママに言われて仕方なく付き合ってやった、って建前ではなってましたが、はじめから真直ぐ琴子に向いてるなぁ、と。やはり太陽をずっと見ている向日葵だわ、なんて(笑)
あーやっぱりイリコトはいいですね(*^_^*)

イラスト、どんどん変わってきて私のストーリーの中のイリコトのような気がするって仰って下さって、なんてありがたいお言葉なんだーー!!ってほんとに嬉しかったです。
お蔭で割り切ってドヤーーってUPしていけそうです♪ありがとうございました。
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::Re: マロンさま
>マロンさま

こんばんは。先日は読者登録ありがとうございました。
こちらにもコメントくださって^^

そうそう、琴子の思うような展開にはなかなかならないんです。
けど、結果的に入江くんがうまく回収してくれるんですよね。

はい、この2人はお互いがお互いの太陽のような存在ですよね。タイトル通りって仰って下さり嬉しいです♪
ありがとうございます。また何かお話とかUPした時はお付き合いくださいね(*^_^*)

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