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::The Gift of the Magi ~ I send you the bouquet with love.~【中】
直樹ver.をchan-BB様がUPして下さっています。
こちらからとべます。


The Gift of the Magi ~She is always walking ahead. ~(中)1/2


The Gift of the Magi ~She is always walking ahead. ~(中)2/2



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



講堂に入ると既に多くの来賓が入っていて、私は着席出来る場所を探して辺りを見渡す。
とそこに、一足先に到着していたおかあさんが手を振って私に合図してくれた。

「琴子ちゃんっ ここ、ここよ!」

私は何度も頭を下げ、着席している人の足に引っ掛かりそうになりながらおかあさんの隣に座った。

「ごめんなさい、遅くなって。いい席確保出来たんですね」

「ウフフ、良い映像を撮るためには場所も大切ですものっ
それより…ねぇ琴子ちゃん、お兄ちゃんには…話出来た?」

心配そうにおかあさんが私を見つめる。私は力なく首を振った。

「そう…。家で話すことも出来るけど、今日は卒業式の後、確か謝恩会があるのよね。
お兄ちゃんったら、愛する妻との時間を削ってパーティなんて、そんなの参加しなければいいのにっ」


おかあさんはいつも優しい。
不甲斐ないのは私なのに、おかあさんはいつも入江君を責めてみせる。
私は苦笑しながらおかあさんを宥めた。

「主席が欠席するわけにはいかないですよ。大丈夫です、ちゃんと話、しますから。
…あ、式が始まるみたい」


司会が式の始まりを宣言し、粛々と式が進行される。
独特の空気の中、卒業証書が授与の儀が行われ…いよいよ卒業生答辞。
6年前より遠い場所から、私は壇上に立ち答辞を読み上げる最愛の人の姿を胸に刻むように見つめた。


思い返せば…、私は最初、壇上の貴方に恋をした。
あの時もそんな事をぼんやり思い出しながら見つめていた気がする。

ただ、見つめる事が出来れば幸せだった。
見つめているだけでも…私にとって、貴方は全てだった。
本当に…バカのひとつ覚えのように。それだけは変わらない。

時の流れの中で貴方と私の距離は少しずつ縮まり、私は貴方の隣にいる事を許された。
私が必要だとさえ言ってくれた。
それでも私の思いには底が無くて…

いつも貴方の姿を求めていた。慰めをあてにしていた。
貴方は簡単にはその心の中を見せてはくれないけれど。
何か事が起こる度、・・・私が道に迷うたびに、貴方はそのときの私に必要なものを与えてくれた。

入江君。
この別離も、今の私たちには大切なことなんだよね。
入江君の気持ち、受け取ったよ。私…、ちゃんと自分の足で立つよ。

だから私の気持ち、受け止めて。そして笑顔を見せてほしい――


***


式は終了し、私とおかあさんは講堂を後にする。

「それじゃ…、少ししたら私も帰りますから。おかあさん、お願いします」

「ええ、任せておいて頂戴。じゃ、また後でね」

おかあさんはそう言って微笑むと大学を後にした。
おかあさんの姿が見えなくなると、私は再び、思い出すまま大学内を見て回る。
そして…最後にやって来た場所――医学部の教室。

卒業生はまだ講堂前にたむろしているのだろう。ここにはまだ誰も居ない。私はそっと室内に入る。
教室の窓からは、私達がさっき一緒に歩いた桜並木が見える。
相変わらず空は青い。白いうす雲がゆっくりと動いていた。

外の景色を見るのをやめて、私は教室内をぐるりと見渡す。

何のために大学に行くのか分からないと言ってた貴方が、それを見つけるために進学し、そして辿り着いた場所。
ここで見た貴方の姿はいつも以上に素敵で、私の胸はいつも高鳴った。

貴方の姿がこの眼に映る度、貴方の名前を呼ぶ度、私の身体の中にはパワーが溢れてきた。
おまじないのように、私はその名前を呼ぶ。


「入江君、入江君… ーー入江くぅん!!」



「…なんだよ、でけぇ声で」

「ひっ……」

私は動転しながらも声のした方を振り返った。
そこには紛れもなく、いつもいつでも一番逢いたい、傍にずっといたい貴方の姿があった。

「わっ…い、入江く…っ!ど、どうして…」

「多分ここに居るだろうと思って。―― お前に話があるんだ」

「入江君…」

私は突然目の前に現れた入江君の姿をただただ見つめた。
そう…、やっぱり入江君は私が本当に会いたいと願ったときには姿を見せてくれるの。
そして私は、入江君の姿を見れば、必ずパワーが溢れてくる。
直感した。今なら言える――

「私っ!‥絶対1年で看護師になる。それから神戸に行く。…絶対に行く――!」

こうして、入江君の顔を正面からしっかりと見たのはいつの日ぶりだろう。
決心してからも、ここまで真直ぐに貴方を見たのは久しぶりだった。
この感慨は私の感情よりも先に、涙になって溢れてくる。

「だ、だから…ま、…待っててね。う、浮気しないでね。ま、…毎日電話しても…お、怒らないでね…」

私はどれだけ泣く事が得意なのだろう。次から次へ滴は零れ、私は下を向いて涙を床に逃がす。

今までも、入江君の前で本当によく泣いた。
今も泣きながら私はいったい何を口走っているのか…本当に…つくづくバカだ。
これじゃ余計に呆れられちゃうよ。
でも、この涙は今までと違うの。前向きな涙なんだよ…

「それから…休みに……会いに…」

思い切り泣いてしゃくりあげ、震えが止まらない私の腕に入江君の大きな手が触れた。
私はやっと少し目線を上に戻す。目の前には、優しい瞳をした入江君がいた――

もう一度私は瞳を瞑る。涙はまた頬を伝い、床に零れ落ちる。
そして唇には、優しいキスが落ちてきた……

もう一度そっと瞼を開けると優しく微笑む入江君がいた。

―― よく言った。

そう聞こえたのは空耳?
眼で質問すると入江君はふっと微笑って私の左頬にキスをして、ぎゅっと抱きしめてくれた。

・・・やっと辿り着いた。
何度も間違いを繰り返しながら、それでもここにやってこられた。
入江君の息遣いが、鼓動が伝わってきて、私は全身でそれを感じ取る。

・・・遠くから人の声が聞こえてくる・・・
講堂から、医学部の卒業生が戻って来たんだ・・・

入江君も聞こえてるはず。
だけど、入江君の腕は緩まるどころかもっと強く私を抱きしめる。

「い、入江君。人が来るよ……っ」

私は慌てて入江君の腕から逃れようとする。
そうしたら、私の髪に鼻を押し当てるようにしていたしていた入江君の顔がもう一度私の顔に近付いた。

「いいよ。―― 見られたって…」

私は返事の代わりに入江君の首に腕を絡ませた。
うん、見られたっていい。
ううん、私たちがこれからを誓った瞬間の証人なってほしい気分。


こうして、私たちが皆に愛の証人になってもらうのは3度目。

一度目は結婚式。
二度目は食堂。
そして・・・三度目はここ、医学部の教室――

私たちのキッスは、もう数え切れないけれど――



***

入江君はこれから皆と謝恩会へ向かうから、私は今、大学の桜並木を一人で歩く。

入江君は今頃、皆に何か言われているのかな?
もしそうだとしたら、ちょっと覗いてみたい気分。

「へへ、ザマァミロ……!」

私は舌を出して空を仰ぐ。

空は綺麗な青。太陽の光は上から真直ぐ降り注いでくる。
すがすがしい風が頬を撫でた。

「―― よし、家に帰ろう」

私は一人頷いて鞄から定期を取り出し、駅の改札口を通った。


【あとがき】
出掛ける前にバタバタとUPしたので、忘れてました。原作そのまま(勝手な脚色…!)ですいません(>_<)


19巻スキマ  コメント(2)  △ page top


<<prevhomenext>>
::拍手&コメントありがとうございます
改めて、こちらを読んで下さった方、ありがとうございます。
あとがきにも書きましたが、【中】は原作そのままなぞっているだけです。【上】もかなり原作解釈になっていますが…。

こちらに遊びに来て下さる方は皆様イタキスが大好きな方々。
原作のシーンには其々の解釈・思い入れがあるでしょうから、ここであえて自分の解釈みたいなものを書くのはどうなのだろう…と悶々としました。

それでも書きたい、書かなくては次に進めないと自分に言い訳しながらのUPで、反応がとても怖かったです。
そんな中コメント下さった方のお言葉、胸に沁みました。本当にありがとうございます。

それでは以下、個人様へのお礼です。

繭様
こんばんは。もう…本当にありがとうございます。
上手く言えないですが、今回の琴子はすごくシリアスになってしまって…。でも、原作で所々出てくる、琴子のここに至るまでにあった不安や葛藤を凝縮して書いた感じです。
直樹の神戸行きによって暗闇に迷い込んだ琴子に、直樹が光をさして進むべき道を教えてくれた…本当にそう思います。繭様の感想、既に私が書きたい先を指しています。
私も、直樹が琴子を優しく見つめるシーンからの3カット、大好きです!あと少し…頑張りますのでお付き合いください。

なおき&まーママ様
こんばんは。良かった…納得して頂けて。
もう自分の解釈押しつけやん!と思いながらだったのでホッとしました~。
100倍返しはchan-BB様がしっかり描いて下さいましたww
読ませて頂いて、もうもうもう!!!と思っちゃいました(笑)
いよいよ下です。がんばります!どうかお付き合いくださいね。

chan-BB様
こんばんは、ってさっきメールしたばかりですが(笑)
こちらにもコメント下さってありがとうございます。
原作なぞるの…つらいですね(苦笑)二次創作させてもらってる人間が何言ってんだか、とも思いますが…!
ピンクのはなびら…嬉しいです!そんな風に見て下さるのはchan-BB様の脳内フィルターのお陰ですねww
これから下書いて行きます!あと少しよろしくお願いします<m(__)m>

藤夏様
こんばんは。すごく可愛い、暖かいコメントありがとうございます。
ドキドキの原作解釈。琴子のモノローグに共感して頂けて嬉しいです。実は…この話、私は勝手に一つの歌をテーマに書いています。あ、、そう言えばchan-BB様にも伝えていない、、…あとで連絡しなくては…!!
本当、このキスは後々斗南大学の伝説でしょう♪
chan-BB様の直樹編を読ませて頂いて、なおそう思ってしまいました!!


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