0512345678910111213141516171819202122232425262728293007

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Reflection and measures



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



深夜0時。
親類知人が互いに往来し仲睦まじくするというこの月の由来とは程遠い数日間が漸く終わりを告げ、直樹はこの間の精神の消耗を洗い流し、湯船で体を温めた。

(今日、迎えに行けて良かった ・・・)
体が芯から温まるのを感じながら、改めて思う。


今回の琴子の家出の原因は、元はと言えばあいつのいい加減な単位計算が招いた結果だ。

お袋には早く迎えに行けだの冷たい男だの言われたが、譲れなかった。

ここで自分が折れて迎えに行っても、何の解決にもならない。

俺と知り合ってからのあいつは、自他認める通り俺を中心に回ってきた。

俺がそのパワーに惹かれ、惚れたのは紛れもない事実だ。

だが、これから続く長い道、それだけで進んでいく訳にはいかない。

あいつ自身が、あの沢山の色を持つ大きな瞳に希望を映し、羽を広げるためには・・・・


まだ毛先に滴る水分をタオルで拭き取りながら直樹が寝室の扉を開くと、そこに居るはずの愛しい存在の姿がない。見回すとベランダのカーテンだけが開いた状態になっている。どうやら外に出ているらしい。


「ったく、こんな寒いのに」

直樹は厚手のカーディガンを羽織り、琴子のそれが見当たらない事を確認して自分もベランダに出る。

「せっかく温まったのに、風邪引くぞ」

「あ、入江君。あのね、家を空けたのはほんの何日かのはずなのに、なんだか此処から見る景色が久しぶりだなぁ、って思って。ほら、見て。珍しいよね、東京でこんな星が綺麗に見えるなんて」

琴子は直樹に向かってにっこり笑いかけると、その輝く瞳をまた空に向けた。直樹も誘われるように空を見上げる。

「確かに綺麗だな、ちょっと太良を思い出す 」

東京では珍しい綺麗な星空がそこにはあった。

「本当?私も同じこと考えてたんだ!何だか嬉しい。・・・入江君、今回の事、ありがとね。入江君が突き放してくれなかったら、私、ずっと皆に甘えて自分の夢とかちゃんと見つけられずにのほほんと生活していたと思う。まだ、そこにスタートがあるって事に気付いただけなんだけど、今までと全然違う気持ちが此処に生まれた気がするの」

そう言って、琴子は自分の胸に手を当てた。

「そうだな。取敢えずは看護科へ転科するための勉強からだな」

「そうなんだよね。勿論、頑張って勉強するわ!・・・でも、私の頭で一生懸命勉しても、なかなか捗らないと思うんだよね。入江君、勉強見てくれないかな?」

「しょうがねえな。お前が1人で勉強してたら、いつまでたってもナースの卵にすらなれないもんな」

「もう!入江君ってば本当に意地悪なん・・・・!?」

普段と変わることのない直樹の辛辣な言葉に反論しようとした琴子は、突然彼の胸に優しく抱き寄せられ一瞬言葉を失う。

「い、入江君・・・?」

「ったく、あたりまえだろ?愛する妻のお願いだぜ?」

口角を引き上げるように笑う直樹に、

「入江君ってば・・・もう、冗談ばっかり。でも、嬉しいよ?」

琴子は赤らめた顔で直樹を見上げはにかむ。

直樹は琴子の背中に回っていた手を片方放して頬にあて、優しく微笑む。
見つめ合った2人はそっと目を閉じキスを交わした。未来を思い描くように。
星に願うように・・・・

「――おかえり、琴子」

「入江君・・・。ただいま」

「髪、冷てえよ。唇も・・・。本当に風邪引く。そろそろ中、入るぞ」

「う うん。そうだね」


直樹に後ろから急かされるようにして室内に入った琴子は、暖房の効いた部屋に自分の体が相当冷えていた事に気付いた。


「わぁ、暖かいね!やっぱり真冬の夜中にずっと外にいるものじゃないね。入江君、折角お風呂で温まったのに、また寒くなっちゃったね。髪もちゃんと乾かさなきゃ・・・」

直樹の髪に手を伸ばす琴子に

「じゃあ、温めて」

と言いながら直樹は琴子の手をそっと取り下ろすと、その細い身体を抱きすくめた。


「・・・温まってきた」耳元で囁かれる低い甘い声に、

「――私も・・・」琴子の声にも甘味を帯びる。

「なかなか迎えに行かなくて、ごめんな」

「ううん、そんな事ないよ。お陰で私、一つの光を見つけられたよ。この光が、夢ってものなのかな。夢とかの意味って、私、まだちゃんと分かってないのかもしれないけれど、でも入江君の隣に居ても釣り合う自分になれる道を見つけられた気がするよ」

「お前なら、ちゃんと見つけられると思ったよ。険しい道かもしれないけど、頑張れ」

「うん・・・!入江君をはじめ、色んな人に見守ってもらっている事、改めてよく分かったよ。私の居場所、入江君に知らせてくれた渡辺君にもお礼言わなきゃ」

「そうだな」

「あ、あと裕樹くんにも!裕樹君には助けてもらっちゃって。裕樹君とチビが来てくれなかったら、どうなってたかと思うと・・・」

青くなる琴子に、直樹も裕樹から電話を受けた時の焦りを思い出す。無事だったからこそだが、直樹の心に言いようの無い不快感と意地悪な心が生まれた。


「まったく、物好きな趣味の奴が居たもんだな」

「なっ!!妻の一大事に・・・!!」

「どんな話にするつもりだったんだろうな?ロリコン向けか?」

「うっ・・・人妻だって言ったら、『人妻お忍びいけない旅行記』にするとか言ってたど」

ぶつぶつ言っている琴子の頬を両手で挟みながら、直樹は言う。

「許さない」

「え?」

「お前の事知っていいのは、俺だけなんだよ」

「///// 入江君・・・」

再び顔を紅潮させる琴子の頬に音を立ててキスをすると、直樹は最後の止めをさす。

「お前の家出のせいでご無沙汰だったしな。今日は覚悟しとけよ?」

「///// はい・・・」

観念したのか、それとも直樹の熱に早くも浮かされ始めているのか。いつもよりしおらしく甘やかな声で答える琴子。

2人の目指す道と今夜は、始まったばかり・・・・





投稿サイト様に発表したものの再掲です。
とにかく題が思いつかなかった・・・。
未だに納得いかない題です。



テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

コメントの投稿

secret

top↑

comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top↑

プロフィール

ぴくもん

Author:ぴくもん
ご訪問頂きありがとうございます。
こちらは漫画好きの管理人・ぴくもんの創作ブログです。
各ジャンルの原作者様、著作権者様・出版その他関係者様等とは一切関係ございません。
原作のイメージを大切にされる方や二次創作を理解されない方、不快に思われる方は、此処でお引き返し下さい。
拙い作品ばかりですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。


詳しくはこちらをご参照下さい。

カテゴリ

最新記事

online

現在の閲覧者数:

LINK

◆日々草子 (水玉様)

◆kiss shower (幻想夢 影菜様)

◆ 玉響のキセキ (ほろほろ様)

◆イタズラ★Days (ha様)

◆こんぺい糖と医学書 (千夜夢様)

◆Embrasse-moi (えま様)

◆ぼんやり日記 (よもぎ様)

◆雪月野原~snowmoon~ (ソウ様)

◆HAPPY☆SMILE(narack様)

◆*初恋*(miyaco様)

◆みぎての法則(嘉村のと様)

◆φ~ぴろりおのブログ~(ぴろりお様)

◆真の欲深は世界を救う(美和様)

◆むじかくのブログ(むじかく様)

◆つれづれ日和(あおい様)

◆イタKiss~The resident in another world ~(九戸ヒカル様)

◆Snow Blossom(ののの様)

素材拝借サイト様

Dolce様

空に咲く花様
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。