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Winter solstice


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ふぅ・・・顔は冷たいけど、気持ちいい!」

こっそりと独り言を呟きながら私は今、駅から家までの道を歩いている。

ここ数日前まで本当に不安だった。
一か月前、なんとか無事に(?)結婚式を挙げて、新婚旅行にも出かけて、その・・・やっと入江君とそういう関係になれたというのに////
帰国したら入江君、働き詰めでお家に帰ってきてくれなくて。
不安になっていたら、松本姉や須藤さんがそれを煽るような事を言うもんだから、どんどん不安が膨れてきちゃって・・・挙句の果てには金ちゃんと会社にまで乗り込んじゃって。

でも全部、私達のこれからの為だったんだね。
入江君は、やっぱり凄い。
二週間でゲームを作ってしまうのは勿論、周りを巻き込んだこの結婚、自分達のした事に責任をもって誠意を示す事を、こんな短期間の間に成し遂げてしまった。

数日前、ゲームの完成披露パーティを滞りなく済ませて、入江君は今、事務方の引き継ぎの為にまだ会社に行ってはいるけど、帰ってくるのもそれなりの時間になった。
やっと、新婚さんらしい生活に近づいたかな・・・?


12月22日。
今日はお義父さんとお義母さんはホテルのディナーショーに出掛けていて、そのままホテルに泊まるみたい。お父さんは忘年会シーズンだから営業時間の後も仕込みで泊まり込みだし、裕樹君も明日がお休みだから、お友達の家にお泊りに行っている。

つまり、今日は私と入江君が結婚して初めて二人で家に居るという事で・・・。

そ そりゃ今までにもそんなことはあったわよ?
高校生の時にも、お義父さんが入院した時にも、そういうことはあったわ。

第一私達、結婚したんだし!新婚さんが二人きりで家で過ごすって、ごく普通の事よね?
だけど、なんだかすごく緊張する・・・!入江君に、「琴子をお嫁さんにもらってよかったな」って思われるように頑張らなきゃ!!

美味しいご飯を用意して、お風呂にもいつでも入れるように温かいお湯をためておくの。
って、本当にたいしたことじゃないんだけど、どうしてかしら?どうも失敗ばかりなのよね。
ご飯、何作ろうかな~?失敗なしに作れるのはカレーぐらい・・・高校生の時はそれを無理して小難しいお料理しようとしたから失敗しちゃったのよね。(入江君が作り直してくれたのはプロ並に美味しかった) う~ん、どうしようかな・・・

そうこう考えているうちにお家に着いた。郵便受けを確認して、鍵を開ける。
靴を脱いで、リビングまで郵便物を確かめながら歩く。そして、郵便物の一番後ろに持っていた夕刊を見て、私はふと気付いた。

「あ!今日、冬至だったんだ・・・!」

そういえば、帰り道、いつもより暗くなるのが早い気もしたな。
一年で一番お昼が短い日だもんね。
冬至と言えば、やっぱり柚子湯とカボチャよね~。
あ、これを押さえていたら、入江君感心してくれるかな?
そうだわ!今日のテーマは冬至よ!!
入江君、楽しみにしていてね・・・・!!




「ただいま」

「入江君、おかえりなさい!今日もお疲れさまでした。さぁさ、上着を・・・」

「お前、っとに懲りねえよな」

悪態吐きながらでも、入江君は合わせてくれる。へへ、なんだかんだ言って、入江君は結構優しい。そんな事を想ってニマニマしていたら、

「風呂か食事かって聞くんじゃねーの?」

もう、私の行動なんてお見通しみたいに・・・当たってるけど。

「そ そう。どっちにする?」

「飯。できてる?」

「まかせて!準備万端よ!!」

「へえ。珍しい事もあるもんだ」

相変わらずのイジワルを言いながらダイニングに足を踏み入れた入江君がちょっと驚いた表情をした。
ダイニングテーブルには、茶色のテーブルクロスに赤のセンターライナーを敷いて、グラスとデキャンタを用意。ウッドボールにサラダを用意して、籠にはバケット。其々の席の前に白い敷き皿を用意して、あとはメインのプレートをそこに乗せればいい状態にしている。

「お前が用意したの?」

「うん。冬を意識してみたんだけど、どうかな」

「いいんじゃない。この様子からして、メインはシチュー?」

「さすが入江君!!正解っ」

そう、今日はクリームシチューなの。これなら、お鍋一つで、切って煮るだけ。カレーと同じ要領で、最後にルーを変えるだけ♪・・・ちょっと手抜きだけど、失敗するよりはマシよね?

「ネギ入れたりしてねえだろうな」

「え?シチューにネギなんて入れるわけないじゃない」

「お前は何にでもネギを入れたがるからな・・・」

ったく、失礼しちゃうわ。でも入江君、ネギが好きなのかな?よし!これからは沢山ネギ料理してあげるからね!!

「さぁどうぞ~、召し上がれ♪」
シチューの入ったプレートを入江君の前に置く。うん、これぞ新妻って感じよね!

「カボチャが入ってる」

「あ、気付いた?入江君、今日冬至なんだよ!だからね、カボチャのお料理しようと思ったんだけど、普通に煮物とかにしたら、生煮えになりそうだし。シチューなら、ずっと煮込んで溶けても、それはそれで美味しいでしょ?」

「お前ってプラス思考だな・・・」

シチューの中のカボチャは、かろうじて原型が残っているものの、大分煮崩れてクリーム色が黄色くなっている。・・・これぐらい平気よ!むしろ美味しいはず!!

「じゃ、いただきます」入江君がスープを口にする。

「――どう?」

「フツーに、シチューの味」

「もう、少しくらい褒めてくれたって。って、ルーを使ったから、普通で当然なんだけど―――」

「美味いよ」

「え?」

「美味い。節気を取り入れて料理出すなんて、いい奥さんしてんじゃん」

「・・・そうかな? あっ、ほら、ワインも用意したの。飲もっ」

そっけないと文句を言ってたのに、実際に入江君に褒められると慣れていなくて焦ってしまう。慌ててデキャンタを手にしようとしたら、

「ワインは主人が注ぐもんなんだよ。で、お前はすぐ酔うから一杯だけ」
と言って、入江君が注いでくれた。
主人、奥さん・・・今日の入江君、リップサービスがいっぱいだ。

「ありがと・・・」
和やかに食事の時間が過ぎていく。



「ごちそうさま」

「ごちそうさま。あ、私片付ける間に入江君お風呂入ってね」

「一緒に入る?」

「そそそそそんな・・・!!ほ ほら、私片付けしなきゃいけな―――」

「プッ。冗談だよ。じゃ、お先に」
笑いながら入江君は出ていった。もう、からかったのね!


お風呂から上ってきた入江君、あ、なんかいつもとはまた違う、いい香りしてる!効果抜群ね!

「お風呂、どうだった?」

「柚子が湯船にゴロゴロしてた」

「でしょ?カボチャと柚子、これでこの冬は風邪引かないよ!」

「ふっ そうだな。 お前も入ってこいよ」

「うん。そうするね!」


身体を洗って、私も柚子湯の中に身を沈める。ああ良い香り♪柑橘系の香りって爽やかでほんと良い気分。なんかいつもより温まる気もする。

お風呂上がりには仕上げにこれ。前に雑貨屋さんで買った柚子の香りのボディクリーム。仄かな香りで、肌はしっとり。心身共にリラックスしちゃう。

髪を乾かしてリビングに戻ると、入江君がソファで本を読んでいた。


「あがったよ。入江君、コーヒー飲む?」

「ああ、頼む」
早速コーヒーを淹れる支度をする。コーヒーをドリップすると、室内がコーヒーの香りで充満する。この香りも大好き。

「どうぞ」

「サンキュ」

マグカップを受け取って入江君が一口口にするのを確認して、私も隣に座る。


「ねえ」

「何」

「なんか、幸せ。こうして2人でゆっくり過ごせて」

「ああ、そうだな」

入江君がそう言いながら私の手を指を絡ませるようにそっと掴んで、私を自分の方に軽く引き寄せる。そして、髪を片側に纏めて寄せると、露わになった側の私の首筋に顔を近づける。

「良い匂いする」

「//// コーヒーの香りで消えてると思ったのに。良く気付いたね?」

「ああ、こっちの香りの方が敏感になるみたいだな。これも柚子?」

「そう、今日は冬至仕様なんだ」

「ふーん・・・悪くないな。 琴子、冬至ってどういう日?」

「どういう日って・・・。一年で一番お昼が短い日、だよね?」

「そう。つまり、夜が一番長い日。・・・今晩、なにしようか?」


低くて甘い声にクラっときそうだったけど、ふとやりたい事を思いついちゃった!



「入江君!あのね、ゲームやりたいな」

「ゲーム?」
予想外とばかりに怪訝な顔をする入江君。

「そう、入江君が作ったゲーム。パーティの時、ソフトもらって帰ってきたでしょ?」

「お前出来ないんじゃないか?結構難しいぞ」

「だから、入江君が居る時にするんじゃない!」

「ま、いいけど」




早速準備をして、ゲームを始める私。入江君はそれをソファに座ったまま見ている。

「あっ!またココで失敗かぁ。う~ん、もう一回!!」

どんどん夢中になる私。これを作ったのが、今一緒に居て、しかも私の旦那様である入江君なんてすごい!

「あっ、やばい・・・このままじゃまた・・・」

「ったく、それじゃいつまで経ってもクリアできねーよ」

そう声が聞こえたかと思うと、背後から私を包むようにして座ってコントローラーを持つ私の手に入江君の手が添えられている。

さっきまでの停滞が嘘のように、ストーリー進んでいく。

「すごぉい・・・。どんどんクリアしていく!」

「俺が作ったんだから、当然」 さらりと答える入江君。

それにしても・・・この体勢、温かくて、くすぐったくて、気持ちいい。
すっかりコントローラー操作を入江君に預けて、私は夢見心地に目を瞑る―――



「っとに、こいつだけは信じられねえよな」

・・・遠くから入江君の声が聞こえる気がする。私、眠ってるのかな?
確かに夢うつつな感じ。 ホワホワする。
でも、この温もりは確かなものって信じられる。信じていいよね?入江君。

「でも、こんな夜長も悪くないな」
入江君は、私を抱えなおすと頬にそっとキスしてくれた。
なんだか本当に・・・幸せ。


―――もう少し、こうして私を包んでいてね?入江君♪






こちらも投稿サイト様にて掲載させて戴きました。
その後を用意する予定です。


テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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コメントありがとうございました

> みるちゃん様

こんにちは。懐かしいお話を読んで下さりコメントまでお寄せ下さりありがとうございました!
ほっこり心温まって頂けたようで嬉しいです^^
そうですね。こちらのお話は特にラブラブって事もなく淡々とした流れで進んでいきますが、出てくる小道具(シチューとか柚湯とか♪)の効果のお陰なのか、なんとなくホッとする時間が流れているかもしれません。
みるちゃん様のお住まいの地域はまだ春には少し遠いのですね。どうぞ風邪など引かれませんようお気をつけ下さいね!

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コメントありがとうございました。

おかき様

こんにちは!お返事が遅くなり申し訳ありませんでした!
先日の拍手、やはりおかきさんだったのですね。あらためてありがとうございました♪
コメント頂けると舞い上がるほど嬉しいですが、読んで頂けるだけでも本当に幸せです(*^_^*)
これからもどうぞお時間の許す時、遊びに来て頂ければと思います。

このお話も投稿サイト様に出した作品です。確かその日が冬至だったので、ふと思いつきで書いたんです。
柚やかぼちゃは色彩的にも温かく、冬の無機質な感じにほっこりするアイテムですよね(^^)
そしてかぼちゃのお料理!何を作られたのでしょうか?
なんか、おかきさんの作られるお料理は色彩豊かで美味しそうな気がします♪

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