:: Set a thief to catch a thief. 【前】
キリリク【 30000 】を踏んで下さった方のリクエストで書かせて頂きます(^^)

リクエストの内容は、「入江君 VS 西垣先生」で、イリコトの間にはやっぱり誰も踏み込めない、というようなお話を…というものでした。
ご連絡頂けて嬉しかったです。この場をもって改めて御礼申し上げますm(__)m

さて、書き始めると私、やはりコンパクトに書けない奴でして(^_^;)、前後編にさせて頂く事にしました。
取りあえず前編をUPさせていただきます。よろしくおねがいします★


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昼時の斗南病院の職員食堂は、今日も束の間の休憩で骨を休める病院関係者で溢れている。

人の話し声や触れ合う食器の音が喧騒を作るこの空間で、西垣はこの一週間、常ならぬ視線を感じている。とはいえ、この視線が自分に向けられているのではない事は重々承知していた。

ちらりと西垣は、そのニューフェイスに視線を送った。赴任から1週間が経過したばかりだが、この新人は自分に向けられる好奇心などまるで無関心といった様子で、Aランチを黙々と口に運んでいる。

「お前ってほんと可愛げないよな」
西垣は向かいに座った直樹に話しかける。

「西垣先生に可愛いなんて思われても気持ち悪いです」
直樹は憮然と即答する。

「あーあ。女の子たちはこんな愛想のない男の、何処がそんなにいいのかね」

「それ、おれにも是非教えて頂きたいですね。西垣先生の広い交友関係で突き止めて下さいよ」

「かーっ 嫌みな奴…!」
少ない休憩時間。西垣も箸を取り直して昼食をかき込む。が、ふとイイ事を思いつき箸を止めた。

「…なぁ入江。お前の歓迎会、まだやってなかったよな」

直樹が西垣の方に少し目を向けた。

「歓迎会?あぁ、そういえばそうですね、そんな暇もありませんでしたし。でも、別に要らないですから」
興味なしといった風に、直樹はトレーを持ちあげて席を立った。

「こらっ 待て待て!最後まで話を聞け!」西垣も慌てて直樹を追いかける。

「お前がそういうの好きじゃないのは分かってるよ。でも、他の医師とも交流するのは大事なことだぞ!それにこんな時でもないと看護師たちとはコミュニケーションをとる機会が無いだろ?一緒に仕事をするんだから、そういうのも結構大切だぜ?」

「…分かりましたよ。行きゃいいんでしょう?」

「よーし、そうこなくちゃ」西垣はニッと笑う。

「じゃ、今回は特別におれが仕切ってやるよ。可愛い後輩の為だからな。お前に褒められた『広い交友関係』を使って盛大にやろうじゃないか」

「どーぞ、ご勝手に」
直樹は溜息をつくと、さっさと食堂を後にした。

「ああ、勝手にさせてもらうよ」
その後ろ姿を見送りながら、西垣は妖しげに笑った。





― 数時間後、勤務終了間際の医局。

西垣の交友関係は実際目を見張るものがあり、病院という不規則な就労現場でありながら歓迎会の日時は次の週末に行われる事がすぐさま決まった。参加人数も大したものである。そして、注目すべきはその参加者たちの男女の構成比率。

「……。看護師が9割とは、さすが西垣先生ですね」

「おっ、お前に褒められるなんて嬉しいね」

「褒めてないです」

直樹は呆れて出席表を眺めるが、西垣は気にも留めない。医師は外科病棟の医師だけなのに対し、看護師は各科からまんべんなく集められていた。

「あ、今日琴子ちゃん非番だっただろ?だからこの話はお前からしといてくれるか?」

「今更アイツに歓迎してもらわなくてもいいです」直樹は即答する。

「なに言ってるんだ!そんなの琴子ちゃんが可哀想だろう。今回はあくまで職場の仲間としてだな――」

「はいはい、分かりましたよ。声かけりゃいいんでしょ」
胡散臭い方便を語ろうとする西垣の話を、直樹は早々に打ち切った。

「よしよし。任せたぞ。あ~楽しみだな~~。じゃ、お疲れーー」
西垣はそう言うと、足取り軽く医局を後にした。

「ったく、いい趣味してるな」
閉まった扉に向かって、直樹は溜息をついた。



― その夜

「え?歓迎会!?」
寝室で髪を梳いていた琴子は、その手を止めて直樹を見た。

「ああ、西垣先生が煩くて。で、お前もどうかって」相変わらず本から目を離さずに直樹は答える。

「行くっ 絶対行くっ!!」
琴子はそう言って勢いよくベッドに乗ると直樹の傍に膝をついた。

「そう言うと思ったよ」

「だって、この一週間、皆の入江君を見る目ってすごいんだから!きっと歓迎会なんてしようものならこぞって入江君に言い寄って来るはずよ。私、入江君を守らなきゃ!!」
琴子の目には未だ見ぬ敵が見えているらしい。ぐっと拳を握りしめて臨戦態勢を作っている。

「ふーん、頼もしいな。おれ、お前に守られるんだ」
正直気が進まない会だが、琴子のこんな表情を見るのは楽しい。直樹は琴子に目を向けるとニヤリと笑った。

「そうよ、隙を窺う女たちから入江君を守れるのは私だけだもの!ねぇ、だから入江君も他の人とばっかり話したりしないでね?」

「どうかな。西垣先生にコミュニケーションとれって言われたし」

「ひ、ひどいっ」

「でもお前が守ってくれるんだろ?」

「そ、そうだけど」

「じゃあよろしくな、奥さん」
そう言って直樹は口を尖らせた琴子に触れるだけのキスをした。

「…は~い」
すっと大人しくなった琴子は、直樹をじっと見つめる。

「もう一回…」

「なに?」

「さっきの…もう一回して?私が、頑張れるように///」

珍しい琴子からのおねだりに、直樹は面白そうに琴子を見つめる。そして小さな悪戯心が生まれた。

「ぷっ これ、お前のエネルギーなんだ?」

「/// ダメ?」

「さぁ、どうするかな」

「 や、やっぱりいいっ お、おやすみ…っ」

「待てよ」

慌ててシーツの中に潜ろうとする琴子の手に直樹は自分の手を絡ませ、クスリと笑う。

「奇遇だな。おれもこれ、元気でるんだよな」

「///そ、そうなんだ」
直樹の悪戯な瞳とその艶めいた声音に、琴子は昔と変わらず同様しながら返事する。

「たださ…」

「ん?」

「おれの場合、これじゃ少し足りないから」
そう言って直樹はさっきより強く唇を押し当てた――



「さ、元気ももらった事だし、寝るか」

「うん///」

2人はベッドに横たわった。

「ね、入江君。…楽しみだね、歓迎会」

「さぁ、どうだろうな。なにお前、楽しみなの?」

「だって私は、入江君と居られたらどこだって幸せだもん」
そう言って琴子はニッコリと笑う。

「ぷっ 単純な奴」

直樹には何となくその日の光景が予想出来る。
おそらく自分と琴子は同じ空間に居ながら殆ど一緒にはいられないだろう。そして、それに対して自分がどう行動するのか、その様子を西垣が観察して喜ぶ姿も容易に想像できた。

それはもう随分昔、自分の行動に琴子がどんなリアクションを起こすのかを密かに楽しんでいた自分の姿と少し重なる。しかし、まさか自分が楽しまれる側になるとは。琴子と共にいるということは、つまりそういう事なのだ。正直、好奇心の目で観察されるのは鬱陶しいが、琴子が楽しみと言うのなら構わない。

直樹は琴子を抱き寄せると、一日の疲れを癒すように深い眠りに落ちていった。





とまぁこんな感じで後編に歓迎会の様子を書かせて頂こうかと思います…。
こんなかんじで大丈夫でしょうか…?


21巻スキマ  コメント(2)  △ page top


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::コメント・拍手コメントありがとうございます
yasuko様
こんばんは。コメントありがとうございます(^^)
もう後編をUPさせていただきましたが、yasukoさんからコメントをいただいた時点では白紙でしたので、「このあと、どうしよう…」と思っていました(^_^;)
さて、アツアツな2人を書けたでしょうか…。またお時間のある時に読んで頂けたらと思います★

chan-BB様
こんばんは~(^^)お忙しいなか、スキマを縫って来て頂いてありがとうございます♪
私も一読者としてこの手の話は好きです。なので大体の構想はあっという間に浮かんだのですが(電車の中でゴソゴソとメモリました(笑)優先座席に座ってたので携帯使えなくて)、う~ワンパターン(>_<)みたいな…。それでも楽しみと仰って頂いて嬉しいです!後編も少し前にUPしましたが、ぎゃふん(笑)と言わせられたかどうかは…(苦笑)また読んで下さい(*^_^*)


繭様
こんばんは。わ~!いつも本当に丁寧に読んで下さって!!タイトルにまで注目して頂けるって本当嬉しい事です♪しかし、きちんとそこを踏まえた展開が出来るのだろうかと、前編UPと同時に不安になったのも事実で(^_^;)
前編は密かに可愛い琴子を描きたい気分だったので、繭さんにそう仰っていただけて、「キャー!」ってなりました♪本物の魔性の女か…。さすが、直樹の女ですね^m^
後編既にUPしましたが、西垣先生の暗躍(笑)を描けていたか…どうでしょう??『酔っ払い』の時はいいトコなしだったので、今回はそれなりにキリリとさせたつもりなんですが(笑)期待に沿えていればいいなと思います☆






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入江くんの歓迎会どんなことが待ち受けているのでしょうか。西垣先生ではないけれど、少しドキドキします。きっとアツアツな2人が見られるのでしょう。楽しみです。
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